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彼という者は


あれから、茶話会に出ていた義理姉様ではなく兄上に挨拶をしさっさと兄上が納める領地を離れて数日が経った。勿論、兄上には体調が悪いと断りを入れたのに連れ出すということはどういうことかと抗議し、義理姉様を窘めて頂けるようお願いもした。


が、義理姉様からは謝罪はないのでそういう事なのだろう。まあ、いいけれど。



「エーリン様、シェルドハット公爵家様よりお遣いの方が来ていらっしゃいます」

「まあ!是非、面会室にお連れして。ああ、そうだわ!この間のお茶を準備していただけるかしら」



シェルドハット公爵家。新しい物好きで変わり者、傾奇者と名高い者ではあるが、それ故に貴族特有の固定概念はなく彼の領地は楽しい物で溢れているのだ。そして彼は私の婚約者でもある。ただ彼は新しい物が好きすぎる故に忙しく領地内を駆けずり回っているため本人に中々会えないのが難点だが。



「お待たせしました!あら、今日はタダン様ですのね。お忙しい中御足労感謝しますわ」

「いえ、とんでもない。貴方様に会えるならば海の底でもお伺いに参ります」

「ふふ、その時は是非、ゼルド様もお連れしてくださいな。きっと子供のように喜ばれますわね」

「寧ろ連れて帰る方が大変でしょうな」



違いない、と静かに笑う。新しい物を見つけるとちょっと待ってもう少し、という彼の口癖を思い出し笑みが深まる。その度に従者であるタダン様にいい加減にしろと耳を引っ張られているのだ。



「さて、今日はそのゼルドから此方を預かって参りました」


タダン様からメイドへ、メイドから私へ渡ったソレは宝石箱のような綺麗な箱であった。


「開けてみてください」

「開け…?まあ!オルゴール!」

「やはりエーリン様はご存知でしたか」


蓋をあけると可愛らしい女の子がクルクルと回り、綺麗な音を流すそれはこの生では初めてみたオルゴールであった。


「すごく綺麗だわ、嬉しい」

「西の国の物で、最近伝手が出来ましてな」

「西?ゼルド様、今何処に行ってますの?」

「ゲーダム領です」

「水の都の?」

「ええ、彼の国は西との交流がありまして。ゼルド様が新しい物欲しさに、つい」

「まあ、じゃあゲーダム領にお礼をしなくてはですね」


彼に一度退席することをを許して頂き、私はある場所へと向かった。

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