71話 『ゴーグは走る』
「くそ! 情けねぇーな俺は!」
ランスとクロックを背負ってゴーグは走った。
石でできた地下通路を、来た道を戻る。
(くそ、くそ、くそ!)
モルスにあの場を任せるのが最善という状況を変えることができなかった自分自身の情けなさに反吐が出る。
モルスの初めての依頼を手伝った時もそうだ。
ハイウルフの攻撃からモルスを庇ったのはよかったがモルスはゴーグを助けようとした。
ゴーグは自分自身をそこからはただの足手まといだったと考えていた。
「時間稼ぎをする」
そう言ったモルスをゴーグは止めるべきだったと思っていた。
だが早くしなければランスとクロックは死んでしまい、モルスではランスとクロックを二人抱えて逃げるなんてことはできない。
だからモルスが囮、時間稼ぎ役を担うのは正しい選択だ。
だけどモルスは新人冒険者。
そして自分は鉄ランクのそれなりに冒険者歴も長い冒険者。
(本来なら経験豊富な俺が危険な目にあうべきなんだ……モルスはまだ新人……なのに俺は……!)
ゴーグは走る階段を駆け上がり地下通路につながっていた部屋にたどり着く。
一刻でもはやくランスとクロックを治療する必要がある。
地下通路につながっていた部屋は幸いなことに誰もいないので治療場所としては最適だった。
ゴーグはポーチから包帯を取り出す。
クロックは腹部の損傷がひどく、ランスも同じ。
包帯をそれぞれの腹部にしっかりと巻きつけて出血を止める。
そんなときふとランスの腰につけている開けっ放しのポーチから瓶の先端らしきものが出ているのが見えてそれを手に取った。
その瓶がすぐにポーションだとわかったゴーグはポーションの蓋を外してクロックとランス、二人に飲ませようとする。
ゴーグはポケットから自分自身が持ってきていたポーションを飲ませ、ランスのポーションをランスに飲ませた。
ポーションを飲ませた瞬間先ほどまで死にそうで、ひどい色をしていた顔色はすぐに普通のものーー部屋が暗いからしっかりとは見えないがたぶんーーになった。
するとさっきまで意識が朦朧としていたランスが目を開いた。クロックはまだ意識を失っている。
どうやらランスが持ってきていたポーションはゴーグが持ってきていたポーションよりも高価な、良いもののようだ。
「っ……ここ……は……?」
「おい、無理して体を起こすな。さっきまで死にかけてたんだからな」
魔法の効果がかかったポーションとはかくも凄いものだ。
ゴーグが持ってきていたポーションは薬草のみを使った効果の薄いポーションだ。
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