第78話俺とウエディング体験
78話です。
「あの?」
「「「………」」」
俺は、今保健室にて、川井、仙波、高橋、の三人の先生に囲まれている。
三人とも、獲物を狙う狩人のような目をしていた。
「今日は、川井先生だけの予定じゃあ………」
三上さんがそう聞く。
「その予定だったけど、三人とも、同じ目的だったから、一緒にする事にしたの」
川井先生が、そう言う。
「同じ目的ですか?」
「そう、これよ!」
川井先生は、一枚の紙を俺と三上さんに、見せてくる。
「「ウエディング体験?」」
「そうよ~、雄一君には、私達と一緒に、これに参加して、もらうわ~」
「お願いします。雄一君!」
仙波先生、高橋先生の順番で、そう言う。
しかし、ウエディング体験か、こういうのって、6月のイメージがあるな。
「良いですよ、会場は、何処ですか?」
「「「よっしゃーーーーーー!」」」
三人が、ハイタッチをしていた。
「それじゃあ「待ってください、雄一さん」どうしたの三上さん?」
「先生方に、聞きたい事があります。ウエディング体験という事は、写真を撮りますよね? 撮った後、どうするんですか?」
「「「………」」」
三人は、答えない。
「雄一さん。今回は、辞めた方が、良いですよ」
「どういう事三上さん?」
「この大人達、既成事実を作ろうとしてます!」
「………はい?」
写真を撮るだけで、既成事実になるのか?
「普通男性は、女性とは、写真を撮りません。ましてや、結婚式場で、何て絶対に、撮りません」
ああ、そういうことか
「つまり、親や親戚に、写真を見せると、結婚したように、見えるのか」
「そういうことです」
俺は、改めて三人を見る。
目線をそらされた。
「先生方、分かりやすいですね」
「うん、そうだね」
「「「家族や親戚に見せないので、お願いします!」」」
三人は、土下座をした。
「ちょっ!? 大人が、子どもに、土下座なんて、しないでください!?」
これじゃあ、俺が悪者だ。
「「「じゃあ、してください!」」」
「分かりましたから、土下座は、辞めてください!?」
俺がそう言うと、三人は、立ち上がり。
「「「よろしくお願いします!」」」
「はあ………」
隣で、三上さんが、ため息をしていた。
□□□
「さあ! ここですよ雄一さん!」
川井先生が、そう言う。
何時もより、テンションが高い。
建物の方は、普通の教会だった。
「さあ~行くわよ~!」
「雄一さん! よろしくお願いします!」
俺は、右手を仙波先生、左手を高橋先生に、つかまれ、教会に入って行く。
「おや? どうされましたか?」
中に入ると、お婆さんがいた。
「私達、ウエディング体験に、来ました!」
「「よろしくお願いします!」」
「なんと」
お婆さんは、驚いた顔をした。
「やっぱり珍しいですか?」
俺の護衛の為、ついて来た三上さんが、そう言う。
「そりゃそうじゃよ、ウエディング体験は、既成事実と同じだから。それで、四人の女性と、撮るのかい?」
お婆さんは、俺の方を見て、そう聞く。
「いえ、三人ですよ」
「私は、付き添い何ですよ、残念ながら」
「そうかい、んじゃ四人は、着替えてくれ」
そうお婆さんが言い、俺と先生方を更衣室へ案内した。
□□□
「タキシードを着るなんて、初めてだな」
「そうかい、似合ってるよ」
俺は、今タキシードを着た状態で、お婆さんと一緒に、扉の前にいる。
「この先に、花嫁さん達がいるよ。まず、あんたから、入りな」
「分かりました」
俺は、扉を開ける。
「「「!?」」」
花嫁衣装の三人と、三上さんは、俺を見た瞬間、顔を真っ赤に染める。
それにしても。
「綺麗ですね、三人とも」
俺がそう言うと、三人は、更に顔を真っ赤に染める。
「それじゃあ、始めるよ」
お婆さんが、そう言う。
「汝坂本雄一は、この場にいる、川井美海、仙波瑞穂、高橋美和子の三人を嫁として、迎え入れ、幸せに、する事を誓いますか?」
「誓います」
「では、三人は、坂本雄一を生涯の夫として、迎え入れ、幸せに出来る、覚悟は、ありますか?」
「「「はい!」」」
「それでは、四人を夫婦として、認め、末永く幸せに、生きれるように、祈ります」
こうして、俺のウエディング体験は、終わった。
イメージとは、違ったが、楽しいウエディング体験になった。
翌日の話だが、ウエディング体験をした事が、皆にバレて、三人は、1年1組の教室にて、縄でグルグル巻きにされていた。
どうやら、川井先生が、カバンから、最後に、四人で、撮った写真を落として、それを他の先生に、見られたらしい。
俺は、優の姿だったが、皆に理由を説明し、この場は、落ち着いた。
「川井先生。気をつけてください」
「………はい」
川井先生は、めちゃくちゃ反省していた。
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