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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第53話 友達?

その日。


悠とフィオナは、いつものように森の中にいた。


フィオナの家の前。


悠は椅子に座り、フィオナは薬草を整理している。


ノアは少し離れた場所で、何かを追いかけていた。


「きゅっ」


そんな静かな時間の中。


森の奥から、人の足音が聞こえてきた。


「……?」


悠が顔を上げる。


やがて。


木々の間から、リアが姿を見せた。


「あ、悠」


「……リア」


リアは悠の隣にいるフィオナを見る。


そして、特に驚くこともなく。


「こんにちは、フィオナさん」


「……こんにちは」


普通の挨拶。


それだけだった。


リアは慣れた様子でフィオナに話しかける。


「薬草、届けに来たんです」


「……ありがとう」


二人は普通に会話をしている。


悠はその様子を黙って見ていた。


自分とは違う。


リアはフィオナと普通に話せる。


フィオナも、リアとはそれなりに話している。


少し不思議だった。


そんな悠を見て。


フィオナが、ふと尋ねた。


「……悠とは友達なの?」


「……」


悠が止まる。


リアも悠を見る。


「そうじゃない?」


「……」


悠は考えた。


友達。


その言葉を、自分に当てはめたことはなかった。


リアとは。


村に行くと一緒にいる。


家にも来る。


祭りにも一緒に行った。


雨の日には森まで来てくれた。


困ったときには助けてくれる。


それに。


自分もリアが来ることを、嫌だとは思っていない。


むしろ。


来てもいいと思っている。


悠は少し考えて。


「……友達」


口にした。


その瞬間。


悠自身が、少し驚いた。


「……」


自分で言ったのに。


なんとなく、変な感じがする。


リアは少し笑った。


「うん」


フィオナも悠を見る。


少しだけ目を丸くしていた。


「……そう」


そして。


少し間を置いて。


「……じゃあ、私も?」


「……」


悠がフィオナを見る。


フィオナは少しだけ視線を逸らした。


「……嫌ならいいけど」


「……」


悠は考える。


フィオナとは。


ほとんど話さない。


一緒にお茶を飲む。


本を読む。


雨の音を聞く。


何も話さない時間を、一緒に過ごす。


それでも。


フィオナの家には、何度も行った。


自分の家にも、フィオナを招いた。


そして。


フィオナと一緒にいると、疲れない。


「……」


少しだけ考えて。


悠は答えた。


「……別に」


フィオナが悠を見る。


「……じゃあ友達」


「……うん」


それだけだった。


リアが二人を見て、少し笑う。


「じゃあ、友達が一人増えたね」


「……」


悠は少し考える。


友達。


一人増えた。


そう言われても。


何かが劇的に変わったわけではない。


フィオナも、明日から急にたくさん話すわけではない。


悠も、毎日会いに来るわけではない。


ただ。


これまで「フィオナ」と呼んでいた相手に。


新しい名前が一つ増えただけ。


友達。


「……」


悠はフィオナを見る。


フィオナも悠を見る。


「……」


「……」


いつもの沈黙。


けれど。


ほんの少しだけ。


今までとは違って見えた。


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