授業中のイチャイチャ
「お前は、まえからすごいと思ってたんだよ!」
優樹菜先生に背中を叩かれながら、白門は自分の左手を見つめていた。
「白門、慣れないうちはそんなものよ。私だって、初めは武装具現化ですら思った場所に出せなくて苦労したものよ」
志津香は懐かしむように自分の手を見つめた。
(あの志津香ですら、そんな時期が)
「そうだそうだ! 一発で発動まで行けただけいいと思っとけ」
いきなりバシッと派手な音が鳴るくらい強く叩かれて、白門はつんのめった。
「ちょっと、痛いじゃないですか!」
「絶対赤くなっているわ! ちょっと寮までいって服を脱ぎましょう! ええ、大丈夫、白門だけに恥ずかしい思いはさせないわ! 私も脱ぐから!」
「ちょっと志津香は暴走しているよ? おちつこうね!」
志津香は最近おかしい。主に羅姫戦から。
と、そういえば、まだ解除してもらってなかったな。羅姫との契約。
「そうだぞ、問題児! まだ授業中だぞ」
「先生に言われたくないわ。そろそろあの猫かぶったような性格どうにかしたら?」
「いいんだよ、あれはあれで面白いし、みんな知ってて乗ってくれてるから」
先生はハハハっと大声で笑ったが、それも生徒と先生との信頼がなければここまで続かないだろう。
そう思い、白門は心の中で尊敬した……のだが、
「そういうことで後輩よ! ここでまた手合わせしないか? 体が火照ってやりたくて仕方ないんだよぉ」
優樹菜は顔を赤らめて自分自身の体を抱いた。
う……なんかエロい。
優樹菜は言動を無視すれば、大人のお姉さんと言えなくもないスタイルなので白門は無意識に顔を引きつらせた。
「ちょっと、白門。何を考えているのかわからないけれど、顔が赤くなってるわ」
……どうやら、顔も赤くなっていたらしい。
「ん……なんだ? お前、夜のほうでもあたしとヤリたいのか? ……お姉さんが優しく指導してやろうか? ふふっ」
俺の思考に気づかれ、急に顔を寄せ耳に息がかかるほどの距離で言われたセリフに白門は顔をさらに赤くして、飛び退いた。
危ない。いつもと違う先生に心臓が高鳴っている。
「ちょっと、先生、からかうのは」
「――白門は私のほうがいいわよね?」
一瞬油断した隙に今度は志津香が白門の右腕に抱きついてきた。
「っちょ、待て待て! 対抗心燃やすな。からかってるだけだから!」
腕に形のよい胸があたり、心臓はさらに跳ね上がる。
「と、取り敢えず、逃げるぞ、先生も、どうせ放課後やるんですから待っててください」
「ん? 放課後エッチすんのか?」
「何言ってんだっ! クソ教師!」
「えっっ、ちょ、お姫様だっこ……」
最後に怒鳴り散らすと志津香を抱きかかえ、逃走した。
「ここまでくれば、流石に来ないだろ」
白門は謎の疲労を感じていた。
このグラウンドが広いのは戦闘訓練用に広く作られているのはわかっていたが、それだけではない疲労感が確かにそこに存在した。
「こんなところでするの?」
「志津香、お前まだそのネタ続けてたのかよ」
「ふふ、冗談よ」と言った志津香にため息をつきつつ、顔を真剣なものにした。
「志津香、話があるんだ」
「なによ、改まって。もしかして婚約でもするの?」
「婚約はしないけど、将来結婚するなら、これは残しておいちゃいけないかなって思うこと」
そういって、制服のボタンを外した。
「――っ! そうね。私が勝ったのにまだ約束果たしてもらってないものね」
その場で勢いよく立ち上がると、志津香は拳を握り締めた。
「で、契約を解除する方法なんだけど、俺、契約するほうは知ってても、解除する方法を知らないんだよね」
「私は知っているわよ。彼女が正妻の足を舐めるの。それで解けるわ」
「酷すぎだろっ!」
「もちろん冗談よ」
今の冗談はもうちょっと冗談ぽく言ってくれ。
「解除はもう一回同じことをするの」
「ふーん…………キスすんの? 解除するのに?」
「しかも、『好き』とか、『契約解除したくない』とかそういう感情があると、解除はできないの。契約するときとは違ってね」
誕生日なので更新しました。休みが開けるので、これから先、ROMかもしれません