第38話 失踪の影響力
「「「は?」」」
八子が見当たらない!?
いや、先に避難しているだけかもしれない。
「内宮に避難しているだけじゃないの?」
「内宮には八子様の女房たちしか…………」
え、じゃあどこに行った!?
「…………そう」
◇ ◇ ◇ ◇
焼失から1週間ぐらい経った。
定期的に、治輔が報告に来るけど、八子が見つかる気配はないらしい。
物我家が支配する地域も捜索したけど、居ないらしい。
「それで、八子様は一馬帝天様に何も言わずに出ていったのではないかとの認識です」
確かに、その可能性が高いだろう。
「…………それと一馬帝天様が、八子様の子、桜晴様を養子にしてくれないかと」
…………はい?
いやいや、敵やで!?
「…………分かったわ。子に罪は無いもの」
舞子!?
「治輔、清見女房も呼んできてくれる?」
「分かりました」
◇ ◇ ◇ ◇
「こちらが桜晴様です。それと、清見女房もお呼びしました」
「あの…………舞子様、何かご用でございますか?」
和歌の授業なんて、入っていたか?
「清見女房、乳母になってちょうだい」
「舞子様、なぜ私なのですか!?」
「桜晴を養子に迎えたわけだし、人手がいると思ってね」
でも、既に和子さんと安良子さんの2人が居るやん…………。
「和子と安良子の二人だけだと、休めないからね。お願い」
そういうことね。
…………本格的に受け入れるつもりなんやな。
舞子が八子に対してどう思っているか、いまいち分からん。
「しょ、承知致しました…………」
部屋には和子さんと安良子さんに加えて、清見女房が入った。
けど、夜までは舞子がずっと一子と桜晴を抱きかかえていた。
桜晴は、泣くでもなく固まっている。
「(雅道、来て)」
「(承知致しました)」
舞子は、乳母の3人と一子、桜晴が寝静まった後、外に出た。
どこに行くつもりだろうか…………?
「(雅道、今だけ牛車の中に入りなさい)」
「(しょ、承知致しました…………)」
なんで…………?
「(これから、外宮に行くわ。大きな声を出さないようにね)」
「(しょ、承知致しました…………)」
…………今から!?
舞子の取る行動がよく分からない。
◇ ◇ ◇ ◇
外宮に着いても、静かだった。
こっちも、寝静まっているのだろう。
出迎えもない。
「一馬様、よろしいでしょうか?」
一馬帝天は、答えようとしなかった。
けど、中の侍司が御簾を上げた。
入っていいのか?
というか、外宮に入っていいのかすら分からない。
「一馬様…………」
舞子は、入ってすぐに一馬帝天の側に行った。
中には、俯いている一馬帝天の姿があった。
「八子…………」




