使役獣(サラ)
きいーっ、ムカつく!
咆哮と炎で脅してあたしのチャームポイントである尻尾を引き千切る悪鬼のくせしてなにが「きゅっ」よ。かわいこぶっても嫌われもののドラゴンだってのは変わりないのよおたんこなす!
ドラちゃんって呼ばれて喜んでるけど、お姉さんはあたしなの! あんたみたいなデブじゃなくってあたしが一番乗りの使役獣なんだからっ! デブドラのくせしてご主人様の肩に乗っかっちゃってムカつくことこの上ないったら!
しかも信じられないことに人間たちはあたしをオスだと思い込んでいたなんて衝撃過ぎて言葉がないわ。ご主人様は流石だけど、ご主人様の番になるアシュレイまであたしのことを勘違いしていたなんてほんっとあり得ない。そんなんだから未だに番えてないのよあんぽんたん!
それもこれもデブドラのせいよ!
デブドラのくせしてあたしより高い位置に陣取るなんて許せないっ。
「ちょっとデブドラ!」
「きゅ?」
「きゅじゃないわよ!」
「……なんでしゅか?」
「あんたあたしの尻尾千切ったこと謝りなさいよっ」
「おーめんねー」
「おーめんねーじゃないのよ、ごめんなさいサラ先輩でしょうがよぉ!」
「おめんなさいサラちぇんぱい」
「きぃぃっ、ムカつくわねっ!」
「ぼくサラちぇんぱいのいうこときく。なにちたらいいの」
「そんなのご主人様を守るに決まってんでしょ。魔力食べるだけなら泥棒と一緒でしょ。魔物の風上にも置けないってもんよ!」
「わかりまちた」
「まずあんたはあたしの五歩後ろを歩くこと!」
「ごほあるくねー」
「ご主人様に襲い来る人間は殺さない程度に攻撃すること!」
「ころちちゃうかもー」
「そっ、それはっ……気持ちは激しく同意するけどっ。人間を殺したらご主人様の立場が悪くなるのよっ」
「わかりまちた」
「ホントに分かってるの?」
「まかしぇて」
「アシュレイが相手でも容赦なしよ」
「まかしぇて。黒焦げにすゆ」
「仮にもご主人様と番う予定の相手よ。頭を焦がす程度にしなさい」
「わかりまちた」
「……あんた歳はいくつよ?」
「百歳くらいでしゅかね?」
「知らないわよ!」
「二十歳?」
「だから知らないってば! あんた自分の歳も分からないの!?」
「うん、わかりましぇん。さらちぇんぱいは何歳でしゅか?」
「女に歳を聞くもんじゃないわよっ!」
「ごっ、ごめんなちゃいっ!!」
「あんたっ、親ドラがご主人様を襲ったら殺す覚悟はあるんでしょうね!?」
「ぼく勝てないでしゅ。だからご主人様を守るようにお願いしたでしゅ。いいよって言ってくれたでしゅ」
「あら、そうなの? よい心がけね」
「さらちぇんぱいの教えのおかげでしゅ」
「でっ、でしょうねぇ!」
まぁ、仕方ないなら面倒見てやろうじゃないの。




