第四十三話
第四十三話
朱莉に手を引かれ半ば強引にお姉さんと水本さんと別れた僕たちは魔女会で香澄さんがいないかを見に行った。
香澄さんが依頼から帰ってくるまでの間に僕たちは依頼を受けてその後連絡もなしで廃村に行っている。
流石に常識がなさすぎる。
朱莉は僕の思考を読み、魔女会の受付の人に香澄さんが帰還したかを魔法で脅す形で問い詰めた。
「柚木さんでしたらまだ戻られていませんので、魔法の使用は控えてください!」
このまま朱莉が感情に飲み込まれたら……朱莉の自我が崩壊してしまう。
それだけは嫌だ!!
僕は受付の人に感謝を伝え、人気のないところに朱莉連れて行った。
「どうしたの風香ちゃん? 何か願いがあるの? 叶え…………んぐ!?」
流石にここまですれば戻ってくれるはず、僕はそう考えてファーストキスを朱莉に捧げた。
「……ぷはっ…………戻ってきて朱莉!」
ここまで飲み込まれていればお姉さんから警告が来るはず……いや、来ていたとしても今の朱莉からすれば敵からの言葉になるのか。
「……えっ、にゃにこれ」
流石の不意打ちをくらった朱莉は腰を抜かした。
僕のせいだ、僕がこの期に及んで朱莉が壊れた表情を想像してしまったからだ。
「君たちこんな人気のないところでキスとかや〜らしいんだ〜」
僕と朱莉に話しかけてきたのは青髪の少女だった。
「何のようですか?」
朱莉は少女に邪魔者に向けるような瞳を向けた。
「君たち正式になりたいみたいだから手伝えたらな〜って思っただけなんだけどダメだったかな?」
「ダメに決まっ……んん!?」
「ダメじゃないです、助かります」
少女は輝くような笑顔で自己紹介し始めた。
「私は神城真白っていうだぁ、魔法に使ってる感情は変身欲だね。色々な姿に変身出来るからリクエストしてくれれば披露出来るからねっ! それに正式になったばかりだから、色々教えられると思うから頼ってほしいなっ」
正式になったばかりということは、感情の飲み込みの乗り越えを分かりやすく教えてくれるのではないか?
「ちゃんと甘えたいから落ち着いてね朱莉」
朱莉は光の失った瞳でネットリとした笑みを浮かべ頷いた。
正式になれば少しは僕たちの関係も純粋な恋人に戻れるのかな。
……まだデートも出来てないのに健全な関係から外れすぎてる。
「ふったりとも〜、早く行くよ〜!!」
神城さんはぴょんぴょんとジャンプしながら手を振ってきた。
……朱莉のこんな可愛いポーズしてほしい!!
「あっ、朱莉アレやってあれ!!」
「いいよ、風香ちゃん」
ぴょんぴょん
「か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛朱莉!!」
「もうイチャイチャしてないで行こうよ〜。教えないぞっ」
このやり取りで朱莉の瞳には輝きが取り戻った。
僕と朱莉は教えてもらうために神城さんについて行った。
「ここは、どこですか?」
朱莉の質問に神城さんはドヤ顔で教えてきた。
「ここは牛若丸が天狗様から兵法を習って言われてる鞍馬寺なんだって!」
「「おお〜よく分からないけど凄そう!!」」
息の揃った僕と朱莉を見て神城さんはキラキラした瞳でポワーっと口を開いた。
「息ぴったりでか〜わ〜いい〜!!」
なんだが、この人といると正式になれそうなそんな気さえしてくる。
「それなら訓練を始めますっ、ちゃ〜んと聞くようにっ」
「「は〜い」」
神城さんが言ってきたのは衝撃的な事だった。
「私が魔を喰らってあげるから、魔法をビシバシ使って」
魔法を使えば感情が減るのはそうだけど魔を取り込みながら使えばさらに危険……本当に使ってもいいのだろうか?
神城さんは、まるで朱莉の魔法のように僕の心を読んできた。
「風香ちゃん、安心して! 私の変身魔法には相手の魔を喰らうのと一緒に悪〜い感情まで食べちゃって良い感情に変身させるんだっ」
その言葉を僕と朱莉は何故かすんなりと信じてしまった。
催眠かと疑う暇すらなく。
「さあ二人とも私に魔法を放ってみよ〜う!」
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




