セレンス村奪還作戦 2
ちょっと恥ずかしい展開の所なのでアップする勇気が中々出ませんでしたすいません><。
ふふん鉄だよねー鉄w
メイアリアはオレがニヤニヤしているので怪訝な顔だ。
それもオレが言っていたアイアンゴーレムの攻略法がまさか自分を中心に使うとは思っても見なかったからだ。
「殿下、私のワイヤードランスではメタルゴーレムやアイアンゴーレムとの相性は最悪なのですが。」
「まあまあ、そういわないで試してみてよ、アレイクさんとフルニさんが作ったアイアンゴーレムなんだからその辺のよりも強いんだろうし、上手くいけば直に片が付くよ。」
オレがそういうとメイアリアはアレイクさんとフルニさんが急遽こしらえたアイアンゴーレムに向き直った、その数五十体!
「じゃーメイアリア一番強力なので頼むよ」
「はい、解りました。」
オレが考案した方法はどうやら誰も気がつかなかったようで皆、目を白黒させて驚きを隠せなかった。
しっかし困ったぞー、今から直にでも速攻で行かないと鉱脈が尽きるまで何時まででも自動生成されちゃうだろうし。
「ハーク殿下、事態は一刻を争います、わしは先にセレンス村に街道騎士と共に向かいます。」
と、ドレイクさんは言い残しワイヤードランスの騎士行軍で飛んで行った、つかあの人もワイヤードランス使えたんだ。
『殿下の策が問題無い様なのでカイン副長以下第一騎攻師団も既に向かわせました、ワシ等は後詰めと行こうかの!』
ニヤニヤとブラックドラゴンさんも久々の大戦で興奮を隠せないようだ。
それとは正反対にメイアリアは何と無くしょんぼりしている。
「メイアリアどうした??」
とオレが聞くと、
「殿下の仰る策をなぜ今まで思いつかなかったのか、少し自分の能力の使い方が甘かったのではないかと・・・。」
うわーまたメイアリア軽く落ち込んでるー。
まー仕方ないかもしれないよねー確かに、まさかメイアリア自身の魔法属性が最もメタルゴーレムなんかに効果てき面なのをオレからおそわっちゃったんだから。
「何言ってんだよメイアリア、そもそも今回の作戦はメイアリアが居なきゃ成立しないんだぜ、他の誰でも無いよメイアリアとブラックドラゴンさんと第一騎攻師団が有るからこそ出来るんだからさ。」
オレは必死にメイアリアをフォローした。
「そうですね、私も自分の能力に工夫を加えたりしないといけませんね。」
ん?立ち直ったのか??
なんか違う気がするが、まー前向きに成ったからよしとするか、とにかく今は時が惜しい。
『ハーク殿下、シルバーンの民に事態の説明は後々するとして、今はワシ等もそろそろ参ろうか!!』
なんだかなーブラックドラゴンさんが血気盛んな若者に見えるんだけど。
普通、逆な様な気がするが。
「そうだね、あんまし街道騎士に無理させられないし。」
オレ達はブラックドラゴンさんに騎乗して騎士学院を飛び立った。
シルバーンの夜の灯りが見えなくなって暫く高速で飛行していると、遥か彼方に薄っすら戦いの光が見えている。
『うむ、善戦してるようだの!!』
「殿下、私本音を言いますと今回殿下には後衛で陣を守って頂きたいのですが・・・。」
「おいおい、メイアリアそんな今更無理だよ、オレだって騎士団長なんだしさ。」
「ですが、殿下にもしもの事があったらと思うと夜も眠れなくて。」
まさか、メイアリアがそこまで思いつめていたとは、オレは彼女の事を考えているようで考えてなかったのかも知れない。
俺達の会話を知ってか知らずかブラックドラゴンさんはだんまりを決め込んでいる。
ブラックドラゴンさんの顔は相変わらずいつもと同じ様にこれもいずれは通る道とでも言いたげだ。
オレはメイアリアに口で言ってもどうにも成らないと悟り始めていた、彼女だって本当ならただの十六歳の女の子だ、たまたまそのように産まれついただけでこんな戦に身を投じ続けてきたそして今まで自分を律してきたつもりが今になって
溢れ出てしまったのだろう。
オレたちが行かなければこの戦闘は明らかに不利だがメイアリアが今まで我慢してきたこの戦いばかりの人生を思うとオレは彼女が愛おしく成ってしまった。
気がつくとオレは後ろに立っているメイアリアを力任せに無理やり引き寄せドラゴンから落下しながら彼女の唇を自分の唇でふさいでいた。
ゴワーーーーーーーーー
『まったく世話の焼ける、ガハハハハハハ。』
いつもの調子でそういうとブラックドラゴンさんが落下するオレとメイアリアを空中で鷲づかみにすると錐揉みして背中に戻した。
オレとメイアリはブラックドラゴンさんの背中の上でばつが悪くなってお互いうつむいていた。
『そろそろセレンス村の前、最後の見張り櫓を抜けるぞ!!』
その声を聞いてメイアリアがしゃんとしていつもの様に立ち上がって前を向いた。
なんかオレはオレでやっちまったなーって感が・・・。
あーあ、芽衣子ときちんと色々しとくんだったなーって今更あとの祭りだった。
まーキスだけなら既にしてるからあれだが、芽衣子とメイアリアが同じ線上に並んじまった。
元の世界に帰れるか判んないけどなんかもーオレ色々駄目だなほんと・・・。
そうこうしてる間に最後の街道騎士の見張り櫓を通り抜ける、前方では第一騎攻師団と街道騎士がアイアンゴーレムと壮絶な戦いを繰り広げている。
副長のカインさんもドレイクさんも無事だ、みんなには兎に角アイアンゴーレムを倒さなくても良いから一箇所に集められるだけ集めてくれるように言ってあるのだがなにせ数が違いすぎる、此方は街道騎士を含めても総数五十余名、相手のサイズもでかい上に百倍じゃとてもじゃ無いが一箇所にだけ集めるのはやはり無理の様だ。
「仕方ない、メイアリアここはまず有る程度集まっている所から叩くぞ!!」
「はい!」
オレの合図でブラックドラゴンさんが咆哮と共に雷雲を呼ぶ、周りの第一騎攻師団のブラックドラゴン達も旋回しながらゴーレムたちの外側に散る。
メイアリアが手近なゴーレムの一団に向かって海龍王のワイヤードランスを叩きつける地面に達すると同時に夥しい量の雷が槍と空の両方から迸る。
海龍王のワイヤードランスとブラックドラゴン達が協力して発生させた雷に貫かれた五十体ほどのアイアンゴーレムの動きが明らかに悪くなり、次の瞬間雷が通ったゴレームが一箇所に ガチン!!と くっ付いた。
「よし、上手くいったぞ、この調子でどんどん動きを止めよう。」
「殿下、本当にうまくいってしまいましたね。」
『いやいや実に見事、まさかこれほどの効果があるとは、ガハハハハハハハハ!!』
いちど上手くいって街道騎士と第一騎攻師団の士気も上がる、それからはあっという間だった、ひっついて動けなくなったアイアンゴーレムに他の動けるアイアンゴーレムをぶつけたりすれば良いのだから話は簡単だった、しまいには知能が無いのでちょっとうろちょろすれば自分から引っ付いてしまう体たらくだ。
最終的には動いているアイアンゴーレムに向かって雷を食らわせたりしてるのであっちこっちで勝手に引っ付いて大半のアイアンゴーレムが磁石に成ってくっ付いた。
「よし粗方片付いたな、あとは肝心の自動生成装置を叩かないとまたいくらでも出てきちゃうから早いところ見つけて止めないと。」
「殿下、船が沈んで居るのは灯台の根元です、どうやら灯台の予備の階段からゴーレムが上がって来ています。」
と副長カイン、ふとみるとドレイクさんの姿が見えなくなっていた。
まーたあの人仕事はええよなー、もう沈んだ船に潰しに行ってるなこりゃ。
そんなこんなで陸上の戦闘はどうやら損傷も軽微で済んだ。
でも問題はゴーレムの生成装置だ。
「カインさんの言う通りなら灯台からの予備の階段から昇ってこないところを見ると、ドレイクさんが階段を既に崩したか。」
「どうやらその様です、殿下。」
『まったく相変わらず仕事が速い男よ、無駄に責任を感じる必要もあるまいて。』
「では私が生成装置を確認して参ります、ドレイク殿が戻られないのが気に掛かりますので。」
『まあ、あの男だ、万が一もありえんな。』
ブラックドラゴンさんのそのセリフがおわるやいなやカインさんとそのブラックドラゴンは海に入っていった。
その頃ドレイクは海底で困惑を隠せなかった、確かに自動生成装置は有ったそして起動もしていたので破壊もした。
だが、今回アイアンゴーレムが発生する原因の物体が今まで見たことも無い物だったので有る、確かに、この辺りには鉄の鉱脈は存在するが、だからといって沈没した船の中に有る自動生成装置が鉄鉱脈まで達している筈がそもそも無かったのだ。
ドレイクの考えていた想定とは今回は明らかに違っていた、その海底にあったのは鉄製の巨大船だったドレイクの記憶では鉄製の船は何処にも存在してい無かったのだが実際今目の前にあるこの明らかに鉄で出来ている巨大な沈没船の存在は否定のしようも無かった。
夜が白々と東の空から明けていく、太陽が昇るにつれてセレンス村の惨憺たる情景が露に成って来る夜間の戦闘で到着と共に戦闘に成ったのでいままで気がつきようも無かったのだが、魔導王朝の一般兵と見られる死骸がそこ、ここに転がっていた、メイアリアの顔には明らかな悲しみの表情が見て取れた、彼らを倒したのは制御のきかなくなった自動生成装置から出てきたゴーレムなのだが彼女にとってはどうやらそんなことは関係ない様だった。
「さらし者にしておくのは忍びない、可能な限り彼らを埋葬してやってくれ。」
オレは街道騎士と第一騎攻師団の面々にそう告げると、セレンス村の状態を確認する為にメイアリアを伴ってまず灯台に向かった。
「殿下は本当にお優しいのですね、敵国の兵ですのに。」
そういいながらもメイアリアの目からは涙が零れ落ちそうだ。
「死んでしまったら敵も味方も無いさ、それにそんなに毎回悲しんでたらもたないよメイアリア。」
そういいながらも戦闘前のことを思い出していた、メイアリアにはもう本当なら戦いは無理なのかも知れない、今までは感情を押し殺して見て見ぬふりをしてきたのだろうが、戦いばかりの生活から離れ、メイドとして生活しているうちに本来の優しい性格が表に出てきてしまったのだろう。
灯台に到達するとドレイクさんが報告をしてくれた。
「ハーク殿下、自動生成装置はわしが破壊しておきました、それと可能な限りカイン殿と引き上げておきました。」
オレ達はドレイクさんに促され自動生成装置の残骸を見に行った。
自動生成装置はいわゆる魔導刻印の集合体みたいな物だった、オレのワイヤードランスに使ったサイズの宝玉がそこここにあることを除けば。
「こんなに大量の宝玉が使われているのですか??」
「はい、わしも正直驚きました、これほどの数の宝玉が使われているとなると、もうこれは宝玉自体も製造していると考える他在りません。」
ドレイクさんのセリフを聞いてカインさんも腕を組んで考え込んでしまった。
「殿下ご報告したいことはこれだけでは無いのです。」
「まだなんかあったの?」
「はい、むしろこちらの方が問題かと思われます。」
ドレイクさんは灯台の地下への階段へ通じる扉を開くと、オレ達を案内した、
地下に降りる階段をしばらくいくとガラスの窓が設置してあり海の中の様子が見えるように成っている、オレは南国の極彩色の海中にしばらく見入っていたが、さらに下にくだって行くととんでも無いものが見えてきた。
「これは船なの??」
「まさか魔導王朝にこれほどの建造能力があるのですか?」
メイアリアも驚きが隠せない。
「いえ、これはどうやら彼らが建造した物では無いようです、それにここに沈んだのはかなり昔の様です。」
「しかしドレイク兵長こんな物がここに沈んで居れば村の方々からすぐさま連絡が入るはずでは??」
「そうです、灯台のしたの窓から見えるのだから避難している村人達から報告があがる筈ですが直近の街道騎士に聞いたところ誰も知らないと言っておりました、海中で見たところどうやら四、五十年は経っていそうなのですがそれほどの長期間ここに在るのであれば知れ渡っていそうなものですが。」
「その時期はまだ今ほど魔導王朝がせめて来てはいないですよね。」
「そうです、先代の魔導王朝の王は我が国に興味を示して居なかったのでこれほどの船を使ってここに攻め入る筈もありません。」
謎が謎を呼んでしまったが、どうやらこの船の上にゴーレムの自動生成装置が沈んだ為にアイアンゴーレムが大量発生した様だ、なんて迷惑な船だ、それにしてもあれだけの数のゴーレムがすでにできているのにまだこれだけ船体を維持してるなんてどんだけでかいんだこの沈没船。
オレ達はわからないことを考えても仕方ないので村の設備の確認に戻ることにした。
「あれさー、宝玉っていうか宝石ってさー超圧縮すればできるんじゃないの??」
ふと日本に居るときにみた人工ダイヤモンドの特集のテレビを思い出したのだが。
「まさかそんな馬鹿な。」
とドレイク。
どうやらこちらの世界では宝石を人工的に作るという発想が無かったようでオレがポロっと言った発言がドレイクとカインさんの好奇心に火を点けてしまった。
「殿下、そのようなことが出来るのですか??」
メイアリアまで興味深々だ。
「だって自動生成装置についてた宝玉って生成してると考えるしか無いんでしょそれなら重力魔法とかで無理やり圧縮しまくればできるんじゃないの?」
「それはわしも知らない技術ですな、もし彼らがその技術をなんらかの方法で会得していたとするとあの生成装置の宝玉の多さもことりどのに持たせていたのも
合点がいきますな。」
「アレイクさんを連れてこなかったのが悔やまれますね、殿下、彼女でしたら閲覧禁止の古文書もみれる・・・。」
「「あ!」」とメイアリアとドレイク。
カインはどうやら口を滑らせてしまったことに気がついて途中で発言を辞めてしまった。
「へー何それ閲覧禁止の古文書って何処にあるのかなー??」
オレの発言を聞いてメイアリアとドレイクに睨まれたカインさんが可哀相ではあったがオレは聞かずには居られなかった。
早い話、オレが散々図書館でいろいろな本を読み漁って居たのでオレに閲覧禁止の古文書の存在を教えると、絶対に出せって言われるだろうってアレイクとメイアリアとドレイクが結託してその存在自体を秘匿していたのだった。
それからのカインさんは可哀相だった、メイアリアからはいつもの様に電撃でバリバリやられてるわ地上に戻ってもそのさまを皆に見られて笑われてるはで、副長の威厳も何も在った物では無かった。
まーカインさんがポカやってくれたおかげでメイアリアもいつもの調子を取り戻したみたいだし。
村に戻って魔導王朝の一般兵達を埋葬し終えこれからの予定をきめる事にした。
あの豪放磊落を絵に描いたようなブラックドラゴンさんも昨日の夜から昼過ぎまで休み無く動いていたので流石にお疲れモードだ。
『しかし流石に骨が折れたのう、緊急事態とはいえひとっ飛びして戦闘、それから休まず村の復興作業とは、寄る年波にはワシもかてぬのう。』
「まー片がついたんだから今日は村に一泊してから明日帰れば良いさ、ドレイクさんの配下の街道騎士たちが報告しに行ってくれたし常駐騎士も戻ってるんだから今日はのんびりしようぜ。」
「そうですね殿下私たちはすこしのんびりしてから帰りましょう。」
とメイアリア。
それにしてもあの船は一体なんなんだろう、大きさから見ると260メートルは有りそうだし、とてもこちらの世界の物には見えなかった、寧ろ、あれは・・・
いや、そんな筈がないな。
次回は恥ずかしいところが無い予定なのですぐにお届け出来るかと。




