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虹とロン毛  作者: かいちょ
第1章 自然との日常
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第1話 電柱と失業ギタリスト

「いてぇぇぇぇぇ!!」


鈍い音が住宅街に響いた。

ロン毛は額を押さえてうずくまった。

失業通知を見ながら歩いていたせいで、目の前の電柱に全力で頭をぶつけたのだ。


痛い。

とにかく痛い。

ギタリストとしても芽が出ず、アルバイトも失い、挙げ句の果てに電柱に敗北するとは。


人生ここまで落ちるものか。


「おい。」

声がした。

ロン毛は辺りを見回す。

誰もいない。


「こっちを見ろよ。」

声の主を探すとぶつかった電柱しか無かった。


ロン毛「……。」

電柱「……。」

ロン毛「今しゃべった?」

電柱「しゃべった。」

ロン毛「電柱が?」

電柱「電柱が。」


ロン毛は空を見上げた。


ロン毛「とうとう頭がおかしくなった。」

電柱「違う。お前が俺に頭をぶつけたからだ。」

ロン毛「意味が分からん。」

電柱「俺も詳しくは知らん。」


電柱は堂々と言った。

「だが、お前は今日から自然と話せる。」


ロン毛「そんな能力の入手方法ある?」

電柱「あるらしい。」

ロン毛「らしいって何だよ。」

電柱「俺も初めてだから。」


その日から世界は変わった。


風が近所の噂話を持ってくる。 「〇丁目の佐藤さん…」

川が昔話を始める。 「桃太郎の桃ってまじ美味いんよ」

猫が昼寝スポットを教えてくれる「はぁねみぃ」

信号機は妙に説教臭い。「押しボタン連打すんな怒」


自然界全体が驚くほど会話している


またあの電柱のところに来てしまった

「最近どうだ?」

電柱が聞く。

ロン毛「最悪。仕事ないし。」

電柱「音楽は?」

ロン毛「続けてる。」

電柱「音楽やってっといいことあるよ。」

ロン毛「いい事なんて1個もねぇよ。」

ゴミ箱「まあとりあえずさ、生きてるだけで偉いんやで」

ロン毛「うるせぇよ。ゴミの分際で」

電柱「まぁまぁ、俺だってただ突っ立ってるだけで色んな人間に電気ぶっぱなしてるんや。」

ロン毛「ぶっぱなすってなんだよ笑 でもなんか元気でたわ笑」


電柱との出会いのおかげで少し生きる意味を見つけたかもしれない。


大好きな散歩がいつもより楽しく感じる毎日だ。

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