第90話俺と体育祭後編
遅くなってすいません。90話です。
「雄一さん! 私のウインナーと、卵焼き交換しませんか?」
「千代さん。ずるいですヨ! 雄一さん、ハンバーグ、あげるので、卵焼きくださいネ!」
「「「お前もかい!」」」
俺は、今一年一組の皆と、昼食を食べている。
「兄よ、お茶だ」
「ありがとう、優」
ちなみに、右隣が優、左隣が、藤森さん、その隣に太刀川さんだ。
「「雄一さん! 聞いてますか(カ)!」」
「ああ、聞いてるよ、はい卵焼き」
俺は、箸で卵焼きをつまみ、藤森さんの口の前に、持っていく。
「えっ!? 雄一さん!?」
「藤森さん。あ~ん」
「「「なあっ!?」」」
皆、驚いた。
「ゆ、ゆ、ゆ、雄一さん! い、良いんですか!そんな新婚さんみたいな事を、していただいて!」
藤森さんが、そう言う。
「新婚さんか、どうか分からないけど、嫌な「よろしくお願いいたします!」りょ、了解!」
俺は、ゆっくり、箸を前に出す。
「パクッ!」
優が、横から、卵焼きを食べた。
「あーーーーーーーー!?」
藤森さんは、叫んだ。
しかし、直ぐに優を睨み付けた。
「ゆ~う~、さっきから、私の邪魔ばっかりして! このブラコン妹が!」
「千代よ、お前にやると、この場にいる、全員に兄は、やる事になるぞ」
藤森さんが、周りを見る。
全員、頷いていた。
「兄も、軽率な行動をするな! 良いな」
「はい………ごめんね、藤森さん」
「いえ、私の方こそごめんなさい」
俺と藤森さんは、互いに謝った。
「さて、昼食の続きをしよう」
優が、そう言い、皆、昼食を食べ始めた。
「藤森さん」
俺は、誰にも、見えない角度から、卵焼きをそっと、藤森さんの弁当に、入れる。
「ゆうい「し~、皆には、内緒だよ」はい」
俺と藤森さんは、昼食をゆっくり食べた。
□□□
「さて、午後の部、最初の競技は、フリスビーだ、ルールは、簡単フリスビーを、遠くに、飛ばした人の勝ちだ」
「実に、シンプルで、分かりやすい、ルールだな」
「ちなみに、兄よ、注目選手がいるぞ、この競技、二連覇中の三年二組、岡島昴先輩だ」
「雄一君! 覚えてくれると、私、嬉しいですから~!」
声がした方を見ると、黄土色のロングヘアーの人が、手を振っていた。
なるほど、あの人が、岡島さんか。
「てりゃ~!」
岡島さんは、フリスビーを、手にした瞬間、思いっきり投げた。
フリスビーは、校庭を超え、駐車場まで、飛んでいった。
「………凄いな」
「他の選手の方、呆けてないで、投げてください」
優に、そう言われ、他の選手も、フリスビーを投げる。
しかし、フリスビーは、ほとんど、校庭の真ん中位に落ちた。
「これにて、フリスビーの競技を、終わります。続きまして、ウサギ跳びです」
ウサギ跳びの選手達が、指定された所へ行く。
「ルールは、ウサギ跳びをしながら、ゴールへ向かって、行くというものだ、ちなみに距離は、百メートルだ」
「きつそうだな」
「まあ、そうだな………では、最初にウサギ跳びをする組、スタートの位置に、ついてくれ」
選手達が、並ぶ。
「位置について………よーいドン」
パーン!
ズサーーー!
「おっと、いきなり神楽坂選手、顔面から、ヘッドスライディングだ!」
「大丈夫ですか! 神楽坂さん!」
俺が、そう言うと、直ぐに立ち上がり、ウサギ跳びを、再開させる。
そのまま、スピードをアップさせ、三位でゴールした。
「神楽坂さん。大丈夫ですか!」
俺は、神楽坂さんの元に、救急箱を持って行く。
「雄一君。私は、大丈夫だから」
神楽坂さんは、強がっている様子もなく、そう言う。
「良かった~」
「兄よ、そろそろ、次の組に、いきたいから、戻ってこい」
優が、マイクを持ち、そう言う。
「では、神楽坂さん」
「雄一君。ありがとね」
俺は、実況席に、戻る。
「全く、ほんとに、優しいねえ君は」
神楽坂さんが、そう言っていたが、俺の耳には、聞こえなかった。
□□□
「いよいよ、最後の競技だ、ちなみに得点差は、そんなに変わらないので、この競技一位を取れば、どのクラスも、逆転トップになるぞ」
ちなみに、最後の競技は、借り物競争である。
「参加する選手は、並んでくれ」
「結構知ってる、顔がいるな」
三上さん、由利原さん、武田さん、朝比奈さん、芹沢さん、糸原さん等、知っている人が、多かった。
「そういえば、優」
「なんだ兄よ」
「桃さんは、でないのか?」
「ああ、あの人は、チートだから、駄目だそうだ」
「そうか………」
チートが駄目なら、神楽坂さんと、月下さんも駄目だと、思うが………
「ああ、その二人は、年齢的に問題無しだ」
「心を読むな、優」
「以心伝心と言って、ほしいな」
「………まあ良いか、そろそろ、スタートの時間だな」
「そうだな、では、参加するメンバー、準備は良いか?」
優の言葉に、選手は、全員頷く。
「よーいドン!」
選手は、走り出した。
「さあ、始まりました。体育祭、最後の競技、借り物競争、現在先頭にいるのは、由利原さんです」
「流石野球部です。足腰が、鍛えられております」
そのまま、由利原さんは、加速し、トップで紙を取る。
「よし! 内容はなんだ!」
由利原さんは、紙の内容を見る。
「ブハッ!?」
由利原さんが、鼻血を吹き出す。
なんて、書いてあったんだ?
「今、入った情報によると、書いていた内容は、兄のパンツらしい」
優が、そう言うと、俺と優以外、全員が、鼻血を吹き出す。
「はい?」
ちょっと待て、何で俺のパンツなんだ?
「雄一君」
いつの間にか、目の前に、由利原さんがいた。
鼻血を出しながらだが。
「パンツを貸してください!」
「いや、無理ですから!」
「はあはあ、そんな事言わず、先っちょだけで良いから!」
「ギャーーーー!?」
由利原さんが、俺に飛び付いてくる。
「せいや!」
「きゃう!?」
優が、手刀で、由利原さんを気絶させる。
「由利原さん。失格」
優が、そう言う。
由利原さんは、担架で、運ばれていった。
「兄よ無事か!」
「ああ、大丈夫だ、ありがとう優」
俺は、立ち上がり、大丈夫だと、言う。
「雄一さん」
声がした方を見ると、今度は、三上さんが、立っていた。
鼻血を出しながらだが。
「なんだい? 三上さん?」
「私の内容、雄一さんのハンカチです」
「そうなんだ、はい、ハンカチ」
俺は、三上さんに、ハンカチを渡す。
「ありがとうございます。雄一さん………では、行ってきます」
三上さんは、そのまま、ゴールへ向かい、見事一位になった。
これにより、今年の優勝は、一年三組になった。
閉会式で、俺が賞状を渡す事になった。
ちなみに代表で、賞状を貰いに、来たのは、三上さんだった。
こうして、俺の一回目の体育祭は、終わった。
しかし書いている内容に、何で、俺関係のものがあったんだ?
後で、文美さん辺りに、聞いておくか。
後日、その内容は、会長と文美が、書いたことが、雄一に知られ、二人は、説教された。
読んで頂きありがとうございます。




