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薔薇園の誓い

 誓いの儀式は、西園寺邸を訪れてから2日後に行う事になった。

なんと、お泊まりだ。

星蘭学園では、友達はできないはずだと思っていた1週間前の私。

しかし、まだ学園に足を踏み入れてもいないのに、お姉様をゲット!

しかも、学園の女子の中では1番高貴なお方だ。

普通の友達なんかじゃないよ、お姉様とハルちゃんの親密な関係さ。ウフフ。

これは、もう学園生活が素晴らしいものだと約束されたようなものだろう。

おまけに、様子が少し変だったけど、西園寺百合子サイオンジユリコ様とも会えた上にベタ褒めしてもらった。

とにかく、ピアノが気に入られたということだろう。

嬉しいな。

 更に今日は、百合子様から贈り物が届いたのだ。

楽譜と指輪ケース。

楽譜は、『幻想曲 春霞ハルガスミ

今まで知らなかった曲だ。

早速弾いてみたが、素晴らしい曲だと思う。

ハルカのハルでハルガスミ?意図は分からないけど、有り難いです。

指輪ケースは、ピアノを弾く時に外して閉まっておけるようにとの優しい配慮だ。

グランドピアノ型のジュエリーケースは、周りは高級感溢れる赤色で、忠実に再現された鍵盤やペダルはゴールド。

蓋を開ければ、真っ白い絹のような光沢の生地。

指輪は、10個位入りそうだ。

お姉様が、『誓いの儀式の時にオソロイの指輪を交換する』とまるで結婚式のセレモニーのようなことを言っていた。

この調子で指輪が増えて、10本全部の指にはめる時がくるのだろうか。

やっぱり、お金持ちとの付き合いは大変かもしれない。

お金がかかることを恐縮する私に

「ハルちゃんにかかるお金は、シン様が全て払います。

ハルちゃんは気にする必要は全くないの。

ハルちゃんがこの世界に来たことには、それだけの価値があるのだから大丈夫です。」

と言い切った。

やっぱり、スクールリングをくれた『さる高貴なお方』とは、シン様のことだったのかな。

まぁ、神様だもんね。

そりゃあ、誰よりも高貴なんだろうし、名前を言うわけにもいかないよね。


 2日前と同じように、我が家に西園寺家から迎えの車がやって来た。相変わらずゴツイ車だが、私は怯まない。

2度目だし、なんと言っても今回はお姉様が車に乗っていらっしゃる。

 車からおりて、両親と妹に挨拶をするお姉様。

お姉様は、2日前に送ってくれた時にも、きちんと挨拶してくれて、『義姉妹の契りを結びたいこと、その為の儀式を泊まりで行いたいこと、今後の学園生活についてのこと、ピアニストの叔母百合子が遙香さんのレッスンを希望していること等々』を丁寧に説明してくれた。


 お父さんは、葵お姉様の気品と美しさに呆然となっていた。

お母さんは、ピアノの先生なので、ピアニストである百合子様がレッスンをしてくれる事に舞い上がっていた。

 里奈は、私も妹になりたいと呟いて、お姉様から『ハルちゃんの妹なんだもの。リナちゃんも、わたくしの妹よ』と言われて感激して泣いた。


 そんなこんなで、義姉妹の契り。

三国志の桃園トウエンの誓いを真似して、薔薇園バラエンの誓いをする事になった。

 薔薇園は、百合子様が住んでいる西園寺家の別邸にあるのでお姉様と向かった。

 一言で言えば豪華絢爛ごうかけんらん、薔薇のゴージャスさに圧倒される。

 世界中の種類と色を集めたのかと思うほどの薔薇が咲き誇っている。

いくら温室でも、1年中咲いてるわけではないでしょう?

凄すぎる。

そして、その真ん中に、ガラス張りの20畳程度の部屋があり真っ白いグランドピアノが置いてあるのだ。

百合子様は、気分が落ち込むとここで気分転換をするらしい。

お金持ち、すごっっ。

薔薇園の誓いは、ピアノの部屋ではなく、奥にあるお高そうなアンティークのテーブルセットとソファがある場所で行われた。

まだお酒が飲めないので、薔薇水ローズウォーターを飲み、2人の誕生石が埋め込まれたリングをお互いの左手の小指にはめた。

私が10月生まれなのでオパール、お姉様が2月生まれなのでアメジスト。

2つの宝石が埋め込まれた華奢で、美しいフォルムのリングだ。

左手の小指には、誓いを立てる、願いを叶えると言う意味があるらしい。

私たちの様子を、立会人の百合子様が羨ましそうに見ていた。

講師の立場上、生徒とは誓いの儀式が出来ないが、仲間に加わりたかったらしい。

百合子様って、クールビューティーだと思っていたけど。

意外に熱いところがあるみたい。

 ともかく、こうして百合子様に見守られて、私と葵お姉様は無事に義姉妹となったのだった。

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