俺の後ろの噂話 (フラグ)編
俺の学校は英語を2人一組でやるらしい。
そう聞いた瞬間、俺は愕然とした。
なんでかって?
俺の相手が自称魔王だからだよ。
この間、鳴海に自称魔王の噂について聞けと言われてから数日が経つ。
時間が経つとは早いもんで、俺は掃除機のように早々と時間を捨ててゆく毎日だった。
あれから3日……途絶えることのないニナについての噂話は鳴海によって学年中に拡散され、結果『アスク・テーラ・ニナ』という名前は1学年では知らない人はいないほどになっていた。
その噂の渦中の奴が今俺の前で日本語を読むのに手こずっている真っ最中………
「こ、この漢字はなんて読むの?」
その割りに日本語は流暢なんだよな……………
一体どういうことだ?
そんなことを考えながらも聞かれたら答える優しいやつになりたい俺は丁寧に教える。
だが、今やってるのは英語だ。
これがいわゆる根本的に間違っていというのだろう。
っと、俺はそんなことをしている場合じゃない!
何せ俺とこいつは今、真正面から向かい合っている状態なのだ。
目の噂について確認する機会はここ以外もうないような気がしていた。
こいつが日本語を辞書で調べている間、俺はこいつの目の観察をする。
……………数分後
俺が目を見ているとニナが話しかけてきた。
「ねぇ、ずっと気になってたんだけど、私の顔に何かついてる?」
ニナは辞書をパラパラめくりながら俺に聞いてきた。
辞書から目を離してないのに………
な、なんで気づいてんだ⁉︎
「い、いや………あの…その……」
「だから、なんなのよ」
こうなりゃ言ったれ!
「実は……お前についての噂があるんだが…」
そう言うと、ニナは興味津々の顔になったので噂について全て話すと……
「目がルビー⁉︎」
驚いた顔をしながら、自称魔王の笑い声が俺の耳を遮った。
「そんなわけないじゃない」
だよなー
「だいたい間違ってるわ」
…………だいたい??
「だいたい」
この言葉の巧みな使い方は中々日本語を話さない奴はできないんだが………
「あ、合ってる部分もあるのか?」
俺が問いかけニナが答えようとした瞬間、
「おい、そこ!いつまでやってんだ?」
先生からの声がかかる。
周りはとっくの等に終わっていた。
高校入って初っ端から俺は何やってんだ………
周りを見るとクラスの連中が俺らを見てクスクスと笑ったりコソコソと話したりヒューヒューと言ったりしていた。
鳴海はさらに腹を抑えて笑っていた。
こいつ後で張り倒す‼︎
その後、俺は何事もなかったかのように振舞ってその場を沈め真面目に授業を受けたが、どうやら英語はもう諦めたのか後ろから寝息が聞こえていた。
しっかし、だいたいってのは曖昧だな…………今度また聞いてみるか、その前に目の噂の話を鳴海に話さないとな