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【完結】隻狼の魔法侯爵の俺と悪役令嬢なはずの彼女  作者: 夕凪 瓊紗.com
第1章 隻狼の魔法侯爵と悪役令嬢

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そう言えば、忘れてた。




「・・・パーティー・・・?あぁ、すまん忘れていた」


「・・・お前な」


ある日の夕方、ウチにやってきたラーヒズヤから尋ねられて思い出した。


「毎日ニシャとちびっ子狼たちのたわむれを見守っていたら、それどころではなかったんだ。許せ」


「いや・・・お前な・・・」


「それに俺のニシャも先日の件で少し休ませたかったからな」


「まぁ、それは陛下も了承済みだから仕方がないと怒ってはいらっしゃらなかった。でもなぁ・・・」


「何だ・・・?何かあったのか?」


「あぁ・・・実は第1王子殿下がな・・・」


「またあのバカ王子か」


「あぁ・・・まただ」


「今度は何をやらかしたんだ?」


「うん・・・取り巻きの・・・外務大臣の息子とアニクを伴ってきたんだ」


「へぇ・・・婚約者または双子の姉がカメレオンになったのに呑気にパーティーか」

カメレオン(=ダーシャ)の婚約者が第1王子、そしてその双子の弟がアニクである。王族と公爵令息と言うこともあり、このふたりは幼馴染みでもあるそうだ。


「俺もそう思ったが・・・目的はどうも別のところにあったようだ」


「別のところというと・・・?」


「今回のカメレオン事件・・・じゃなかった。お前が関与した騒動について、虚言を広めようとしたんだ」


「ふぅん?具体的には?」


「・・・“悪役令嬢”のニシャちゃんが王子に振られた腹いせに婚約者のお前を籠絡してダーシャ嬢にえげつない毒を盛ったせいで彼女は病床に臥し、外に出ることもままならなくなったと。しかしながらお前が魔法侯爵と言う特殊な立場を使い、ダーシャ嬢の大切な使用人をかっさらった上に事件をもみ消したのだとな」


「・・・ほぉ?」

“悪役令嬢”・・・ね。そんな言葉が出てくるということはあちら側にも前世の記憶持ちがいるのだろうか・・・。テンプレ的にはヒロインが前世の記憶持ち、または乗り移りスタイルと言う可能性が高い・・・が、まだまだ断定はできないな。


「それで、どうなったんだ?」


「無論、城のパーティーだからな。その場に陛下もいらっしゃった」


「やはりバカなんじゃないのか?そのバカ王子」


「まぁ、それは事実だが・・・それを聞いた陛下が遂に・・・」


「遂に・・・?」


「第1王子殿下の襟首を掴んで思いっきり投げ飛ばした」

殴り飛ばしたんじゃなくてか。まぁ、あの陛下ならそれくらいはしそうだが。


「まぁ、それでものの見事に壁をぶち破って気絶してな。陛下は頭を冷やすためにもパーティーが終わるまでそのままにしておけと仰った」


「うん、俺も陛下のそういうとこ気に入ってる」


「・・・似た者同士め・・・ぶつぶつ」


「それで、結局どうなったんだ?」


「陛下が事件のあらましを説明されたよ。ニシャちゃんに贈られたドレスと宝石をつい身に着けてしまいたくなったダーシャ嬢が勝手に身に着けてしまい、魔法師団で研究していた最新の防犯魔法に引っかかってしまった。その上、魔法侯爵から善意で提供された解毒剤を処方通りに飲まずに悪化したため、陛下が自ら魔法侯爵に頼み込み解毒剤をもう一度処方してもらった。なお、公爵家におけるニシャちゃんとアンシュの待遇について公爵閣下の目が及ばないところがあり、婚約者の行く末を案じた魔法侯爵が特例を使って保護した。また、アンシュについてもその才能を飼い殺しにされていたため魔法侯爵が引き取り、魔法師団長の俺の養子として魔法の研鑽を積むことになったとな」


「・・・ふ~ん、事実と違うところもあるにはあるが」


「まぁ、“窃盗容疑”に関しては明言されなかったが・・・さすがにこの話を陛下自身から聞けばいくら王子が何と言おうが疑う者はいないだろう。現に、“異論がある者は?”と陛下が聞いたがそれに反発する者はいなかった。あの3バカはともかく、ほとんどの貴族は陛下の功績を知っているからな」


「知らぬは平和な時代に生まれ育ったボンクラどもか」

まぁ、俺もそうだが・・・。陛下の実力は十二分に知ってるからな。


「そうだな。因みに、バカ王子に乗っかった後のふたりは後程親を呼び出し厳重注意されたらしい」


「ざまぁないな」


「しかも、カシス公爵家は私財のほとんどが差し押さえられているらしい」


「ちらっと俺も聞いた。それでよくパーティーになんぞ顔を出せたものだ」


「そうだな。それで、近々屋敷ごと売り払うことになって、使用人は解雇の上、夫人と子女を伴って領地に帰るそうだぞ」


「ははっ、そういうことか?ウチにもあの家の使用人どもが来たぞ。ニシャが俺に嫁ぐのだから自分たちも雇えとな」


「まったく、使用人どもまでお花畑か」


「あぁ・・・むしろ・・・花でも咲かせてみるか?確か魔物に生き物の生命力を吸い取る花があったな・・・」


「やめろやめろ。また恐ろしいものが産みだされるっ!!さすがに勘弁してくれ!」


「善処しておく」


「・・・是非やめてくれ。あぁ・・・あと、公爵邸の目の前に、地下牢に通じる穴が空いていたんだが・・・何か知らないか?」


「・・・あぁ・・・俺が空けた穴だな」


「・・・塞いでくんない?あのままじゃ防犯上賊が忍び込むのにはうってつけだと買い手がつかないらしい」


「知らんわそんなこと。地下牢なんてものを造ってニシャを閉じ込めたアイツらが悪い。俺は婚約者を助けに行っただけだからな」


「やっぱりお前の大魔王説はアタリじゃないのか?アールシュが言っていたぞ」


「・・・」


「お前の通り名がもはや魔法師団では“大魔王”になりつつある」


「それがどうした?」


「いいのか?」


「できればわふたんを思い起こすものをつけてほしいな・・・“わふたん大魔王”なんてどうだ?」


「・・・お前のわふたん好きはどうにかならんのか」


「俺からわふたんを奪おうとするなぁっ!!」

俺はたまたま通りかかったわふたん青年・クロに抱き着いた。


なんした?」

クロは何だろうと首を傾げる。


「俺のわふたん愛について、ラーヒズヤに教示していたところだ」


「んだべか」


「あぁ・・・あと今日は飲んでいくから。ドゥルーヴとハリカも来るから。ニシャちゃんとアンシュに会うのを楽しみにしているからよろしくな。てことでつまみくれ」


「・・・うぐ・・・っ」

ドゥルーヴはともかく・・・“ハリカ”にニシャを会わせるのは・・・気乗りがしない。




ルドラ「けど、もうひとつ忘れている気がするんだ」

クロ「んだべか。ふわもふったらそれも忘れるべ」

ルドラ「んだな」

ラーヒズヤ「いや、それじゃダメだろっ!!」

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