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選んだお題で千文字ワンライ!  作者: アマチュア小説家同好会
七周目(お題:『ココア』『マフラー』『理想郷』/日付:2018/12/15)
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溶けてく吐息(お題:ココア/著者:髭虎)

 降りしきる雪に、吐いた息が白く絡まって溶けていく。

 近所のスーパーのレジ袋を片手に、俺はようやく見えてきた自宅の玄関へと足を早めた。


「ただいまっと。ふぃ、寒ぃ寒ぃ」


 ドアを開けた瞬間、ムワッと薫る温かい空気。自分の家という安心感。

 時間にして数十分ほどではあるが、こう寒いと短時間の外出でも、あぁやっと帰ってこれたという感慨があるものだ。

 そんな疲労感にも似た感覚に浸っていると、リビングの方から間延びした声が返ってきた。


「おかえり~」


「ったく、人に買い物行かせといて自分はコタツかよ」


「まぁね~」


 コタツで伸び切った女に声を掛けながら、俺もいそいそと彼女の隣に腰を下ろした。


「うわっ、なんでわざわざ横に来るんだ貴様ぁ~。冷気が寒ぃ~」


「俺の苦労を少しは味わえッ」


 そのまま冷たくなった手を背中に突っ込んでやると、飛んできたのは労いの言葉ではなく顔面への拳であった。解せぬ。


「で、ちゃんと買ってきてくれた?」


「ほらよ」


「おぉ、ありがと~」


 頼まれたココアと牛乳を取り出して見せる。たったこれだけを買いに行かせた彼女への怒りもあるが、ゆるい笑顔と感謝の言葉一つでそれが溶けていくのだから、これが惚れた弱みというのだろう。


「じゃあ、さっそく作って~」


「はいはい、言うと思ったよ」


 しぶしぶ台所へと向かい、お湯を沸かす。

 彼女用のコップと自分のものにココアパウダーを入れて、出来上がったお湯を少量注ぐとスプーンでかき混ぜた。あとは牛乳を入れて電子レンジでチンするだけ。

 茶色いココアに白い牛乳が溶けていくのを眺めながら、俺は少し笑ってしまった。


 こんなに他人の世話を焼くようになってしまったのも、きっと彼女に惚れてしまったせいだろう。

 電子レンジにコップが二つ。ぐるぐる、ぐるぐる、回りながら温まる。熱くなる。


「おーい、できたぞ」


「おー、ありがと~」


 にへら、と笑う彼女に、俺もつられて頬を釣り上げる。


「あり? なんで笑ってんの?」


「お前が笑ったからだろ」


「変なの」


「お前もな」


 冬は嫌いじゃない。彼女と飲むココアが美味いから。


「ふぅ~」

「ふぅ」


 ココアを一口。ほっと吐き出した俺たちの息が混ざり合って溶けていった。

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