凸凹コンビ(お題:迷宮/著者:髭虎)
「ふぅ、これでよしと」
男の重いため息が、トラップだらけの迷宮に木霊する。
彼は端的に言って……疲れていた。
「お、終わった?よし、じゃあ進もー!」
「待てアホ」
「グェッ」
ピクニック気分か、こいつは。
男は思わず眉を顰めて、疲労の原因、能天気な少女の首根っこを掴み上げた。
「何故お前は毎回俺の前を行こうとするんだ?それで何回罠に引っかかりやがったか、覚えてねぇのか?」
ここに至るまで、どれだけいらぬ苦労を強いられたか。もはや頭痛が痛い。危険が危ないのだ。
少女と同レベルに落ちた思考能力が、彼の苦労を物語っていた。
「うーん、三回?」
「7回だボケ!」
「縁起いいじゃん!」
「そういう問題じゃねぇんだよ!」
言いたい事がどうしても伝わらない。それどころか最近では本当に同じ言語を喋っているのか。
全く堪えた様子のない彼女の姿に、男も我を忘れて口汚く言い募る。
ヒートアップする口喧嘩……いや、片方が喧嘩と認識しているのかは謎であるが。
ともあれ、迷宮でそんなことをしていれば痛い目を見るのが当然というもので。
「「あ」」
踏みしめた床が、カチッ、と音を鳴らす。
「こ、これは私のせいじゃないよね、ねッ!?」
「んなこといいから逃げるぞバカ女!!」
「ふっふっふ、バカって言った方がバカなんだよ? ばーかばーか」
「いいから黙れぇぇ!!!」
能天気な少女と、口汚い男。
身長も性格も凸凹な二人の明日はどっちだ。




