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天の河原に
天の河を見た夜
銀河を映す川の岸辺で
小石をひとつ
手のひらに乗せてみた
つめたい石は水晶に似て
芯には青いアルコールの火
夜のようにしずかに灯りながら
ゆらゆら揺れている
見るともなしに見ていると
夢幻の世界へ誘われて
夜風に吹かれる気分になって
落ち着いていく
透明な星のきらめきをまとって
石のなかの小舟で
銀河を渡っていく
神話のような星座の
白い線をつないでいけば
夜空の広さにあらためて気づいて
真夏の夜の夢
遠くの街はお祭りらしい
笛の音が風に乗って
途切れたりしながら
聴こえている
まだ続く響きは
秋の野へ
虫が鳴いている




