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私はただの『旅人』です。  作者: アジフライ
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第五十三話

前回、 ヴェイテルタをアンスの魔の手から救ったエイン一行。

国が救われ、 皆が歓喜する一方で、 剣を失ったエインはどこか浮かない表情をしていた。

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アンスを倒してから翌日、 『救済の灯』との戦いを終えたエーフィルは、 早速セフィエンゼの復興作業に取り掛かっていた。

並びに、 街の襲撃から市民を守ってくれた者達に感謝を述べ、 それぞれに報酬を与えた。

援軍に来ていたバルキス騎士団は、 エーフィルの許可を得て転移の魔法具を使い、 団長以外の者達は先にリエルデへ帰還した。

バルキスはと言うと、 今回の襲撃で国崩九魔を討ったと話題になっているエインと久方ぶりに再会していた。


と言っても、 話す事と言えば近頃の王国の内政事情やベリスタ帝国との関係の緩和などと、 エインにとってはあまり興味の無い話題ばかりだった。

エインも近頃の旅の話をバルキスに聞かせると、 彼女は我が子の思い出話を聞いているかのように微笑んでいた。

そんな何気ない会話をした後、 二人は別れの挨拶を交わす。

別れ際、 バルキスはエインの仲間達を見る。


「……いい仲間が増えたものだな……其方のこれからの旅がどのようなモノになるか、 想像するだけでも面白い……」

「うん! 楽しい旅にするつもり♪ 」


そんな彼女を見たバルキス再び微笑み、 一行に別れを告げた。

すると、 バルキスと別れたタイミングを見計らい、 エーフィルは一行の元に歩み寄り、 改めて今回の件について感謝を述べた。

そして彼女は復興中であるが、 街を歩きながら少し話でもしないかと誘う。

『救済の灯』の不安は無くなり、 急ぐ必要も無くなった一行は快く首を縦に振った。


「アンタ達には感謝してもし切れないよ……特にエイン、 アンタがいなければこの国は確実に滅んでた……」


国崩九魔を倒せるのは世界で太陽級の勇者と同等の強さを持つ者のみ。

一対一の戦いであれば、 エーフィルでもアンスに勝利する事は可能だったかもしれない。

しかし、 今回は都市全体を巻き込んだ戦争だった。

ヴェイテルタにおいてエーフィル以外に戦える者と言えば、 騎士団か少数の聖職者くらい。

例え自分がアンスを討伐出来たとしても、 大きな戦力も無く対処に当たれる人数も少ない状態で戦場を放置していれば、 被害はもっと大きくなっていただろうとエーフィルは話す。


そんな話をしていると、 エインはとある広場に目が行く。

そこは今回の襲撃で亡くなった市民と、 戦った騎士達と聖職者達の為の仮設死体安置所だった。

エーフィル曰く、 死体は全て回収し清め、 丁重に弔った後に慰霊碑に名を刻むつもりだと言う。

エインはその死体安置所で遺族達が泣き崩れている姿を見て、 表情を曇らせる。

……私がもっと早くアンスを倒してれば……あの人達は皆助かったのかな……

話では今回の襲撃で最も被害を出していたのは魔物達ではなく、 武装した教団の信者達による虐殺だったそう。

魔物はヴェイテルタの騎士団と援軍に来たバルキス騎士団の助力によって被害は最小限に抑えられた。

それでも、 信者達の暴走にまで手が回らなかった。

この被害は、 自国の戦力不足が原因だとエーフィルは考えている。


「ここにいる奴らの殆どは……信者の手で殺されていた……アタシ達が真に恐れるべきなのは魔物じゃなく、 人間の『憎悪』なのかもねぇ……」

「狂っちまった人間ってのはホント何するか分かったモンじゃねぇからな……特に魔王を信仰してるような奴らなんかはな……」

「……パパも……こんな経験した事あったのかな……」


話を聞いたエインはふとそんな事を呟く。

……師匠……

アンスも言っていたように、 人間とは悪魔も魔物も存在していなくとも争う生き物だ。

今回の事で、 彼女は『人間の残酷さ』を思い知った。

死体なんて見慣れているはずの彼女が何故こんなにも思いつめるのか、 恐らくそれは抗う術を持たぬ者が成す術無く死んでいくという現場を初めて目にしたからだ。

ベリスタ帝国との戦争の際は、 ただ向かって来る敵を倒すだけ……そんなイメージだった。

向かって来る彼らもこちらを殺す気で、 かつ死ぬ覚悟があっての突撃だった、 その上で相手の命を奪う事にエインは何ら躊躇しなかった。

だが、 今回はそんな命のやり取りとは違う。

死んだのは魔物でも兵士でもない、 闘う術を持たない一般市民。

何故、 そんな弱者が理不尽な事で死ななくてはならなかったのか……彼女にはそれが分からなかった。


自分がもっと強ければ、 もっと早く敵を倒せたのだろうか……


自分が勇者なら、 今目の前で死んでいる者達を救えていたのだろうか……


守りたいモノも守れないのは……自分の強さを過信し過ぎたからなのだろうか……


そんな思いが彼女の中で渦巻いていた時。


遺体に手を合わせていた親子と思しき一人の女性と幼い少女がエーフィルの元に歩み寄って来た。

恐らく遺族であろう。

親子は彼女に頭を下げ、 今回の教団襲撃への迅速な対応に関する感謝と、 父と呼ぶ遺体の事を丁重に弔ってあげて欲しいと頼んだ。

エーフィルは王として、 そして勇者として当たり前の事をしたまでだと述べる。

そして遺体の事は心配せずとも、 安らかに天へ召されるよう祈ると親子に言った。


親子はエーフィルとの話を終えると、 今度はエインの元に歩み寄る。

すると名を訪ねられ、 彼女は正直に名乗ると親子は深く頭を下げて感謝した。

どうやら今回の襲撃で黒幕であったアンスを討伐したのはエインだという話は既に街中に広まっているらしく、 目の前の親子のみならず、 街の者達全員が彼女に感謝しているという。

しかし、 エインは素直に喜べなかった。

救えたかもしれない彼女達の父を救えなかった。

大切に想う父がいるエインだからこそ、 親子の辛さが想像できた。

自分は感謝されるべき人間じゃない……そう思って暗い表情を見せるエイン。

すると、 母親の手を握っていた少女がエインの前に歩み寄り、 彼女の手を握って来た。

そして……


「帽子のお姉ちゃん、 パパの代わりに悪い悪魔をやっつけてくれてありがとう! 」


笑顔でそう言った。

そこでガルン達は言った。


「……師匠、 確かにこの中に救えたはずの命があったかもしれません……そして救われなかった者の遺族の中には貴方を善く思わない者もいるかもしれません……ですが、 貴女がこの国の人々の為に命懸けで闘った事に偽りはありません……それを分かってくれる方は大勢います……」

「そうだぜ、 現に感謝されてんじゃん♪ 」

「救えなかったモノよりも、 救えたモノを見る事も大事だと思うぞ……後ろ向きに考えるなんてお前らしくも無い……」


そんな三人の励ましを聞いたエインはようやくいつもの笑顔を見せた。

……そうだね……ガルン達の言う通りかもしれない……

救えなかったモノより何を救えたかを見るのも大事……それはエインの父でも教えなかった事だ。

彼女は初めて大切な事を父以外の者から教わったと実感した。


「……それに騎士団の連中から、 戦闘中にお嬢ちゃんがアンスの攻撃から単独で守ってくれたって聞いたよ……お嬢ちゃんが戦ってくれてなかったら、 きっとアイツらは今頃ここにはいなかった……それだけでも戦った意味はあると私は思うよ……」

「! ……そっか……そうだね……」


……守れたモノはちゃんとある……それだけでも戦った意味はある……

皆の話を聞き、 全ては救えなかったが、 自分のお陰で救われた者が確実にいる事を実感した。

彼女はそれだけでも報われた。


そうしてすっかり調子を取り戻したエインは、 次の旅に出ようと言い出す。

親子は最後まで彼女に感謝し、 別れ際にある質問をしてきた。

それは『ミュルーラ教』の伝承に登場する『時の勇者』の事だった。

今回の国崩九魔を討伐したエインの事を知り、 皆が彼女を『時の勇者』なのではと噂をしている。

親子はその噂を確かめようと、 彼女に何者なのかと尋ねた。

するとエインは優しい笑みを浮かべ


「私はただの『旅人』です」


ただ、 そう答えた。


……私は勇者じゃなくてもいい……これまで通り、 私は『旅人』として困ってる人達を助けていこう……

そんな事がありつつ、 旅の準備をしながらしばらくセフィエンゼで過ごす事にした一行。

とは言うものの、 今回の事件で街の至る所が破壊されてしまっているようで、 どこへ行っても復興作業の真っ只中だった。

そんな中、 復興作業を手伝う者達の中に見覚えのある人物が目に入る。

フィルとスペルドだ。


「あ、 お兄さんたち無事だったんだ! 」

「皆さん! 良かった……」

「エインちゃ~ん! 」


挨拶をするや否や、 フィルはエインに抱き着こうとする。

それを何食わぬ顔でヒョイと避けるエイン。

そんな二人のやり取りに苦笑いを浮かべつつも、 今回の事件でレイファが教団の信者だった事について二人に聞く。


「……えぇ、 騎士団の方から話は聞きました……まさか彼女が『救済の灯』と繋がっていたとは……」

「今回の事件で魔物狩りの中にも共犯として捕まった奴が何人かいたらしいぜ、 俺らも事情聴取されたがすぐ解放されたよ……全く飛んだ災難だったぜ」


だが、 どちらかと言えば彼らは戦闘に参加できなかった事を悔いているそうで、 その罪滅ぼしという訳ではないが、 少しでも都市の復興に貢献しているという。

規則上、 『魔物狩り協会』に所属する魔物狩りは戦争や政治に関わる事案に手を出してはならないという決まりがある。

破れば最悪、 その界隈から永久追放される場合もあるそう。


「まぁ、 中には特例でそういう依頼を専門とする奴らもいるけどな……『暗殺者』……とかな」

「へぇ~……」


……暗殺者……そういえばヒュリデっていうお姉さんがそうだったっけ……また会えたら色々聞いてみよっかな……

そんな話がありつつ、 一行はしばらく雑談した後に二人に別れを告げた。

・

・

・

数日後……

旅の準備を終え、 一行は当初の目的であった『転移の魔法具』を使わせてもらう事にした。

魔法具がある部屋に向かう前、 エインは思い出したように折れた剣を取り出し、 エーフィルにどうすればいいか聞いた。

今回の戦闘で剣が折られてしまったエインは、 取り敢えずとして代用の剣を買い、 しばらくはそれを使う事にしていた。

折れた剣に関しては父から貰った大切な物……彼女としては別の剣に変えるよりも、 何とかして修復したいところだ。


ただ何せ、 剣が折れるなんていうのは初めての事で、 エイン自身も修復のし方は知らなかった。

故に、 太陽級の勇者であればあるいはと思った彼女は、 エーフィルに方法を聞くことにしたのだ。

すると、 しばらく剣を眺めたエーフィルは何か思い当たる節があるような様子を見せる。


「ウルディメントライト……昔聞いた神話の中で耳にした事はあるが、 まさか実在していたとは思わなかったよ……」

「じゃあ治し方とかは……」

「残念だけどそういうのは専門外でね……アタシじゃどうする事も……」


そう言うエーフィルにエインは残念そうな表情を浮かべる。

しかし、 彼女は何も宛が無い訳ではなく、 そういった希少な金属を扱う鍛冶師が集まった『ガウ・グランダ』という国があるという。

そこは『焔の国』とも呼ばれており、 大陸最南端にあるという世界最大の火山 レビュロ火山の麓にあるそうだ。

そこの国王であればあるいは……とのこと。

エインが望むならそこまで一気に転移させる事も可能だとの事だが、 当然彼女は……


「ん~……いいや、 他にも色んな所に寄りたいし、 リエルデの南側辺りでいいよ♪ 」


あくまで世界を旅して回りたいという目的は変わらない。

そんな彼女を見たエーフィルは微笑み、 一行をリエルデの南部、 国境手前辺りの街に送る事にした。

こうして一行は準備を整えた後、 転移の魔法具がある部屋に向かった。

そこは広い地下空間で、 その中央に白い水晶玉で囲われた大きな祭壇が設置されている。

それこそが世界で唯一長距離での転移を可能とする転移の魔法具である。


すると、 エーフィルは一行を部屋に送り届けると、 自分は他にも仕事があるから見送りはギルファルドに任せると言い、 そのまま立ち去ってしまった。


「申し訳ありません、 陛下は本当に多忙でして……改めて陛下に代わり、 皆さんにはお礼申し上げます」

「いいっていいって、 私もこの国の歴史とか色々知れて楽しかったよ♪ 」

「報酬もたんまり貰ったしな♪ 」


すると、 ギルファルドは少し考える様子を見せ、 エインに付いて行っている三人に聞いた。

何故、 目的の為とは言え、 国崩九魔が絡んでいるような危険が伴う無茶苦茶な依頼を受けてくれたのか……

エインはともかくとして、 他の三人は勇者でもなければ騎士でもない、 何故そんな無茶ができるのかと、 ギルファルドは疑問を投げかけた。

それに対し三人は……


「師匠は自由奔放で、 普段何を考えてるのか分からない人だが……目の前で困っている人を見捨てない心優しい人だ……俺はそんな師匠に憧れているから、 全力で付いて行くと決めている……だから無茶もできる」

「まぁ、 エインの無茶は今に始まった事じゃねぇし……俺は付いて行くって言った以上、 こいつを裏切る訳にはいかねぇからな♪ 」

「エインは俺に『生き方』を示してくれた師でもあり恩人だ……だからこそ、 俺は彼女が選ぶ道がどれだけ無茶だとしても、 信じて付いて行く事ができる」


答えに迷う様子も無くそう話した。

……そうか……この方たちはエイン様を信頼しているのか……だから共に無茶ができる……良いパーティだ……

正に『一蓮托生』という言葉が似合う一行の様子を見たギルファルドは感心した。

そんな話をしている間に、 魔法具は起動し始める。

ギルファルドの話では次に一行が向かう街はローフェンというリ・エルデ最南端に位置する街だと言う。

そこから馬車に乗って数日もすれば南西諸国の領域へ入るそう。


「最後に一つ聞かせて下さい……エイン様は、 何故旅を? 」

「私は自分がどこでどうして生まれたのかを知りたくて旅をしてるの……それと、 世界中にある見たことの無い色んなものを見てみたいんだぁ♪」


無邪気な笑顔でそう言うエインに、 ギルファルドは静かに微笑み、 転送されていく一行を見送った。

……良い旅になる事……心からお祈りします……


ヴェイテルタの……『勇者様』……


その想いを胸に、 彼はエイン達を送り出した。


この時、 ヴェイテルタに新たな伝説が生まれた。

それは国崩九魔が国を滅ぼしかけ、 旅人を名乗る一人の少女がその魔の手から国を救ったという歴史を描いたモノ。



『旅人は彗星の如き青き剣を携え、 光の如き速さで剣を振るい、 国崩九魔と渡り合った。


そして、 地を揺るがす程の戦いの末に剣を犠牲とした旅人は国崩九魔を討ち、 ヴェイテルタを救う。


人々は旅人を希望の象徴として称え、 神託に在る『時の勇者』だと疑わなかった。


しかし、 旅人はこれを否定する。


『自分はただの旅人である』……


その言葉を残し、 旅人は次なる旅へと国を立ち去った』



勇者でなくとも、 人々に希望をもたらす力は誰にでもある……

そんな教えを込められた伝説だ。

後に、 この伝説はミュルーラ教の最高位聖職者、 エーフィルが後世にまで伝え、 国中の信者達に広まっていくのは、 また別の話……

・

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リ・エルデ最南端の街、 ローフェン。

街の門の前に転移してきた一行はまず、 エインの剣を治せそうな鍛冶師の情報を集める為に聞き込みを行う事にした。

しかし、 どこへ行っても知らないと言われるばかりで、 何も情報は得られそうに無かった。


そもそもウルディメントライトも知らない者が殆どであり、 南西諸国へ行かない事には何も分からないのかと一行は考えた。

……まぁ、 ちょこちょこ寄った村で色々聞いてて薄々気付いてはいたけど……やっぱり私の剣の素材について知らないのが普通なんだねぇ……

ほぼ諦めかけながらも、 一行はまだ聞き込みをしていない最後の鍛冶屋に訪れた。

聞き込みで手にした情報ではその鍛冶屋の店主は南西諸国から来た者らしく、 鉱石に関しては恐らく街で一番詳しいそう。

そうして店に入った一行を迎えたのは一人の男。

その背は子供のように低く、 しかしその顔には長く濃い髭が生えており、 身体は鍛治仕事の所為かとても筋肉質だった。

ドワーフである。


ドワーフは太古より金属の加工技術に長けており、 世界屈指の鍛治技術を持つ種族である。

背丈が一般の人間より低いが、 見た目からは想像も出来ない程の怪力を持っているのが特徴。

また、 その寿命もヒトより長く、 エルフ程ではないが何百年と生きる事が出来る。

彼らが築いた国が南西諸国にあるとされているが、 気難しい性格の種族でもあるが故、 他国との貿易はあまりされていないとも言われている。


「……おぅ、 いらっしゃい……武器をお探しかな」


店主は一行を招き入れ、 要件を聞く。

しかし、 ウルは店主がドワーフだと分かるや否や、 外で待つと言って店から出て行ってしまった。

何事かとエインは首を傾げていると、 ガルンは察したように説明する。


古来よりエルフとドワーフは仲が悪く、 歴史的に見て過去に幾度も戦争を繰り返している。

その仲の悪さは現代にまで受け継がれており、 お互い顔を合わせるや否や喧嘩を始める程だ。

今回の場合、 ウルは特にドワーフを毛嫌いしている訳ではないが、 相手から喧嘩を売られるのは面倒だと思っての行動だったようだ。


その話を聞いて納得し、 気を取り直してエインは事情を話し、 折れた剣を見せる。


「……こいつは……ウルディメントライトか……伝承には聞いていたが実在したとは驚きだ……! 」


店主は驚きの声を上げ、 彼女の剣を興味深そうに観察した。

ここで初めてウルディメントライトの事を知っている人物に出会った一行は希望が芽生え、 早速治せるかどうかを聞く。

しかし残念な事に、 ドワーフである店主でも治し方までは分からないそう。

ただ、 ウルディメントライトの事をもっとよく知る者が南西諸国の『焔の国』にいるだろうとの事。

その者であれば加工の方法を知っているかもしれないそう。

その情報は確かなものかと聞く一行に、 店主は頷いた。


「エーフィル様も言っていた『焔の国』か……やはり目標とすべきはそこか……」

「南西諸国には巨大な砂漠地帯がある、 歩いて向かうとしたら砂漠越えの準備をした方がいいだろう……」


二人がこれからの事について思考を巡らせている中……


「ねぇおじさんドワーフなの! ? どのくらい力持ちなの? ♪ 」


エインは相変わらずの様子で初めて目にしたドワーフの店主に絡んでいた。

店主は終始困惑している様子だったが、 子供のように振る舞うエインを見て少し笑っていた。

二人は彼女がセフィエンゼでの事件や剣の事で落ち込んでいるかと思っていたが、 いつもの様子を見て少し安心した。

そんな事がありつつも、 一行は情報をくれた店主に礼を言い、 店を後にした。


「そういえば師匠、 剣が折れた事についてはあまり引きずっていないようですが? 」


いつもの様子の彼女を見たガルンはふと気になった。

エイン曰く、 道具というのは使っていればいつかは壊れるモノだと捉えているようで、 父から貰ったウルディメントライトの剣もいつかは壊れるのは覚悟していたという。

ただ思ったよりも早めに壊れてしまった事には流石に少しショックを感じていたそう。

それも父の教えかとカミツグが聞くと、 彼女は頷いた。

……あ……どうせ壊れるならパパから鍛治技術も習っておけばよかったかなぁ……

話している内にエインはそんな事を思うのだった。

続く……

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