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赤い人  作者: 背徳の魔王
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終わりと始まり

奇妙な二人。1人はマルコメの少年。1人は見るからに胡散臭い中年。二人に共通することがあるとすれば、



闇を恐れていない。まるで深淵の世界を。知り合いの家のように気楽に歩いてく様子から。ただの人間ではあり得ない雰囲気を醸し出す。

「この先にあれはいるけど。動き出すまで、一時間だけ有余はあるよ」

そうにこやかに笑う少年は、押し寄せる闇に。パンパン二度柏手を打って、

「だーるまさんが転んだ!」

刀印を切る。バスって音がして、闇が切り開かれた。

「この空間は押さえとくから。おじさん行ける?」

まるで大丈夫かな?。そんな眼差しである。さすがに憮然となったが、

「まあ~何とかな」胡散臭い笑みを張り付け。気楽な足取りで、1人先を進んだ。




関西では、だーるまさんが転んだとは言わず。`坊さんが屁をこいた´と遊ぶのだが、昔ながらの遊びの多くには、正しく使うと。邪を払い。魔を倒し。子を助ける力となる呪法が混ざり込んでいる。さっきの言葉の配列に合わせて印を結ぶと、マントラになる童謡は意外と多い。鴨居神武は、気楽に歩きながら。手早く古びたお札をペタリ。見かけた鏡に張っていた、

「まっ、時間稼ぎにはなるか?」

1人ごちる。ここはあまりに危険である。高瀬一美が、生きてるか可能性は低い。だが少年の言う通り0ではない。ならば仕事を引き受けた以上。やるだけである。

本来山間のトンネルにある非常口は、崩落した場合を考えた通気孔。簡易宿泊施設。普通に下に降りれる非常口。非常口とは名ばかりの資材置き場の何れか、しかしこの場所は。



いまも山を削り。反対側から長々と工事をしているため。この辺りは滅多に車。近隣に家屋もなく。住民もいないため。人が近付くこともない、昔からの心霊スポットである。場所も良かった。別名吹き溜まりと呼ばれる場所が存在する。それがお化けトンネルと呼ばれる場所である。



「見た目古い資材置き場だが……」

一番奥にあった。薄汚れた鏡……。

「これが入り口かよ……」

鴨居の手にあった。対になる御札が、鏡に触れるや。パリン……、鏡が割れて、辺りに散乱していた。そして……。取り込まれる前の何人かが、辺りに倒れていた。

「お嬢ちゃん……」 高瀬一美の側に倒れた親子は、すでに死んでいたが、高瀬一美は左腕を失いながらも。かろうじて息があった。手早くシャツを脱いで、袖をちぎり止血して。一美を抱き上げ。急いで立ち上がる。

「ん?」

視線を感じて、そちらを目線を下に伺うと。赤いレインコート姿の女が、赤い傘を手に。立ち上がろうとしてるのが見えた……。

「ちっ、さすがにヤバイな」

急いで、入って来た出口に向かい。歩き出した。




ヒタリ……、ヒタリ……、まるで二人を追うように。足音が追いかけて来ていた。ヤバい……。冷や汗を拭いながら。鴨居神武は先を急いだ。どれくらい歩いたか……、不思議なことに。全然入り口に辿り着かない。さすがに訝しげに思い始めた……。足音は変わらず付いてくる。眼差しを合わせたら。自分まで取り込まれかねない。だから鴨居は無言でひたすら。マントラを唱えていた。すると背にある高瀬一美の身体が、急に重みを増していた。

『何だ……、さすがに変だ?』

「……鴨居さん?」呟くような問いに思わず返事をしようとして、腕が粟立つ。おかしい……、そう都合よく高瀬一美が目を覚まし。自分の名前を呼ぶはずがない。

「鴨居神武さんですよね?」

冷たい物が押し付けられたような。妙な吐息を感じた。やはり……、返事をしたら。俺が捕らわれる!?。しっかりと察して、ただひたすらマントラを唱えていた。



どれくらいそうしていたか、1分なのか1時間なのか、まるで分からないが、ただひたすらマントラを唱えていた。やがて……。



パリンと音がして。急に辺が明るくなっていた……。




しばらく歩いていると。見覚えのある資材置き場。埃っぽい空気を吸い込み。顔に安堵が浮かぶ……。やがてマルコメ頭の少年が見えてきた。

「危なかったねおじさん。彼処で返事したら今頃。捕らわれていたよ」

にこやかに笑いながら。えぐるような一言に。苦笑しながら。深々溜め息を吐いていた。やっぱりかと1人ごちる。

「さっきおじさんの張った二枚の御札。天神様の御札だよね」

「そうだ……」

「じゃしばらく閉じ込めれるね」

屈託なく笑うが、鴨居が何をするつもりか、知ってる口振りである。

「そうだな……」

汗を拭いながら。高瀬一美をおろして、ある童謡を歌う。

「通りゃんせ。通りゃんせ。ここはどこの細道じゃ、天神様の細道じゃ。行きはよいよい帰りは怖い。それで良ければ通りゃんせ~、通りゃんせ~」素早く印を結ぶと。天神様の力により一時的に。この辺りは聖地となる。

「後10ぷんしたら。さっきのタクシーが迎えに来る時間だね。そろそろ出ようよ」

疲れていたが、少年の言う通りである。時計を見ればあれから1時間過ぎたことになる。疲れていたが、再び背負って。鴨居神武と不思議な少年は、無事に『赤い人』から高瀬一美を救出した。




後日……。失踪していた沢山の遺体が、お化けトンネルで見つかった。一部の新聞を賑わせていた。



それからか……、貧相な中年に連れられた。不思議な少年の話が、大阪で広まるが……、また別の話である。

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