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ガラガラガラガラ
ガタッガタタッ
軋みながら回る車輪、石を踏んで跳ね上がる荷車。
後ろを振り返ると、両側から木に迫られた狭くでこぼこした山道に、延々と荷車の車列が続いている。
くっそー、うるせー
つか耳が変になるわ、こりゃ
「カシラぁ!」
先頭の荷車あたりから悲鳴じみた声が上がる。
「ちっちょっと来てくれろ!」
「おう、どうした?」
「荷車が泥にはまって動きませんぜ!」
「ん、今行くから」
びしゃびしゃと泥を跳ねながら、声の方に進んでゆく。
夕べの雨で、林の中の小道は酷い泥濘だ。
スタックした荷車は、川のように流れる雨水にはまっていた。
小者どもがうんうん言って押しているがビクともしない。
「ええっと、こういう時は・・・」
俺は持てる知識をフル動員して小者たちに指図した。
「石を敷き詰めて、その上にムシロを敷くんだ」
「また面倒な事を・・・」
「こちゃごちゃ言わずにやる!」
「ヘイヘイ」
部下たちは、しぶしぶ作業に取りかかる。
すると、それを見ていた別の荷車の人足が近づいてきた。
俺よりだいぶ年配の男だ。
「ワシは矢口のお家で陣夫頭を務める弥助と申す。
古厩さまの陣夫頭は、随分とお若いのじゃな」
「ええ、まあ、最近取り立てていただいたばかりなんで」
「その若さで陣夫頭とは、才覚が有るのじゃろ。
しかし何やらお困りの御様子、ひとつ手伝どおて進ぜよう」
「あ、そりゃ助かりますぅ」
「なんの、古厩さまの荷車が進まねば、ワシらも動けぬからな。
どれ、他の家の者にも声をかけて来ましょうかな」
そう言って弥助って人は、後ろの荷車に向かって行った。
いいオッサンで良かった。




