第六十話
第六十話
お姉さんを正気に戻せたことは良かったけど、僕にはしないといけないことがある。
「お姉さん、朱莉を守れず申し訳ありませんでした」
お姉さんは僕を怒ることはなかった。
「朱莉を守れなかったのは私も同じだから…………これ以上はやめて。話があるんでしょ風香ちゃん、それを今すぐに話して……そうしたら流すから、今は」
お姉さんはそう言いつつも、表情が物語っていた。
お姉さんは知っていて尚、僕の口から直接聞きたかったのだろう。
「分かりました」
正式な魔葬少女になること、日本だけではなく世界を見聞きすること、蘇生魔法を覚えること、覚えた上で自分で使おうとしたこと、咎を殺す計画のことを改めてお姉さんと水本さんに話した。
蘇生魔法を僕自身が使おうとしたことを伝えた際はお姉さんの眉間はピクリと動いたが、堪えている様子だった。
水本さんは初見だったようで多少の驚きはしていたが、やる気満々な様子だった。
周囲を見渡しても琴桐さんと佐江さんは居らず、計画をどう伝えようかと悩んでいるとお姉さんが、僕に伝えた。
「二人には私たちが伝えておくから気にすることはない。それなら私たちはもう行く…………もう二度と朱莉を死なせないために」
僕はお姉さんが鬼化していた経緯を聞くために足を止めてもらった。
「そんなの朱莉が死んだのが分かったからに決まってるでしょ。聞かなくても分かるでしょ、森を更地にした恋人の風香ちゃんなら……もういい? 朱莉を傷つけた奴がいないんなら私と美咲はもう行くから」
そう言ってお姉さんと水本さんは去っていった。
お姉さんと水本さんが去っていった後に朱莉が一つ教えてくれた。
「お姉ちゃん、風香ちゃんのこと以上に自分のことをものすごい責めてた。鬼化はその影響だと思う」
僕と朱莉が暴走した時も似たようなことになったことがあるから理解出来る。
だけど、水本さんが暴走している様子はなかったように見えたけど暴走の具合は個人差があるとすれば理屈は通る。
琴桐さんから貰った取材メモのコピーで今の僕たちに必要なものを探した。
まず探したのは蘇生についてだ。
蘇生がないと僕たちには何も始まらない。
もし取材メモにあれば、琴桐さんからメモにないことで協力してもらえる。
メモに書いてあるものは僕たちで先に終わらせメモにないものを琴桐さんと取材する、そうすることで効率がいいはずだ。
「これとかどうかな風香ちゃん!」
朱莉が見せてくれたメモは蘇生とは少し違ったが、面白そうなものだった。
「人魚の肉か、美味しいのかな?」
再生能力がつくのか、もしそれが本当なら回復魔法を使わなくても済むのかもしれない。
「行ってみようか朱莉」
メモに書いてあったのは怪寿村という見るからに怪しい名前の村だった。
だけど、咎を殺し元の生活に戻るためには足踏みなんてしていられないんだ。
「風香ちゃん、何かありそうなら見つからないように心の中で話し合おう、約束ね」
「約束だね、朱莉。……それと妖怪って食べても大丈夫なのかな」
「それは行ってみてからの楽しみにしておこうよ」
楽しみに……か、そういう姿勢で臨むのは危険な気もするけど、気を張りすぎても逆効果になる可能性もある。
多少は朱莉とのデートということにしておこう、気持ち的に。
その方が、あの時の恐怖とのギャップで強化出来るはずだ。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




