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安良子の表と裏-一族の繁栄と政治闘争、その陰で交錯する人々-  作者: 綿ダッコ
第5章〜帝天と八子〜

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第36話 答えは決まっている

 翌朝、いつも通り参上した。


 正直、昨日のことで寝れなかったせいで、舞子側には似つかない、険しい顔つきかもしれない。


「…………雅道、安良子、昨日の夜、何をしていたの?」


「「えっと…………」」


 俺たちは体を跳ねさせた。


 昨日は誰も起きていないはずだ。


 どこから情報が漏れた…………?


「……何もしていません」


 ウソだ。


 流石にこれは躊躇なくウソをつくしかない。


「…………実はね、あなたたちが移動するのが見えたの。あんな時間に外に出て、何をしていたの?」


 見られてた、だと…………?


 でも、八子の部屋に行ったことはバレてないはず…………。


「それは…………私が少し用事があって、雅道さんにもついてきて貰っていました…………」


 流石にこれで納得してくれるだろう…………。


 というか、これ以上言うのは、かえって危険だ。


「…………嘘は付かないでちょうだい」


「「え…………?」」


 この場にいる3人の空気が凍りついたのが分かった。


 確かにウソだが、バレてはないはず…………。


 誰も居なかった。


「せっかく信用して登用したのに、嘘付かないで…………」


 舞子が突然泣き出した。


挿絵(By みてみん)


 舞子の泣き顔を見るのは初めてだ。


 泣き声は聞いたことがある。


 けど、実際に見たのは初めてだ。


 泣いていても、綺麗さは保ったままだった。


 なんでこんな舞子じゃなくて、一馬帝天は八子を優先したんだ…………?


 …………じゃなくて!!


 やばい、舞子を泣かせたなんて広まれば…………。


「「も、申し訳ありません…………!!」」


 俺たちは全力で土下座をした。


「……顔を上げてちょうだい」


 そう言うが、舞子は下を向いて依然として泣いていた。


◇ ◇ ◇ ◇


 それからしばらくして、舞子が泣き止み、何かを訴えるような顔で口を開いた。


「……ごめんね、取り乱して。実は、どこかに行くのが見えたとき、あんな時間だったから心配して使いに様子を見させてたの」


 …………え!?


 人、いたか?


「それで、八子さんの部屋に入っていったって言う報告を受けたから…………」


 俺たちは顔を見合わせた。


 ここまで来たら言うしかない…………。


「…………嘘をついてしまい、申し訳ありません。実は、八子様の侍司と乳母に打診されまして…………」


 舞子は目を見開いて、不安そうな顔に変わった。


「…………それで、雅道たちの答えは決まったの?」


「…………はい、その場で返事を致しました」


 舞子は、これ以上開かないのではというぐらい、目を見開いた。


「…………私にも聞かせてちょうだい」


「「…………私たちは」」


 舞子は覚悟を決めたように表情を、笑顔ではないが元に戻した。


「「舞子様にお仕えいたします」」


「本当に!!」


 舞子はその言葉を聞いた瞬間に、いつも以上の笑顔に戻った。


「……はい、舞子様にはお世話になっております」


「私も、舞子様を裏切るようなことは到底出来ません」


「…………大好き!!」


 舞子はその表情のまま、俺たちに抱きついてきた。


 舞子にそんなことされていいのだろうか…………?


「舞子様!?」


 俺は、止める以前に声すら上げられなかった。


「良かった…………。あなたたちまで居なくなったら、私とこの子がどうなるか分からないわ」


 そんな大袈裟な…………。


 いや、大事(おおごと)ではあるけども…………。


「雅道、安良子」


 舞子は俺たちから離れて、少し目に涙を浮かべて、口を開いた。


「ずっと、私に仕えてね」

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