第138話: 大賢者の天変地異魔法
「ふん。わらわの安眠を妨げた罪……その身でとくと味わうがよい!」
大賢者たるソフィアが、ヤマトの夜空の頂で杖を天へと振り上げた。
彼女の小柄な体から溢れ出す魔力は、王都を満たしていた瘴気の海をあっさりと払いのけるほどに凄まじい。
「大地の理よ、星の重星よ、我が声に応えよ! 【メテオ・ストライク(超重力嵐)】!!」
ソフィアの詠唱とともに、空の彼方から無数の火球――いや、文字通りの『隕石』が降り注いできたのだ。
それは、ただの石の塊ではない。ソフィアの中二病的な大魔法(超重力で圧縮された魔力塊)が、大気圏に突入するほどの速度を疑似的に再現したものだった。
「うおおおっ!? まるで世界の終わりみたいな光景だ!」
僕は大天守の中からその規格外の天変地異を見上げ、思わず叫んだ。
ルナとララはすでにキャンピングカーのシールド内へと退避している。
ドドドドドォォォォォンッ!!
一発一発が城を消し飛ばす威力を持つ流星群が、這いつくばる九尾の巨体に無慈悲に降り注ぐ。
爆発の連鎖がヤマトの大地を揺るがし、怨霊の身を覆っていた分厚い呪いの泥が、完全に蒸発していく。
『ギギ……ァ……ッ……』
数分間の流星雨が終わった後。
そこにいたのは、威容を失い、ボロボロになった巨大な狐の骨組み(霊体)だった。
「……ふぅ。少々やりすぎたかのう。だが、厄介な泥のコートはすべて剥がしてやったぞ、ユウよ!」
上空からゆっくりと舞い降りてきたソフィアが、少し息を切らしながらもドヤ顔で言い放つ。
彼女の広域・超絶破壊魔法があってこそ、敵の「絶対防御」を打ち破ることができたのだ。
『マスター。目標の外装シールド(瘴気装甲)の完全消滅を確認。コア……ヤマトの『世界の歪み』の心臓部が剥き出しになっています』
「よし! でかした、ソフィア!」
僕はコマンダーシートから身を乗り出し、天守閣の最上階……展望デッキへと駆け上がった。
そこには、祈りの姿勢で完璧に魔力を高めきったセリスが待機している。
「セリス、いけるかい!」
「はいっ、ユウ様! 私のすべての『光』を、あの怨霊の浄化に捧げます!」
物理的な魔力で砕いた後は、聖女の光による完全なる浄化だ。
これが、僕たち『ユウの村』最高戦力による、最強の連携攻撃である。




