表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/100

第68話

山城の言葉が、冷たい回廊に虚しく響く。


目を閉じ、覚悟を決めた弟分の無防備な首筋。


俺がこの刃を振り下ろせば、志摩は助かり


俺は「黒い百合」の正当な後継者として、この国の闇を統べる力を手にする。


拓海が、かつての面影を残したまま、慈悲深い聖者のような顔で俺に手を差し伸べた。


「さあ、和貴。過去を切り捨て、神になれ。君の親父が成し遂げられなかった、真の支配を君が完成させるんだ」


俺はゆっくりと、脇差を高く振り上げた。


刃が燭台の火を反射し、山城の頬を白く照らす。


「……兄貴、ありがとうございました」


山城の短い呟き。


次の瞬間


俺の刃は空を切り――自分自身の左掌を深く切り裂いた。


「……!?何をしている、和貴!」


拓海の顔が、初めて驚愕に歪む。


俺は滴り落ちる血を山城の顔に振り払い


その熱さで奴の目を覚まさせた。そして、血まみれの拳で、自分の胸元を強く叩いた。


「……拓海。お前が本物だろうが、組織の作った偽物だろうが…そんなことはどうでもいい」


俺の声は、地響きのように低く、揺るぎなかった。


「親父が俺に教えたのは、支配のやり方じゃねえ。……自分自身のケツは、自分で拭くっていう、ただそれだけの筋だ!」


俺は脇差を逆手に持ち替え、山城の足元の鎖を、残った力のすべてを込めて叩き切った。


「山城、立て!死ぬなら、俺を庇って死ぬんじゃねえ。俺の背中を守って、一緒に生き残ってから死ね!」


「……っ、兄貴! はい……はいッ!!」


山城が、涙を拭い、床に落ちていた金属の棒を武器に立ち上がる。


「……愚かな選択だ。和貴、君は今、この国すべてを敵に回したんだよ」


拓海が合図を送ると


回廊の影から、かつての俺と同じような「黒い百合」の暗殺者たちが次々と這い出してきた。


「国が敵?上等だ。……新宿の野良犬はな、檻がデカければデカいほど、噛みつきがいがあるってキャンキャン喜ぶんだよ!」


俺は左手の傷の痛みを怒りに変え、拓海の喉元へと肉薄した。


友情も、過去も、運命も。


すべてを斬り伏せて、俺は自分の道を往く。


最後の反撃が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ