SS:魔法のプリンと妹の笑顔(レニ視点)
私にとって、あの日の出来事は奇跡の連続でした。
双頭のワイバーンに追い詰められ、もうダメだと思った時に現れた、見たこともない金属の動くお城——キャンピングカー。助けてくれた旅人のユウさんは、不思議で温かい雰囲気を持った素敵な人でした。
聖域に代々伝わる古代竜の卵から、小さな『ぽんた』が生まれた時も驚きましたが、何より驚いたのはユウさんたちの作る料理の魔法です。
「はい、お口の中でとろけるプリンだよ」
差し出されたガラスの器の中で、プルプルと揺れる琥珀色のスイーツ。
スプーンですくって口に入れた瞬間、私は自分の舌を疑いました。
(な、なにこれ……!? 甘くて、なめらかで……口の中でスッと消えちゃった……!)
竜の国では、肉を火で炙って食べるくらいしか知らなかった私にとって、その甘く濃厚な口溶けはショックに近い感動でした。
ぽんたも、ユウさんの特製離乳食とプリンが大好きになって、まるでお父さんに甘えるようにすり寄っていました。
密猟船団を退治してくれた圧倒的な強さと、私たちに見せてくれたあたたかい笑顔。
雲海へ出航していくキャンピングカーを見送りながら、私は胸に誓いました。
「私も、ユウさんたちみたいに、誰かを笑顔にできる優しい強さを持った竜人になるんだ」
宝物のように大切に抱え込んだ離乳食とプリンのレシピを手に、私は青空へ向かって翼を大きく羽ばたかせました。




