始まり
この物語は実話を元に。当時の記憶を探りながら書いてくので、不定期になるものと思ってください。また『赤い人』は後にある怪異とされた物語にされますが、これは当時を知る者として些か遺憾であるため。なるべく詳しく書けたらと思います。
プロローグ
昭和53年大阪寝屋川市。
梅雨明け間際の7月中旬。毎年この時期になるとポンポン屋、水モチ売りがアパート近くまで、毎週木曜、土曜にやって来た。水町茜は寝屋川私立第3小学校に通う、小学校三年生である。
「おばちゃん~あんな茜当たりつきコーラにするわ」
「はいはい一本60円ね」
早速お金を払い。片側の左だけ少し開くビン専用自動販売機から。一本抜いて、自動販売機の右下に取り付けられてる栓抜きで、カンカンを軽く叩いて窪みを付けた。こうすると蓋に空気が入るから。簡単に開く。スポンと景気の良い音。キンキンに冷えた瓶は早くも水滴をつけ始めていた。
「ほんま茜ちゃんは炭酸好きやな~」
「うんお風呂上がりは、緑サイダーもエエけど。うちはコーラやな~」
プハって半分まで飲むと嬉しそうに笑う。
「うちもマクドでコーラ沢山飲むの好きよ。ただな~冷たいの飲んでお腹いた~なったから、うちはやめとくね。代わりに。ガチャガチャやろうかな~」
あてもんやのガチャガチャは、当たりつきで、当たりはルービックキューブって四角いパズルが貰える。隣の北村君が、一生懸命やってたけど~、
「あっゆうくん」
みっちゃんが、マルコメの男の子にニコニコ笑いながら手を振った。
「今日ゎみっちゃん、茜ちゃん」
去年まで髪の毛長く。スカート履いてたから女の子かと思ってたら。実は男の子やった。
「そうやわゆうくん、私の代わりにガチャガチャやってくれへん?」
そう言って手招きしていた。ゆうくんは二人の通う習字教室に2ヶ月だけ通っていた男の子だ。ただ彼には不思議な引きがあった。お父さんはゆうくんに馬券を買わせて、万馬券を二回も取ったことがあった。
「うんいいよ」
優しい子なのだ。ニコニコ人好きする笑顔で、お願いすると何でもいいよって言ってくれる。可愛い男の子である。いまいち関西弁には馴染んでいないのは、横浜で生まれたからだろうか、近所の女の子は何かとゆうくんを構いたいのは、自分のくそ生意気な弟と比べてしまうからだ。
「ねえ茜ちゃん~貫ちゃんおうちにおるん?」
ガチャガチャを回す前にそんなこと聞いてきた。
「お母ちゃんと買い物行ってるよ」
「ふう~んなら大丈夫だね♪」
安心してガチャガチャを回したら。紙が中に入っていた当たりである。
「うわ♪すご。また当てよった、ありがとうゆうくん」
みっちゃんが嬉しそうに早速おばちゃんに。当たりを見せていた。
「あっ茜ちゃんあのな。赤い人みたら話を聞いちゃダメだよ」
帰る間際。気になること言って、ゆうくんは昼間喫茶店やってる。お店に入っていた。
雑多な裏の通りには、駄菓子屋のあてもんや、二件隣に銭湯があって、近所の子らは、二日にいっぺん入りに行く。ゆうくんが入ってたのは、喫茶店とは名ばかりのスナックである。そこのママさんとゆうくんのお母さんが友達で、普段1人でお留守番してるゆうくんが夕飯食べさせて貰ってると。お父ちゃんから聞いていた。「えへへ♪茜ちゃんいいでしょ」
自慢気にルービックキューブを見せびらかす。
「良かったねみっちゃん」
「うん」
少し残った温いコーラを飲み干して、おばちゃんに瓶を渡すと10円が戻ってきた。それでみかんガム買って、二人はみっちゃんの家に向かっていた。
━━夕暮れ……、
谷ミユキは、寝屋川私立第3小学校に通う小学五年生である。信号のない国道を 、車が来ない間に走り抜け。畦道をてくてく歩いてくと。地蔵公園の側に。何故か真っ赤なレインコートを着て、真っ赤な傘を差してる。黒髪の女人を見掛けた。雨が降ってる訳でもなく。傘を差してる意味が分からないが、大阪にはわりとそんな奴はざらにいるので、気にするだけ無駄である。変な女の人がおるな~。ミユキはそう思っていた。すると目が合ってしまい。慌て目を反らしたが、じっとこっちを見てる気配がした。なんだか気持ち悪くなって。ミユキは走って帰った。
それから3日が過ぎた夏休み。
学校のプールで泳いだ帰り。秋には町内会対抗大運動会の話が出ていた。今年は組み対抗の学年徒競走にミユキは参加予定である。何とか1位になって、駄菓子の詰め合わせをゲットしたい所である。小学校の運動会としては異例だが、近隣の商店街と提携していて、運動会に参加したい大人、小学生はお金を払い参加する。その代わり成績に応じた景品が貰える。因みに総合1位のグループには300円相当の駄菓子がみんなに貰える。ビリの参加賞でもお絵描き帳が貰えるので。参加するだけで楽しい。何だか得した気分になるのだ。
「ミユキちゃんまた明日な~」
「うんバイバイ」
友達を見送り。何時もの畦道を歩いてると。夕暮れ時だから、この間見掛けた変な女の人を思い出していた。まさかこんな暑い日にあんな格好しているとは思えないが、なんとなく地蔵公園の方を見て、
「えっ……」
思わず声を出していた。まさかまた赤いレインコートを着て、赤い傘を差してる女の人が、じっと佇んでるのが見えた。何だか気持ち悪いから。ミユキは走って地蔵公園の前を走り抜けていた。ゾクリ肌が泡立つような嫌な予感がして、振り返ると。女は食い入るようにミユキを見ているのがわかり。気持ち悪くなり家に急ぎ。お母さんに話をした途端。顔を強張らせ。何だか慌ただしく黒電話を手に。隣にある手帳をめくる。相手はPTA会長の万田弘美のお母さんであった。何を話してるか分からないが、ミユキはひどく真剣なお母さんに。1人で3時以降出かけるなと言われた、何故そんなこと言うのかわからないが、あの赤いレインコートを着た女の人に関係があると察して。
「うんわかった」
素直に返事をしていた。
当時の物価は今の半分以下でした例えば。タバコセブンスター自動販売機で100円。ジュースの自動販売機はとても珍しく。町内に一つあるかどうか、よくお小遣い稼ぎに。一升瓶、ビールの空き瓶を探して、酒屋に持ってくと買い取ってくれたり。屋台で売り子やチラシ代わりに。スーパーに呼ばれて、お菓子を餌に。宣伝をした記憶があります。また大阪では駄菓子屋さんの中に。お好み焼き屋をやってる店があって、300~350円で食べれました。たこ焼きも一個から売ってくれる屋台や。一本50円のフライソウセージは絶品でした。ただ散髪屋さんは恐ろしく適当な店が多く。顔反りやると大概眉毛まで剃られるのはざらでしたが、散髪屋さんは最後にキャラメル貰えたので、不満はありません近所の男の子は、大概がマロでした。また同じ物語か別の物語で背徳の魔王でした。




