彼女の希望
紺野と一緒にあれこれ考える日々が続いていた。白見はどこに行きたいとかそういう希望というものがなく、勝手に決めて良いと言った。私はただ、楽しく邪魔しない程度で良いのだと。
それではダメだと言ったが、行けるだけで幸せだと彼女は言った。
ここまで頑なだとは思わなかった。
あの修学旅行だけではなく、今までの蓄積がそうさせているのだろうか。
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家族に希望は言える。でも、他の人には言えない。言ってはいけないと思って来た。
言える権利というのは『仲良く』が前提に来るものだからだ。
皆と仲良くしていない私は何も言う権利がない。そうやって接していたくせに、いつも突然に皆の意見として私の意見を求めて来る人がいる。
何で、この時だけ? 私は答えなければならないのだろう。いつもは訊かないくせに、必要としてないくせに、人は困ったり、何かをしようとすると今まで仲良くなかった人達の言葉を聞こうとする。
それは変わろうとしてではなく、発信したいだけだ。自分の意見をより多くの人に聞いてもらいたいが為に、卑しい人間を食い物にするのだ。
そんな被害妄想は捨てて、行きなさいと思うけれど。私の心がそうする。
言葉をなくしたのはあなた達のせいなんだよ、とは言いたくないけれど、言葉を出させなくしたのはあなた達のせいだ。
そんな私を彼は変えてくれるだろう。だから、待つことにしたのだ。




