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追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


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第054話: 改造! 魔法と科学のハイブリッド

 工房『鉄の鎚』での改造作業は、まさに戦場だった。


「おいナビ! そこのフレーム強度が足りないよ! ミスリル板をもう二枚追加しな!」

『否定します。重量増加により機動性が3%低下します。カーボンナノチューブ構造の採用を推奨』

「かーぼん? なんだいその呪文は! 訳わかんない素材使うんじゃないよ!」


 ガーネットさんとナビの怒鳴り合いが、BGMのように響き渡る。

 ガーネットさんはハンマーを振るって物理的な補強を行い、ナビはアームを操作して精密な配線を行っていた。

 二人の作業速度は異常に速く、キャンピングカーは見る見るうちに姿を変えていく。


 僕はといえば、魔石への魔力充填係として隅っこで作業していた。

 ……主役のはずの僕が、なぜか一番地味な役回りだ。


「しかし、困ったねぇ……」


 作業開始から一日後。ガーネットさんが手を止めて腕組みをした。


「船底にスクリューを付けるのはいいけど、このままだと魔力エンジンの出力伝達が上手くいかないよ。水圧に負けて軸がブレちまう」

『同意します。物理的な接続では限界があります。流体結合フルード・カップリング方式を模索中ですが、この世界の素材では粘度が……』


 珍しく二人揃って行き詰まっているようだ。

 ドワーフの物理技術と、ナビの現代科学知識をもってしても、異世界ファンタジー物質との相性問題は解決が難しいらしい。


「魔法でなんとかできないかな?」


 僕が提案すると、二人は同時に振り向いた。


「魔法? あんたにそんな繊細な制御ができるのかい?」

『マスターの現在の魔法制御スキルでは、成功率12%です』

「……ごめん」


 即答されて心が折れそうになる。

 だが、僕には心強い味方がいる。


「僕じゃ無理でも、彼女なら分かるかも。……ナビ、ソフィアに通信を繋いでくれ」

『了解。通信魔法、起動』


 空中にホログラムウィンドウが開き、眠そうな幼女――大賢者ソフィアの顔が映し出された。


『ふわぁ……なんじゃユウか。こんな時間に何の用じゃ? わらわは今、極上の二度寝を楽しんでいたのじゃが』

「ごめんよソフィア。ちょっと知恵を借りたくてさ」


 僕は事情を説明し、改造中のエンジン部分を見せた。

 すると、ソフィアの目がきらりと光った。


『ほう……面白いことをしておるな。ドワーフの剛腕と、その妙な人工知能の計算を組み合わせるとは』

「で、どうかな? エンジンの出力をスクリューに安定して伝えるには」

『ふん、簡単じゃ。物理的に繋ぐからブレるのじゃろ? ならば、繋がなければよい』


 ソフィアはあくびを噛み殺しながら言った。


『スクリュー自体に自律駆動術式を刻み、エンジンからは純粋な魔力だけを供給するのじゃ。いわゆる「魔力同調シンクロ」じゃな。その際、術式を三重の並列構造にし、互いに干渉させることで回転のブレを相殺させる……数式で言えばこうじゃ』


 ソフィアが空中に指で複雑な魔法式を描く。

 それを見たナビが、即座に反応した。


『……解析完了。なるほど、魔力干渉を逆利用して姿勢制御を行うのですね。素晴らしい理論です。これなら物理的な軸は不要、完全な非接触駆動が可能です』

「へぇ! あんたの知り合い、化け物かい? こいつはドワーフの秘伝書にも載ってない技術だよ!」


 ガーネットさんも興奮して図面を修正し始めた。

 ソフィアは得意げに鼻を鳴らす。


『褒めて遣わす。……しかし、面白そうじゃな。ユウよ、完成したらわらわも乗せよ』

「もちろん。一番に招待するよ。ありがとね、ソフィア」

『うむ。では寝る』


 通信が切れると、現場の空気は再び熱を帯びた。


「よし、解決策は見えた! ラストスパートだよ!」

『了解。最終工程へ移行します。マスター、魔石の追加をお願いします』


 ドワーフの技術、現代のAI、そして大賢者の魔法理論。

 三つの叡智が融合した、最強の改造。

 

 そして三日目の朝。

 ついに僕たちの新たな翼――いや、新たな足が完成した。


「完成だぁぁぁっ!!」


 朝日を浴びて輝くのは、流線型の装甲を纏った『スーパー・キャンピングカー・マリン』。

 ボタン一つでタイヤが格納され、船底とスクリュー、そして安定翼が展開する水陸両用マシンだ。


「美しい……なんて美しいんだ……」


 ガーネットさんが頬ずりして泣いている。

 僕も感動で言葉が出ない。


 さあ、海へ行こう。

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