危険な恋の四重奏(カルテット)~ 17 ~
「それに私としても何がなんだ..。昨日初めて会ったばっかりで、すかもまだ二回しか話したこと無い子なんだけど。」
「さすが、今時の子供はスゴいわね。一目惚れってやつ?」
「キャー、たった二回で運命感じちゃったのね、あの子ったらオマセサン。」
キャーカワイーと騒ぐ二人とは逆に一人、騎星理事は難しい顔をしている。
うんうん、分かりますよ。
有力者の息子に手を出したとか言って抗議が来たら大変ですもんね。しかも子供だし。
「あの、心配しなくても‥」
「鈴木さんは、アクア様‥いえ、彼と結婚するのかい?」
ハアァァァァァァァッ!?
なんでその答えが出るの!?
今までの私たちの会話聞いてた!?
「しませんよ!」
「本当かい!?」
「当たり前じゃ無いですか!」
何!?私、ショタコンだと思われてた訳!?
小中高大一貫校である騎星学園で、教鞭は執っていないにしても、学生が利用する図書館に、小中学生にハアハアするショタなアラサー女職員が働いてるのを黙って見逃してたんですか!?教育委員会が許しても、保護者が絶対黙ってないですよ。
「良かった。彼はとても格好いい人だからね。鈴木さんが好きになったらどうしようかと思ったよ。」
心底安堵した笑みをこぼす騎星理事。
ちょっと待って、よかったってどういう意味ですか!?年齢差の方は許しちゃうの!?アナタ、自分の学園で中学生と結婚を考えてる様な慢性ショタが働いてても良いの!?(違うけど。)
いくら大らかな校風謳ってても、学校経営者としてアウトでしょ。(ショタじゃなけどね。)
「ほらほら、やっぱりそうなんだって~。」
「なんだかジレジレね。」
友達が幼児性愛を疑われてると言うのに、美穂と早苗の二人が楽しそうにヒソヒソと内緒話をしている。
君たち、さっきまで私を心配して泣いてくれたのに、変態扱いされてる事については結構冷たいね。
「..だから、相手は子供ですよ。」
「え..?こど..あ、そうか、そうだよね。子供だよね。」
今気がついたと言わんばかりに ハハハと爽やかに照れ笑いする騎星理事。
今頃!?本当に大丈夫ですかアナタ。教育に携わる人間として、心配になりますよ、色々と。
「でも安心したよ。彼は昔から僕よりも男らしいからね。鈴木さんを取られちゃったらどうしようとか本気で心配したよ。」
「はは、取られるも何も..」
子供相手とか以前に、私達は雇用者の関係ですが。
「所で、あの...アクア..サマ?ですが、一人で帰しても良いんですか?」
「ああ、そうか..。アクア様が帰るなら見送らないといけないか‥。だが、」
騎星理事は明るい表情から一転、難しい顔をしながら考え込んでしまう。
そう言えばこの後、一緒に地元まで帰る約束をしていたっけ。
「いえいえ、大切なお客様なんですから、騎星理事はどうか彼を見送ってあげてください。子供一人ではやはり、色々と危ないですし。」
雇用している者との軽い約束より、海外からのVIPの方が断絶重要だと思います。
「ありがとう。でも、この埋め合わせを近い内にさせて欲しいな。」
いえいえ、本当にお構いなく。
って言うか、学園のNo.1アイドル教員の騎星理事と旅行鞄を持って一緒に歩いているところを見られる危険性が減ったのだから、こちらこそありがとうございます。
「そんなに、お気になさらないで下さい。最初は三人で寄る筈だったんですから。またタイミングがありましたら、是非、」
「待ってりりちゃん!!タイミングは有るものじゃないわ、作る物なの!!」
では、と、社交辞令込みの別れの挨拶を続け様とした私の肩をつかみ、早苗が普段にないキッパリとした口調で名言を口にする。
しらふの早苗がハッキリしゃべの久々に聞いたよ。
こんな状況じゃなかったら、その言葉も心の名言集に書き加えた所なんだけどね。今はソッと返したい、『沈黙は金』だと。
「うん、そうだね。来週の日曜日なんかどうかな?犬猫写真展のチケットを二枚貰ったんだ。」
「い..ぬ..ねこ.。」
なっ、犬猫だと...!?
「そ、それって、駅前の百貨店でやってる、あの写真展だったり..!!?」
「うん、確かそうだったかな。」
く、くそぅ、喉から手が出そうな程、行・き・た・い!!!!
ああ、でも学園の最寄り駅にある百貨店だなんて、全然知り合いに見られそうな場所だなんて。
「良かったじゃない、来週なら予定無いって言ってたよね。」
何で、私以上に私のスケジュール詳しいんですか、美穂さん。
「飲んでる時にぃ言ってたじゃなぁい~」
ああ、夕べの私。お願いこれ以上、地雷埋めまくるの止めて!!(涙)
「それに~、りりちゃんってば~モフモフ系大好物なんだよ~ね~?」
「本当かい!?良かった、じゃあ決まりだね。また時間は戻ってから相談しようね!!」
じゃあ、と片手を挙げてから颯爽と去って行く騎星理事に「その相談、学校では絶対止めて下さい。」と言い残す気力は、もう私には残っていなかった。
そしてその後、地元までの電車の中、アクア少年や騎星理事の事を根掘り葉掘り聞き出され、心身とも疲弊したのは言うまでもない。
因みに、深夜の閃光と共に出現した元魔痕の大木は、事件として地元紙などの一面を飾ったが、原因は全く判明せず新しい湖の乙女の奇跡として片付けられ、観光客アップに一役かったらしい。
だが、これはまだ序章に過ぎない事を、その時の私はまだ分かっていなかった。
一旦完結マークつけてますが、あの夜のリムリンの活躍は、後日、番外編としてアップ予定です。




