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俺の苦手は……


 またランニングマシーンのペースが上がった。

 もう、走りながら喋るのは無理そうだ。

 俺は必死になって足を踏み出した。


 うーん?

 苦手な相手と言えば、真っ先に課長の顔が浮かぶ。

 だが、奴はダンジョンスプラウトを持っていない。属性は不明である。


 火・光の凛花や、風のみのり、水のコロちゃんとの相性は良いはずだ。

 ……いや、コロちゃんは祖父のダンジョンを受け継いだだけで、自分で芽吹かせたわけじゃない。となると、実際には水属性とは限らないのか。なんか、あの子は二属性になりそうな気がするな。

 とにかく、みんなとは楽しく話せているし、避けられている気配もない。


 土属性の剛。少し苦手な印象がある……。

 とはいえ、それは初対面での彼の強引なやり口や、あの大柄な体格と筋肉の圧迫感によるものだ。今では大分慣れてきた。

 こうして相談に乗ってもらっている今は、むしろ好感を抱きつつある。


 闇属性の薬師寺理央も、色々と面倒な奴だが、不思議と嫌いではなかった。

 話せば有益な情報が得られるし、毎回こちらがツッコミ役に回らされるのを除けば、一緒にいるのは案外楽しい。

 向こうも俺に対して、これといって苦手意識は持っていないように見える。


 まあ、『実験サンプル82号(株)アゾット製薬』が、本当に理央の精神を写し取ったものかは(さだ)かではないが……。

 なんとなく、()()は理央な気がする。

 ただの直感でしかないが、あの黒いダンジョンが放つオーラが、彼女の不遜(ふそん)な雰囲気そっくりに感じられたのだ。


 そうだ! 人にも属性が当てはまるなら。

 闇属性の理央と、火・光属性の凛花は、逆説的に相性が悪いことになる。

 正義感が強くって真っ直ぐな凛花と、ヘラヘラふざけた態度の理央……あああ、想像するだけでわかるぞ、これ!


 間違いなく、最悪の組み合わせだ。

 もし理央の諸々(もろもろ)の悪事を知れば、まじめな凛花は説教を始めるだろう。対する理央は怒られながらもエヒエヒ笑って、「あの人めんどくさいねえ。アタシやだな」なんて、平然と憎まれ口を叩くに違いない。

 この二人が仲良くするのは難しそうだ。

 うーむ。属性=その人の性質説の説得力が、またちょっと上がった。


 雷属性の知り合いは、まだいない。

 だとすると、雷が『冥』の弱点か……?

 ならばきっと、課長は雷属性だな。


 課長のカミナリ。

 ……嫌な響きだ。


 巡る思考を断ち切るように、剛の声がかかった。


「マシーン、止めるよ! 徐々(じょじょ)に歩きに移行して」


 言葉と共に、ランニングマシンのリモコンを操作する。

 ウィーーーー……ン。

 トロトロと動いていたベルトコンベアが、ようやく止まる。


 足を止めてぜいぜいと息を荒げる俺に、剛は言った。


「君に読ませてもらったログだけどね。やっぱり今のところ、『サービス残業お断りダンジョン』のラビリミンに、苦手な属性は見当たらない。それどころかレベルが上の相手でも、()()()()()()()()()()()()()()()()を取り続けている。だけどね、そんなウマい話が世の中にあると思うかい?」


 俺は汗まみれの熱い身体で、カラッカラの喉の奥から、かすれた声を出した。


「……ないでしょうね」


 あるわけない。

 特に俺みたいな冴えない社畜に、そんな都合のいい話が。

 つまり『サービス残業お断りダンジョン』の快進撃(かいしんげき)は、何かしらの条件の上に成り立っている。


 だとしたら、その条件って一体なんだろう??

宣伝。

明日、(というか3時間後)の5月1日に、「異世界ラーメン屋台。エルフの食通は『ラメン』が食べたい」のコミカライズ一巻が発売されます。

森月真冬が原作している異世界グルメファンタジーです。

よろしくお願いしまー〜す!(鼻血

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