26話 『特に行くあてはないです』
主人公は今のところこの異世界についてまったくといっていいほど無知。
(アフォレスト街一番人気の宿屋と冒険者組合の場所しか知らない)
転生してから三日しか経ってないから当たり前なのかな?
ルレット夫妻の宿屋から出た俺だがもちろんどこに行くかなど決めてもいない。
現在の所持金は宿屋で食事をとったときに銅貨5枚を払ったため銅貨5枚。
普通の宿屋に一泊するには銅貨4、5枚(4、5ルド)が必要で激安の宿屋で銅貨2、3枚(2、3ルド)が必要だとゴーグは言っていたので今のままでもどこかに一泊宿泊することは可能だろう。
(今すぐどこかの宿屋に行ってみようかな……でもまだ朝だし、ルレット夫妻の宿屋から出たばっかり……どうするかな……)
異世界にきてまだ三日しか経っていない。
当たり前ではあるがアフォレスト街について俺は全く情報を持っていない。
冒険者組合で他の冒険者たちが喋っていた鍛冶屋やポーション屋なんかがどこにあるのか知らないのだ。
「とりあえず……あそこに行くか」
俺が知っているこの街にある店や建物の場所は(現状)ルレット夫妻の宿屋と冒険者組合のみ。
冒険者組合……今のところ行くところとしてはそこしか俺には思いつかなかった。
☆☆
「(来てみたはいいけど……)何するかな……」
冒険者組合は相変わらずいつもたくさんの冒険者で賑わっていた。
まぁ半分ぐらいは依頼について揉めあっているパーティーや報酬金額の配分について争っている冒険者たちの声がうるさいだけであり、たぶん実際は賑やかではないのだろう。
だがまだ冒険者になったばかりで組合にもあまり来ていない俺には賑やかに見えたし聞こえた。
「……まずは依頼を受けようかな……」
大した理由もなく冒険者組合に来た俺は昨日と同じように依頼の張り紙が貼り付けられているボードの前に立つ。
とりあえず何か依頼を受けて今日の食費にあてよう……。
そんな軽い感じで依頼の張り紙を一枚剥がして内容を一通り読み受付カウンターに向かった。
『落し物の手伝い
落し物、金の入った皮袋
暇な冒険者に手伝い至急求む!
見つかったらポーション屋【フェア】まで』
(これ見ると本当に冒険者って便利屋……何でも屋みたいな仕事なんだな。ってか金の入った皮袋ってつまり財布だよな? なんで大事なもん落としてんだよこの人……)
張り紙を受付カウンターまで持っていき依頼を受ける。受付カウンターにいたのはいつもの受付嬢ではなく身長の高い赤髪の青年だった。
「あ、ギルドカードの確認ーー」
「いいえ、この依頼は自由依頼と言われるものでして、推奨レベルがなく冒険者ランクも関係なく受けれる依頼のためギルドカードの確認は必要ありません」
「そうなんですか? えっと、なら依頼達成の報告は……?」
「この依頼は依頼者である方が冒険者組合に発行手続きしたものであるため依頼達成の報告はこちらではしません」
「なるほ……ど?」
「……あなたが冒険者組合に入ってきたときから薄々気付いてはいましたがどうやら新人さんみたいですね、あなたは」
「はい……すみません」
「あ、いや、あなたが謝る必要はありません。そういった何かわからないところなどを教えたりするのも受付担当の私の仕事ですから。普通の依頼と自由依頼について説明させてもらってもよろしいでしょうか?」
「ぜ、ぜひお願いします!」
「かしこまりました」
受付の青年は俺に軽く頭を下げお辞儀した。
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