第136話: 起動! キャンピングカー・機動大天守モード
『ギャアアアアアッ!!』
突如出現した巨大な白亜の城(キャンピングカー・機動大天守モード)に対し、九尾の怨霊が忌々しげに咆哮した。
無数の泥弾が雨あられのように全方位から城に降り注ぐが、ハニカム状の光の防御シールドは全く揺るがない。
「すげぇ……中はどうなってるんだい、こりゃあ」
避難誘導を一旦カエデに任せ、シールド内(大天守の1階部分)に駆け込んできたルナが目を丸くする。
内部は、キャンピングカーの面影を残しつつも、完全に要塞の造りになっていた。木の温もりを感じる和室の待機部屋があるかと思えば、最新鋭のホログラムモニターが並ぶサイバーな空間が同居している。
「これなら、多少の被弾があっても持ち直せる。みんな、反撃の準備だ!」
僕は最上階(天守閣兼コマンダーシート)から、車内マイクを通じて皆に呼びかけた。
「ルナ、ララ! 君たちは遊撃部隊だ。僕の大天守が奴の大技を引き受けている間に、側面から奴の体にくっ付いてる『障壁(泥の殻)』を剥がしてくれ!」
「任せな! あんな鈍重なバケモノ、アタシの短剣で刺身にしてやるよ!」
「ララも、あいつのシッポ全部ちぎってやるー!」
頼もしい二人組が、大天守のサブゲートから勢いよく飛び出していく。
「セリスは僕と一緒に天守閣へ! 君の光の魔力が、最後の一撃には絶対に必要だ!」
「はいっ! ユウ様のお側に参ります!」
「ポチは自動迎撃モードのまま、ルナたちの援護射撃! ソフィアは……」
「言われずともわかっておるわ」
いつのまにか大天守の最上階から外の夜空へフワリと浮かび上がっていたソフィアが、不敵に笑う。
「あの巨大な泥まんじゅう……わらわの魔力による『天変地異』の実験台にちょうど良いわ。ユウよ、わらわの詠唱が終わるまで、シールドを張って耐え切るのじゃぞ!」
全員の役割が決まった。
ヤマトにおける僕たちの最強のパーティが、巨大な大厄災を相手に完璧な陣形を組む。
『マスター。対象の魔力収束を検知。前方から、極大の瘴気ブレスが来ます』
「来い……! 僕のマイホーム(最強要塞)の硬さは、伊達じゃないってことを教えてやる!」
九尾の口から放たれた、王都を一発で消し飛ばすほどの真っ黒なエネルギー波。
それが、大天守のシールドに激突し、凄まじい閃光と爆音が世界を包み込んだ。




