身に余る魔力というものは
魔法を使ってみたい、そう思ったことは誰しもがあることだと思う。便利そう、格好良さそう、そんな感じで。何の変哲も無い女の子の記憶を持ったまま生まれ直した私だが、そのとある女の子もそう思っていた。
ただ魔法が使えても有り余る魔力を持ってしまうと地獄を見る、それだけはもし来世でも生まれ変わっていたならば伝えておきたい事柄である。
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「またあのお姫様は倒れたらしいわね」
「あら、またなの?」
「お可哀想に、体が弱くいらっしゃると大変ですわね」
そんな会話が、部屋の中に誰も居ないのに耳元で聞こえ眼が覚める。これは体の体積の割に魔力が馬鹿でかく多いため、魔力の暴走によって起きる現象だ。鬱陶しい、そう思っていても溢れ出た魔力が尽きるまで、私に関する会話を風の魔法は伝え続けるだろう。
「目覚めましたか?」
「…ええ、どれくらい寝てたかしら」
「半刻程度でしょうか。まだ茶話会は続いております」
「そう」
先程聞こえた会話は茶話会に出席している女性たちの会話なのであろう。もしくはメイドたち。
「魔医様は何と仰ってたかしら」
「いつもの、と。あと一刻程度で落ち着くだろうとも」
「そう、わかったわ。ああ、メリッサ。向こうに帰る準備を早急にお願い。兄上や義理姉様には申し訳ないけどこのままだと要らない話も聞こえてきそうだわ」
恭しく頭を垂れた側付きのメイドを尻目に小さな溜息を吐く。今日は義理姉様が主催の茶話会で、体調を理由に―尤も、本当に上手く魔力調整が出来ない日でもあった―断ったにも関わらず、腕を引っ張り茶話会の場に連れ出した時にはもう魔力の暴走は起こっていた。それに気付いた魔騎士が慌てて私を気絶させた、という流れだ。
「あれくらいで倒れるなんていい加減にしてほしいわ、まったく」
耳元で聞こえた言葉に、断ったにも関わらずお前が連れ出したんだろうが!と心で悪態をつきもう一度大きな溜息を吐いた。




