6
でもこれが無ければサッカーになんないから。
「後、ボールがいるんだ」
「ぼおる?」
「うん、こういうヤツ」
俺は、両手を使って球体を作って見せた。
「これをお互いに蹴りあうんだ」
「おお、毬じゃな?
毬を蹴りあって修練を積むということか。
うむ、得心いたした。
何とかしよう」
「うん、とりあえずそれだけ。
じゃ明日ね」
「おお、では明日、また参るぞ」
歩きだした小平太が、ピタッと足を止めた。
「その・・・
かたじけない。
俊之介さ」
「え?
おまっ今、俺の事さん付けで呼ばなかった?」
振り返った小平太は、照れ臭そうに笑う。
「さっかあをたしなむ者は、みな仲間じゃ!
そうじゃろ?」
今度こそ小平太は帰っていった。
アイツ・・・
ホンとは、俺なんかより知恵も度量も有るヤツなんじゃないだろうか
そうでなければ、底辺の俺なんかに気さくに声をかけたり、まして頭を下げたりできないはず。
そんな小平太が、あれだけぴりぴりしてるってことは、この郷はヤバイことになってるんか?
でも、元の時代に居たとき、ここらに古戦場があったなんて聞いたこともねぇぞ
まあ、俺が知らないだけかもだけど
だいたい武田信玄って、川中島で上杉謙信とやり合ったヤツだろ?
だったら、ここは進撃ルートから外れてんじゃね?
「ルートから外れました、再検索します」
ふと思いついて、カーナビの音声案内をまねしてみる。
いやいや、再検索しちゃまずいだろ。
俺は首を振り振り仕事に戻った。




