第14話 秋と紅葉、そしてロン毛
秋風が山を吹き抜け、木々が少しずつ色づき始める季節。
ロン毛は、肩まで伸びた髪を揺らしながら、いつもの山道を歩いていた。
今日も木や草も、風や川も、ロン毛には言葉を交わしてくれている
その日も、足元のススキたちが元気よく揺れていた。
ススキ「おーい、ロン毛! 今年もいい風だな!」
ロン毛「おう。すっかり秋らしくなったな。」
風「今日は気持ちよく吹けそうだよ。」
ロン毛「たまには山にでも登るか。」
しかし、山の入り口まで来たロン毛は、ふと足を止めた。
大きなモミジの木が、どこか元気なく枝を垂らしていたのだ。
ロン毛「秋らしくあれよそこは。」
モミジ「はぁ……。」
ロン毛「ため息なんかついて。何かあったのか?」
モミジ「今年はみんなうまく赤くなれるか心配なんだ。」
モミジ「ここ数年。暑い日も多いし、夜も寒かったり暖かかったりで、体調が整わないんだよ。」
イチョウ「私もちゃんと黄色くなれるか不安なんだ。」
カエデ「みんなみたいに綺麗になれなかったらどうしよう……。」
ロン毛「別に急がなくてもいいんじゃないか?」
モミジ「え?」
ロン毛「赤くなるのが早いやつもいれば、遅いやつもいる。黄色になるやつだっているし、まだ緑のままのやつもいる。」
ロン毛「みんな違っていいじゃないか。」
小川「その通りだよ。」
さらさらと水を流しながら、小川が優しく語りかける。
小川「季節や自然は誰かと競争するものじゃない。」
風「焦らなくても、秋はゆっくりやって来るよ。」
モミジ「そうか……。私は私の色になればいいんだな。」
ロン毛「そういうこと。」
それから数日後――。
遠くからあの山を見た。
ロン毛「あいつら頑張ったな。」
山全体が赤や黄色に染まり、朝日を浴びて美しく輝いていた。
真っ赤なモミジ、黄金色のイチョウ、まだ少し緑を残した木々。
それぞれ違う色をまといながら、見事な景色を作り上げていた。
風「来年も吹いてやるぜ!だってさ」
小川「またみんなで笑おう。」
そして、秋の夕暮れの中――
ロン毛の長い髪を優しい風が撫でていった。




