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 俺、安藤竜(24)は運が悪い。

 初デートにウキウキしながら家を出れば頭に鳥の爆撃を食らうし、友人達と映画の試写会に応募すれば俺だけハズレるし、旅行はいつも雨。

 もうそういうものだと思って諦めてはいるが、いつだったか、人生はプラマイゼロになるように出来ているって耳にしたことがある。

 であれば、そのうち宝クジでも当たるかもしれない、なんて妄想してみたり。

 そんなの本気で信じちゃいないけど、夢見るくらい、罰は当たらんだろう。

 何でもいいから、このツマラナイ日常から開放されねぇかな、なんて考えて信号待ちをしていた俺は。

 すぐ側にいた高校生カップルと一緒に、突如現れた足下で眩しい光を放つ魔法陣に吸い込まれた所までは覚えている。

 気付いた時には高校生カップルの姿は見えず、ゴツゴツした壁の所々に生えた苔のようなものが、この暗い空間をほんのり照らしていた。

 どうやら俺は、どこかの洞窟の中にいるようだ。思わず頬を抓るが、普通に痛い。

 ……うん、夢じゃないな。

 ちょっと信じ難いが、これは所謂異世界召喚てやつではないだろうか?

 あの高校生カップルは美男美女だったし、きっと勇者と聖女か何かだったんだろう。

 ――じゃあ、俺は?

 漫画や小説なんかでよくある巻き込まれとかいうやつか?

 でも何で俺だけ一人でこんな所にいるんだ?

 転移の途中でペイッてされたとか?

 ――んな、バカな。

 なら、俺が一人でここにいる理由は?

 ……いや、考えても分からないことは考えるのを止めておこう。

「それにしても……」

 ハァ、と大きく息を吐く。

 やはり俺はどこまでも運が悪いらしい。

 本当に、どうしてこんな事に……。なんて、いつまでも嘆いていても始まらない。

 とりあえず慎重に、この薄暗い洞窟内を調べてみることにする。

 すると一番奥にあたる場所で、真っ黒で丸いボールのような何かが、俺の目の高さに浮かんでいた。

「何だ、これ? めっちゃ怪しいな」

 足元に落ちていた石を拾い、ビクビクしながらコンコンとソレを石でつついてみるが、特に反応はない。

 ならば、と思い切って両手でそれに触れた瞬間。突如響く少し機械的な声。

「魔力ヲ特定シ、登録完了シマシタ。コレヨリ全権譲渡に移リマス。……譲渡完了シマシタ。マスターのオ名前ヲ、登録シテクダサイ」

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