迷いの花
続きます!
夜空が滲む夕焼けを前に、僕はコンビニの電柱のところで。痴話喧嘩に巻き込まれてしまった。
「…私が好きなのは、この人だから!」
通り過ぎて帰ろうとした際に、腕を掴まれてこう言われた。
「……えっ…えっ?」
さて帰ろうと思った矢先にこれだよ。なんなんだこりゃあよ。
泣きたい
「……あぁ…?」
やべぇよ元カレさんピキッてんじゃんやめたげてよ…!
憂太は心の中で神に祈った。
(……どうか神よ…)
「……おいコラ根暗。」
いきなり人を根暗って呼ぶのもどうなんですかね。
せめて陰キャでしょう(そっちかよ)
「僕根暗って名前じゃないです…」
それを無視して、元カレは言葉を続ける
「根暗よぉ、テメェ遥を奪いやがったな?」
死んだぁぁぁぁぁ…!!
「まって!その人は__!」
静止をかけてももう遅い…ッ!
「テメェぇぇぇぇ!」
父さん母さん、親孝行できない息子でごめん。そして…今までありが__
「わ、わたしは…その人が好き!!!」
ピタッと。その人は、腕を止める。マジで眉間に当たる1秒前だった。死ぬって。寿命縮んだわ
「……あのね…その人は、何を考えてるかも、何が好きなのかも。ごめん、それはわからない。けど、あんたよりもこの人は私を幸せにしてくれそうだから!!」
ピキッ…ピキピキッ。絵に描いたように、怒ったのがわかる。怒りすぎて顔の色がりんごになってるよこれ。
「……ちょっと籾山さん??」
言葉を続ける籾山遥さんが饒舌すぎてどうしよう、これ以上一緒にいたら俺死ぬかもしれない。
胸ぐら掴まれてる状態だもん
「……私の光を、殴らないで!」
光ってなんだよ。
「……おうおう見ないうちに随分変わったじゃねえか。デケェ乳と尻ぶらさげて、好きなやつにはとことん尽くすじゃねえか?俺にはそんなことしてくれなかったのに?」
遥の胸を触ろうとする元カレ。しかし、遥が払い除け、こう突き放った。
「あんたに触られる胸とおしりはないのよ。帰りなさい。……これ以上面倒ごとを起こさないでくれる?」
ごもっともです。僕部活帰りなんですけど…
「テメェ!!女だからっていい気になってんじゃねえぞ―――!!」
怒りが抑えられなくなったのか、頭を掻きむしり。遥を殴ろうとする。
しかし、とっさに体が動いていた。
「危ない――――ッ!」
拳は確実にぶち当たり、コンビニの駐車場の前で僕は体を宙に浮かせて、コンビニの看板にぶち当たった。
「ユウタさん!?しっかり――――!」
元カレの男が逃走していくのが見えた。いいねぇ、いいご身分だ。カッとなって人をぶん殴ってそのまま逃走。
はーあ。なーんでこんな、だせえんだろ。
歯いてえし。おまけに鼻血も出るわ最悪だよ。
気を失う直前、遥さんが何かをしていた。
僕の顔に、自分の顔を近づけ___
―――――――――――――――――
目を開くと、そこは見慣れない天井だった。
ピッ…ピッ…となる音で、病院に運ばれたのだと確実に理解した。
「……あら、目覚めました?」
綺麗な看護師さんが、カーテンを開ける。
「……ええ、まあ…今何日ですかね?」
看護師さんが自信満々の笑顔で答える。
「5月4日です!」
嘘つけい、このスマホには6月4日と書かれてるぞ。4日は合ってるけど。
「……そですか。」
布団に潜り込む。殴られた日が6月1日だから…3日経ってんのか。
頭がぐわんぐわんする。きっとあの衝撃だろう。
「……あ、影山さん。……お客様がいらっしゃいました。」
軋む頭、揺れる視界をなんとか起き上がらせて。相手の顔を見る。
そこにいたのは―――
他でもない、籾山遥さんだった。




