↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
325/331

第251話:星空に一番近い都市

 反重力エンジンの微かな振動が、車内に心地よい低音を響かせていた。


 垂直上昇を続けるキャンピングカーの窓の外は、一面の純白だ。重く湿った雲の粒子が車体をかすめ、流れていく。だが、ナビが告げた「雲海境界線を突破します」という静かな声と同時に、世界の色彩が一瞬で塗り替えられた。


 バツン、と鼓膜が弾けるような感覚のあと、目の前に現れたのは言葉を絶する景色だった。


「……うわぁ……」


 セリスの唇から、小さな吐息のような声が漏れた。


 頭上に広がっていたのは、ただの夜空ではなかった。夜の帳(とばり)を遥かに越えた、濃密で深い群青のグラデーション。そこに、まるで散りばめられた宝石の粉のように、圧倒的な密度の星々が煌めいていた。


 静寂が、空間全体を支配している。風の音すら届かない高度一万メートルの蒼穹(そうきゅう)で、キャンピングカーはまるで宇宙(そら)を泳ぐ小舟のようだった。


「すっごい……ねえユウ、見てよあれ! 星が……手が届きそうなほど近いよ!」


 ルナが目を輝かせ、天窓に顔を寄せる。

 大賢者ソフィアもまた、珍しく幼い表情で瞳を細め、星明かりをその身に受けていた。


「地上から見る星空とは、魔力の質がまるで違うのじゃ。空気がどこまでも澄んでおる……」


「ええ。この澄み切った大気と星の煌めき……なんだか、心が清められていくようです」


 ハンドルを握るユウもまた、胸の奥がじんわりと温かくなるような感動に包まれていた。異世界に来て様々な絶景を目にしてきたが、この夜空の静寂と美しさは格別だった。


『マスター。視界前方上空に、特定の魔力反応を検出しました』


 ナビの落ち着いた声が、車内の静かな感動を破ることなく耳に届く。

 フロントガラスの向こう、星々の海の中に、群青色の光を放つ巨大な影が浮かび上がっていた。


 それは、巨大な水晶柱を中心として構成された、幻想的な浮遊都市だった。無数の天体望遠鏡のような塔が夜空に向かって伸び、青白い魔導灯の光が都市全体を優しく包み込んでいる。


『浮遊天文都市『スタラグランド』。星に最も近いとされる、古代の観測都市です』


「スタラグランド……本当に、星の国みたいだな」


 ユウがそう呟くと、キャンピングカーは静かに速度を落とし、星空に抱かれた光の都市へと滑り込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。