51話 先へ続き────
「……辞めよう。リューアの使徒よ」
右手を切り落としたラグナは不敵な笑みを浮かべながら提案をした。
しかし当然黒江がラグナの提案を聞き入れることはなく、靄の中から黒い剣を何本か取り出し、ラグナに対して矛先を向けた。
「貴様とは万全な状態で相対そう。此度はここまでだ」
「俺は万全なアンタとは相対したくないからな」
そういうと黒江が用意した剣は勢いよくラグナに向けて発射され、その命の灯火を消さんと躍動する。
しかし、その剣は撃ち落とされる。
ラグナではない。
横から現れたデルメアは剣を撃ち落としたついでにラグナの横にもう一度立った。
「もうお終い?」
「この器が持たんな。本来の俺の身体が必要だ」
「我儘いうなぁ……これ以上の身体を提供するとなればどのくらい贄が必要なんだろうね?」
面倒臭そうな口調とは反して、デルメアは笑っていた。
恐らく裏ではまた人殺しができる事を楽しんでいるのだろう。
「本当はあそこの一般人の改造品を器にしようとしたんだけどね?まさかあそこまで自我を持たれるとはなあ」
「ククク……自我の躍進を見るのもまた一興よ。リューアはまた厄介なものを手に入れてしまったな」
話が終わりそうな場面でデルメアは魔術を展開させた。
デルメアの背後に黒い鏡のような物が現れ、そこにデルメアとラグナは足を踏み入れる。
「ッ……待て!」
すぐに逃げようとしている事を察した黒江は急いで鏡を壊そうとモルテを伸ばすが────
「さらばだ、強者よ」
あと一秒という所でその鏡は二人を連れて消えてしまった。
「フィーリアに魔法でアイツらの世界線を特定しろ!」
すぐに黒江は天空に叫び、ラグナ達の行方を追うように指示をした。
一連の流れを見ていた『罪を喰らう者』はラグナが去ったことにより肩の力が抜けたのか、その場に思わず座り込んでしまった。
────俺は一体……
────何者だったんだ?
一連の会話を聞いていた『罪を喰らう者』は思わず自身の正体を再び考察する。
────俺はこれまで殺して来た奴らと同じ……人間なのか?
「さぁ、お前をどうするかを決めないとな」
考えが纏まらないうちに、最後の試練は舞い降りる。
黒江は『罪を喰らう者』の目の前に立ち、断罪を始めようとする。
黒江の右手には黒い剣が握られており、『罪を喰らう者』は死を思わず覚悟した。
「お前の罪は、消せる物か試そうじゃないか」




