表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/198

信じられないでしょうけど、最先端からくりVS成長チートスライムです!

[其れは始まりと終わりの季節『美しく咲きほこり 儚く散りゆく』《春刀解放》『桜吹雪』」

《『実験七つ道具・メス』特権行使。第四工程『解剖(ディスカッション)』》


ボクの上で浮遊する一本のメスが静かに動く。

縦、横、斜め。ボクの頭の上で静かに動くだけ。

動くたびに、相手はボクの思ったように切り刻まれて行く。


見えない強制力


それがボクが支配者として君臨する空間内でのみ、ボクが発揮できる力。


しかしここは『実験室(ボクの空間)』じゃない。

実験室(ラボラトリ)内でしか使えないはずの力。


しかし今のボクはその力を行使できる。

『実験七つ道具』は、そういう能力だ。


《…………ダメだね。『実験終了』》


乱舞していたメスがビタリッと停止し、ボクの頭の上から消える。

自分の体を刻む見えない斬撃に晒されていたイッシキさんの姿は、砂埃のせいで見えないけれど。


[ご理解いただけたかミドリ殿]


砂埃が晴れたそこには、刀を上段で構えたまま微動だにしない『無傷』のイッシキさんがいた。


《切っても切っても『修理』されるんじゃやっても無駄でしょ。無駄に刃こぼれさせて切れ味落とすだけだよ》

[賢明な判断と言える]

《なにそのチートって感じだよ。どんな手品?》

[タネも仕掛けもありはせぬよ]


そう言ってイッシキさんは春刀なるものを上段で構えたままボクに斬りかかって来る。

先ほどと比にならないほどの濃密すぎる殺気。

そこでボクは殺すと決めた。

殺らなければ、殺られる!


[お覚――――]

《『科学者の脳内(シンキング・タイム)』》


ボクの世界が白黒に染まる。


(『万能薬・新薬開発』。『ハイパー・ドラッグ』ベース、提供『マリオネットポイズン』『黒の実』『食べ合わせ』。ミックス…………実験成功『凶薬』)


ボクもスライムだ。アオちゃんほどではないにしろ、少しは体内にものを収納できる。

体内に保存してある数々の薬品、提供されフラスコに保存しておいたアビリティの一部を解き放ち全てを合成した。

その間、0.2秒かかっていない。


『科学者の脳内』は思考速度を底上げしてくれる能力だ。

現実と切り離されたように時の流れが遅くなる。

とは言っても、そこら辺の人が使ったら脳が焼き切れるんだけどね。


ボク?

そこはまぁ。ボク、スライムだから。


早速完成した『凶薬』なるものを目の前に召喚する。

イッシキさんの目の前に暗い緑色をした液体が入ったビーカーが生まれる。

そしてボクは視線の先にある家の屋根の上まで移動した。


勘違いしないで欲しいのは、『科学者の脳内』はあくまで思考速度しか早くしてくれない。

言ってしまえば、ボク自身の動きもスローモーションのようにしかならない。

ただし念じてしまえばその場で力が使えるアビリティは別物だ。


単純に体内に保管していたフラスコを一本、『転移薬』を消化して転移しただけだ。

転移にはそもそも時間なんて概念はないからね。


さてと、『解除』。


[――――悟……なぬ?]


イッシキさんはなにが起きたのかわからないのだろう。

すぐ目の前にいたボクは消え去り、そこには見覚えのないビーカーが置いてある。

勢いは止まらずビーカーに激突しその中身を一身に浴びたイッシキさんは


[ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!]


この世のものとは思えない絶叫を上げ、1分も満たないうちに声も無くなり全身から煙をあげ真っ黒になってその場に倒れた。


…………罪悪感はない。

別にエネミーを殺したことはこれが初めてじゃないのだから。

だけど、少しは思うところもある。

ボクは、会話ができる相手を、初めて殺したのだから。

倒れるイッシキさんから目を離す。


《……『実験完りょ(オールグリー)』》


ン、と続けようとして、ひらりとピンク色の花びらがボクの横を通過し、ボクの体が停止する。

急いで振り返るとイッシキさんが倒れたであろう場所に、大量という言葉では表しきれない程のピンク色の花びらが舞い踊り花びらの塔が出来上がっていた。


その光景に唖然としていると、唐突に花の勢いが減少し散っていく。


塔が完全に消滅した時、その場には全身無傷でその両足で地面を踏みしめるイッシキさんの姿があった。


《……ッ! 『桜吹雪』……》

[ご明察]

《成る程、さっきのは『修理』じゃなくて、『再生』だったわけだ》

[始まりと終わりの力。この力は一度使うともう使えないのでな。見ろ、桜が枯れてしまっておる]


先ほどまで薄いピンク色だった花びらは茶色くちぢれ元の姿の見る影もない。


[出し惜しみせずに先にこちらを抜いておくべきであったかな。夏刀『向日葵丸』]


アレでも、アレでも仕留めきれないのか。

ネタ切れにはまだまだ遠いけれど、『実験七つ道具』は決して便利道具などではないし、一度死んでも生き返られるなんてとんでもない力を持っている相手がどんな力を持っているのか想像したくもない。


《もう一回殺ればいいってことでしょ? 簡単だよ『実験七つ道具・顕微鏡』》


それでもボクは強がる。

まだ、逃げるほどじゃない。

ボクにもできることはある。

まだボクは戦える。

折れてない。


[其れは活性化と成長の季節『いかほどの距離があろうとも 空の光へ手を伸ばす』《夏刀解放》『太陽輪廻』]


イッシキさんが刀を右手に持ち替え、左手を空へと掲げた。

この行動をとらせることがまず失敗だ。

その行為自体をまず止める。


《『実験七つ道具・顕微鏡』特権行使。第二工程『解析(アナライズ)』》


ボクの体の側面と目の前に大きな鏡が合計三つ出現し、その鏡全てがイッシキさんを捉えた。

単語の上に順番も何も考えずに脳内に流れ込んでくる情報に頭痛を感じながら必死に整理する。


太陽、成長、栄養、努力、反動、循環、不屈、強化、限界、制限、力、未知、未知、未知、未知、未知、時間、勝利、具現、未知、否定、三分、条件、破損……――――


《――――あいっかわらずだなぁ……訳がわからないよ》


憶測でしかなくて不安になるけれど、さっきのイッシキさんの言葉とも照らし合わせて

『太陽に手を掲げることで太陽から力を得て限界を超えて強化される。そしてその強化、栄養を体内で循環し持続させる。不屈とか勝利の具現化とかいう恐ろしい言葉もあったけど無視無視。えーっと、制限、時間、制限時間三分の条件。あるいは刀の破損で能力解除』って言ったところかな。


[ふむ、しかし困ったものだ。ミドリ殿の毒は致死性であるしあの反応速度は目を見張る。断絶する筋繊維ケーブルを無理矢理再生させての最速の動きをこともなげに回避されてしまった。ふっはっは! なんとも愉快なことよ、このモードの我をここまで追い詰める者がまさか、己自身を弱いなどと考えておるとは]

《うっさいなぁ。ほっといてよ》

[ふははっ! そう拗ねるでない。ごふっ、おおっと、いかんいかん。早くせねば我の『英雄武装(ヒーロー・タイム)』の時間が無くなってしまう。ふむ。機体のメンテナンスの時間が長引く故あまりやりたくはないが手詰まりである以上致し方あるまい]


その口ぶりに頰がひくつく。

おいおいちょっと待ってよ。嘘でしょ? 冗談だよね?


[『太陽よ我が手に』]


掲げていた左手に光が凝縮し薄ぼんやりと光る白い玉が出現した。

その玉の形状が細いロープのように変化し、次第にイッシキさんの手に巻きつき始め

イッシキさんの左手を容赦なく粉々に捩じ切った。


[ふむ。やはりこの程度では、対価も期待できぬか]


呆然としているボクをおいて、とうのイッシキさんは何も感じていないかのようにケロリとしていた。

そして気づく。

粉々に砕け散った腕は破片の一つすら残さず光るロープに吸収され、ロープは薄黄色と白を混ぜたような球体に戻り無くなった左手の付近にフヨフヨと浮いていた。


[日種がこれほど小さいとは……まあ最初はこんなものか。繋げ、そして巡れ]

《やらせる訳ないっしょ! 『万能薬』》

[『灼熱』]


イッシキさんの立っている場所一帯を座標固定して(どく)を生産。

それ全てを全身から放つ強烈な熱量で一瞬にして蒸発させられた。


《くっ》

[我が生み出したこの太陽が拍動する度に肉体の熱量が上昇し、その度に肉体が『強くなったと勘違いする』能力だ。我が条件達成で生み出した太陽が拍動するとサン・カウンターの数字が1づつ増えていく]


確かに、左腕があった場所にある小さな太陽のようなものはドクンドクンと一定のリズムで動いており、数字もその度に増えている。

心なしか数字に伴って大きくなっている気もする。


[この肉体は限界を破壊したオートマトン。与えられたと思い込めば、体は勝手に動いてくれる。言ってしまえば、勘違いすればするほど強くなる]


凄まじい。

そんな能力との掛け算ありだろうか。

というか話してくれた内容を全面的に信頼する訳じゃないけど、もし本当なら解析(アナライズ)使えねー。

不便すぎるよ。色々と大切な情報が欠落している。


[『成長する太陽(サン・カウンター)』は数字を刻むたびに少しずつ大きくなる。さて、我が長々とこんな説明をした訳がお分かりかな?]

《……?》

[太陽は上がった直後を除き、少し時間を開けた方が強く輝く。カウンターがその数字を叩き出すまで、しばし時間が必要故な]

《時間稼ぎか!》

[ふはははっ。かなり稼がせてもらったぞ!]


くっそー、見た目は派手なくせにやることがみみっちいぞこのおじさん。

炎って言うよりは熱系統のアビリティ。

そこにいるだけでボクの毒で作ったシェルターが溶け始めている程の熱量は凄まじい。

あたりの家がもはや原型もないほどにボロボロになっている。

まるで溶岩で熱されたフライパンの上に立たされてるみたいだ。


だけど、もしかしてこの能力って……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ