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信じられないでしょうけど、国王との謁見です!

《わー、見て見てますたー。金ぴかーだよー》

(そうだな)

《ボクとしては、廊下の景観よりさっき通り過ぎた部屋が気になるな。所々で頻繁に感じたけれど、あそこは特に薬の匂いが強かった。このお城は薬学にずいぶん力を入れてるみたいだね》

(そうだったのか。気づかなかった)


さすがは薬師の反逆者(スペシャリスト)だ。

うん。俺としては、僅かに高い室温と匂いが定着しているのか鉄分の重厚なインパクトのある香りに心地よさを感じるな。


(なんて)


ちょっとミドリみたいな賢いことを言って見たくなったが。

普通に言えば、鍛冶場の雰囲気が好きだというだけだ。

流石はドワーフの国。

国王の住まう城だというのに、いや、だからこそか。

この広々とした空間の中に、果たして幾つの専用の鍛冶場が用意されているのか。


(しかし、休憩中かな? どこからも炉が動く音も、槌を振るう音も聞こえない。作業独特の喧騒もなく、何処と無く静かだ)


昼はとっくに回っている。昼食に出ているというわけではないだろう。

考えられるのは、俺たちが原因であることか。

国内で大規模な領域を貼り、領域の中にあった国の一部をボロボロにされるなどという事件が起きたのだ。

悠々と武器を打っている暇などあるわけがない。

とはいえ、人の気配をあまり感じないことの理由にはならないだろう。

むしろ、人が行き乱れかなりの騒ぎになっているはずだ。

『探知』で人のマーカーが反応するから無人ってわけじゃないんだろうけど、それにしては物静かすぎる気がする。


「……静かだな」

「複数名の足音に囲まれながらよくもそのようなことが言えたものだ」

「あんたらの足音がガシャガシャと喧しいのはよくわかってるよ。国王様の住まいはこんなにがらんどうとして寂しいもんなのかねってことさ」

「……貴様には関係のないことだ」


おっと、軽口のつもりではあったが、騎士団長さんが本気で睨んできたので肩をすくめる。

触れちゃならないってことですかそうですか。

にしても切り替えが早いというか、キレやすいのか冷静なのかどっちかにしてほしいな。



「確かにな。悪かったよ」

「…………ふん」


お、あの鎧たっかそうだなーおい。

素材ミスリル使ってのか、ほー。

何を思ってこんな代物を廊下の飾りにしようと思ったのかねこの国の王様は。

どこを見ても、廊下一面、一級品の物ばかりだ。

『鑑定』様々だな。うお、すげえ。……呪われとる。


「キョロキョロするな」

「暇なんだよ仕方ないだろ。もう10分は歩いてるんだぞ? まだ着かないのかよ」

「もうすぐだ」


さっきも聞いたぞその言葉。

と言いながらも、『検索』に『鑑定』に『探知』に『アビリティセンス』にと、大忙しで暇なんて大嘘だが。

この先に大広間みたいな作りの部屋があって、人が規則正しく敷き詰められてるから、十中八九そこが王室ってことであってるんだろうけどさ。


《あ、ますたー。みんな配置についたって》

(了解)


もう既にその部屋の中に数体のブルーベイビーズが待機してるとは思うまい。

いざって時のために色々とできることはやっておかなきゃな。

一人につきレベル50を割り振った精鋭だ。

その分アオのレベルは3桁に落ちてしまったが、俺が守るからなんの問題もない。


《マスター。自分の体元に戻さなくていいの?》

(なんでだ?)

《だって、嘘を見抜くなんてアビリティを持った人が相手なんでしょ? 姿を偽ってるなんて、不信感を募らせるだけなんじゃない?》

(とは言ってもなぁ。ここで急に元に戻るわけにもいかないだろぉ)


いきなり体が縮んだりしたら、それこそ怪しさ満点だ。

まだ大人の姿の方がこうゆう場だとやりやすいし、子供の姿になるのはちょっとなぁ。


おっと、そんなことをしているうちに着いたな。

アレがそうに違いない。


俺の視線の少し先には、今まで以上に金色が豪勢にあしらわれた、巨大な扉があった。

この廊下の行き止まりにそんなでかい扉があり、設計どうなってんだと思わないでもないが、まぁドワーフの国だしな。

できる人が集まると、変に飛躍した発想が生まれるアレだろう。


「ついたぞ。いいか、くれぐれも失礼のないようにしろ。何かあっては、貴様を処分した後、我々にも罰が下るかもしれんのだからな」

「失礼な。これでも俺は礼儀を重んじる男だぞ?」


騎士団長さんがすごい顔をした。

なんて目だ。信用できないという思いをぎゅっと詰め込んで、一つにまとめてそれを複数凝縮したかのような目である

本当に失礼なやつだ。


『ご自分の先ほどまでの言動と、今現在の格好を思い返してから言ってください。でなければ、私たちはバカマスターの頭がおかしいことを認めざるを得なくなります』

《礼儀を重んじる?》

(おい限界破壊。それとミドリさん? 何か文句でも?)

《ますたーはむしろ自由を重んじるよね》

(アオまで!)


俺に味方はいなかった。

ジーザス。ブルータス、お前もか。

カエサルもびっくりだよ。


(っと、ふざけてる場合じゃないな)


騎士団長さんは少し強く扉をノックした。

すると扉が自動的に内側へと開かれて行く。


騎士団長さんが腕を後ろに組み、足を揃え、胸を張って直立すると、周りにいた騎士達も同じ動きをする。


「失礼します。我ら『神鉱騎士団』、帰還いたしました!」

「うむ、ご苦労であった」


騎士団長さんの張り上げられた声に、少し低い労いの言葉を返した人こそ、この国の王だろう。

地面よりも高い位置に設置された玉座にゆったりと座る、少しダンディーでお髭がフッサフサのおじさんだ。

やはりドワーフだけあってその身長はかなり低く、それでいて筋肉がかなり付いており横に広い。


年齢は、そこまで老けているようには見えないが、50前半といった感じだろうか。

入り口から玉座までまっすぐに伸びる赤いカーペットに、埃一つなくむしろ輝いてすら見える室内。道を作るかのように整列した鎧を纏う騎士の多さと統率のとれた動き。


これが王室か。


初めて見た凄まじいインパクトに、ついつい圧倒されてしまった。


「此度の一件の主犯と見られる者達をお連れいたしました。入室してもよろしいでしょうか」

「よい。ただしルーベよ。お主、わしに申したことを忘れてはおるまいな?」

「は!」

「ならばよい。して、その者達か。早く入れ。そして前に出よ」


おっと、これは俺たち、というか俺に言ってるってことであってるよな。

騎士団長さんが一歩下がり、王様が俺を視界に入れた瞬間王様の目が少し見開かれたような気がしたが、恐らく俺がミルクルさんを抱きかかえているからだと思うから気にしない方向で行こう。

騎士の先導とかなんか指示はないのかと思ったら、騎士達は俺の後ろを陣取った。

歩いていいってことだよな。じゃあ、遠慮なく。


できるだけ堂々と、そんでもって部屋の中に足を踏み入れた瞬間からその部屋全体を隈なく注意する。


鎧をまとった人たちから、尋常ではない殺気が飛ばされるが、正直屁でもない。

ソロ仲間達から血の涙を流しながら向けられる、執念の殺気に比べれば可愛いもんだ。


少しずつ慎重に歩いていたら、いきなり背後から当てられる威圧がドッと増したので足を止める。

別にいいんだけど、その威圧で動き指示すんのやめてくんないかな。


(跪くって、こうか?)


漫画で読んだキャラクターの見様見真似で、片膝と握りこぶしにした片腕を地につけ、折り曲げられた膝の上にもう片方の腕を乗せ頭を下げておく。


「ではこれより、審判の儀を執り行う」


審判の儀? なんだそれ。聞き慣れない言葉だな。

ま、要するに、尋問ってことですねわかります。


「お主らには、ここにいる我の執事、サイドの質問に答えてもらう。嘘偽りはもうしてもよいが無駄であるとだけ言っておこう。そして、事によっては自らの命も危うくするともな」


やっぱり王様の後ろに控えていた人は執事さんか。

あの人が、嘘看破のアビリティ保持者ってことでオーケーだな?

なら話は早い。


(『アビリティセンス』のお仕事開始だ)


伊達に、さっきまでずっと意味もなく『アビリティセンス』を発動させていたわけじゃない。

それと言って仕舞えば、ミルクルさんの治療が始まった時から常にこうしてる。

いきなり目の色が変わりうろたえた騎士さん達も、治療に必要だったからという嘘偽りの真実を語っている。


嘘看破のアビリティ、珍しい。聞いた時から欲しいと思っていたからな。

隅々まで解析させてもらおうか。


「不肖私が、務めさせていただきます。早速ですが、質問です」


執事さんが王様の一礼し、一歩前に出たことで緊張が走る。

いよいよ始まるのか。ふんどししめ直さなきゃな。

どんな質問が来ようと、乗り切ってやる。


「なぜその女の子を抱えているのですか?」

「はい?」


意気込んでいたからこそ。

そんな質問が出てきたことで変な声が漏れた。

だってそうだろう。

なんでそんな質問なんだ? もっと他に聞くこともあるだろう。

俺の動揺を誘ってるのか?

少しでも自分のペースに引きずり込んで、相手の思うようには動かせない機だろうか。

くっそ、だとしたら俺はサイドという執事にしてやられた事になる。

いいだろう。そっちがその気なら


「ごほん。万が一、私から離れた後で彼女に何かあっては困るからです」


そっちの思惑に乗った上で、真っ向から返り討ちにしてやる。

こちらはもとより、どんな質問だろうが嘘偽りなく自分たちに都合がいいように答えてやるつもりだ。


「この場にふさわしくないと思いますが?」

「彼女も、貴方方(あなたがた)の指す主犯です。この場にいてなんの問題もないと思います」

「…………そうですか。わかりました。では本題に入りましょう」


ん? 今何か違和感があったな。アビリティを使ったのか。よし、いい感じだ。

そしてやはり。今のは本題じゃなかったんだな。

しかし、もう本題に入るのか? じゃあ今の質問はなんのために。

く、相手の思考が読めない。何を考えていたんだ。

いや、ここでいかにも話を戻すかのような行動をとり、また肩透かしを食らわせてくる作戦か。


「この国に被害をもたらしたのは、貴方方で間違いありませんね?」


ぐっ、ふ、普通の質問だ!

ダメだ! 後手に回っている!

思考が読まれているのか。この執事の薄ら寒い笑みが悪魔の嘲笑に見える。

質問の仕方がアレだな。回りくどいな。

もう少しストレートの方が判別しやすそうだけど、違うのか?


「その質問に対し、半分はその通りで、半分は違う、と答えさせていただきます」

「どういうことですか? 詳しくお願いします」

「戦闘の余波で被害をもたらしたのは、確かに私たち『も』含まれます。その点ではその通りです。しかし、私たちに『この国に被害をもたらさせた者』達が別にいます。そして、その者達は、この国に被害が及ぶ直接的な原因を作った者達でもあります。その点では、私たちは違うと答えさせていただきました」

「……………………なるほど」


何のなるほどかはわからないが、別に回りくどく言ったのはわざとじゃないし、俺は嘘は言っていないから特に気負う必要もないだろう、

ついでに、持続的にアビリティを発動してくれてありがとう。

ふむ。いいな。アビリティ『真偽審判』。

相手のさりげない仕草や大きなものから小さなものまで挙動の一つ一つから、発せられた言葉の真実を見抜くアビリティ。


アビリティ発動中、真偽を確かめたい相手を目で注視する事で効果を発揮。

慣れれば、仕草などを気にしなくても見るだけで、言葉が真実ならば『○』が、虚偽ならば『×』が頭に浮かぶ。

便利だな。特に俺は、目を使うアビリティにはそこそこ慣れている。

もう少し解析が必要だが、お試しに設定すれば即戦力になってくれるだろう。


執事さんは何やら王様に耳打ちをしていたが、すぐに元の位置に戻りまた俺に視線を向けた。


「では次の質問です」


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