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「若さま、どうぞ・・・」
これまで黙って話を聞いていたげん爺が、不意に口を挟んでくる。
「どうぞ俊之介めをよろしゅうお頼み申し上げます。
コヤツは出来こそ悪いものの、お天道さまがワシらに下された大事な子ですのじゃ」
言い終わると土間に手を付いて、深々と頭を下げた。
次いでおばさんも、そしてふみちゃんまで。
つか、出来が悪いとか、そうはっきり言わなくても。
小平太は、一瞬だけ驚くが、直ぐに顔を和らげた。
「手を上げよ、げん助。
皆もじゃ。
俊之介はワシにとっても大事な友じゃ、あたら空しゅう死なせたりはせぬ。
案ずることは無いぞ」
「あ、有り難きお言葉で御座ります。
これ、俊之介!
お前もぼうっとせずにお礼を申し上げよ」
「いや、良いのだ、それには及ばぬ。
夜分ゆえ、これにて失礼いたすぞ」
小平太は、くるりとみんなに背を向けて玄関に向かう。
俺は、何故だか放っておけなくて、その後について小屋を出た。
それに気づいた小平太が、不思議そうな顔で俺を見る。
「如何いたした?」
「そこまで送ろう」
「いや、それには及ばぬぞ」
「気にすんな、俺が送りたいだけだって」
「さようか」
日はとっくに西に傾き、山々の稜線を紅く彩っている。
先に口を開いたのは小平太の方だった。
「ヌシには済まぬ事をしたと思うておる」
「ん?」
「ワシらの戦に、ヌシを巻き込んでしもうた」




