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選んだお題で千文字ワンライ!  作者: アマチュア小説家同好会
十二周目(お題:『たい焼き』『成人の日』『カラオケ』/日付:2019/1/19)
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熱いたい焼きの温度(お題:たい焼き、成人の日、カラオケ/著者:ゆりいか)

 めでたい日には鯛を食べて願掛けする。というジンクスが日本にはあるわけで。

 しかし、この1月はまだ鯛のシーズンではないので、買うのははばかられる。

 なので、手軽に食べられるたい焼きを、成人式の会場近くの屋台で買ってかぶりついた。

 

「成人になってみたはいいけど、なにが変わったのかな?」

「なにも変わってないんじゃない? こんなおべべ着て、ね。親に買ってもらった物着てる次点で、大人じゃないよ」


 俺は背広に身を包み、隣の幼馴染は振り袖ばっちし極めている。

 こうやって立派な服を着てみたはいいものの、お互い大学生なので絶賛モラトリアム中だ。


「もう、この歳で働いてる子がいるのに。軽いバイトしかしてない俺らってなんなんだろうか」


 スーパーの品出しのアルバイトで小銭しか稼げていない自分。もちろん、ちゃんと大学で勉強してるけど。

 それは、隣りにいる幼馴染も同じくで。子供のままの関係もそうだけど、大人っぽさとはお互い無縁だ。

 

「いいんじゃない? あんまり気にしても仕方ないし」

「それもそっか……」


 きっぱりと言われてしまうと、俺はなにも言えなくなる。

 けれど、成人になったのだから、それ相応に男になってみたいと思うのも当然なのかもしれない。

 

「あのさ、馴染。俺、言いたいことがあるんだけど」

「改まってなんなのさ?」

「こう、20年も一緒にいるわけだから……その」


 こんなハレの日に告白をしようと、ずっと考えていた。というか、タイミングをずっと逃していた。

 だから、この際思いっきり言っていしまおうかと決意していた。うん、ここは度胸の見せ所。

 

「あんたって、たい焼き食べる時はいつも頭から食べるよね?」

「え。うん、そうだけど」

「頭から食べる人って、くよくよしない人らしいよ。今のあんたはどうなのさ?」


 ちらっちらと俺の横顔を見る幼馴染。これはもう、あれなのだろうか。振ってくれているのだろうか。

 

「その、……お付き合い、願えんでしょうか?」


 ぼそぼそと小さい声で言うしか無かった。けれど、これは幼馴染が告白しやすいようにしてくれたから言えた。

 

「とりあえず、カラオケに行こう。うん、付き合ってもらおう」


 その言葉は幼馴染なりのごまかしなのかもしれない。けど、OKを貰えたってことでいいんだよな。

 

「いやはや、あっつあつだね。うん」

「な、なにが?」

「たい焼きのことに決まってるでしょ? それとも、あんたの真っ赤な顔?」


 くすりと意地悪く笑った幼馴染は先へ先へと歩いていく。それに追いつこうと歩きを早める。

 相も変わらず幼馴染は俺より大人で、成人になった今でも俺は子供の頃のままなんだと、少し笑えてしまった。

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