無垢なる宝石の彼女(お題:指輪/著者:髭虎)
昔々、ある王国に一人の魔法使いがいました。国一番、いえ、もしかすると世界で一番の魔法使いかも知れません。
彼は魔法に宝石を使うことで有名で、その美麗で絢爛な見た目、そして財をひけらかすような技から、ありったけの僻みを込めて『金食いの魔法使い』と呼ばれておりました。
さて、そんな彼には愛を誓った者がおりました。
彼女は田舎から王都にやってきた、いわばお上りさんです。その目的は王都にて何かしらで一旗あげてお金持ちになること、という田舎者にありがちな計画性のない有様でして、まぁそんな飾らない彼女に金食いの魔法使いは徐々に惹かれていき、遂には結婚を果たしたのです。
ある日、何事も杜撰な彼女は都のペテン師に言われるがまま“冒険者”と呼ばれるヤクザな仕事に手を出しました。
これに泡を食ったのは魔法使いです。どうにかこうにか宥めよう、辞めさせようとしましたが、どうやら決意は固い様子。彼は諦めたようにため息を吐くと、彼女にこんな言葉をかけたのです。
1つ、死なないこと
これを条件に魔法使いは彼女の冒険者業を渋々と認めました。彼女はありがとオカン、と呟きます。
1つ、私との結婚指輪を肌身離さず持っておくこと。
これを条件に魔法使いは指輪に自身の力を分け与えました。彼女は夫が過保護すぎる件、とぼやきます。
そして――1つ、愛を裏切らないこと。
これを条件に魔法使いは彼女自身に加護を贈りました。彼女は白目を剥いて喜びます。
もはや冒険の“ぼ”の字もないと肩を落としながら。ええ、はい、それはそれは喜んでおりました。
そこからの物語はあなた方の知る通り。
チート能力を得た彼女の栄華と、調子に乗ったが故の衰退。その鮮やかなまでの変遷は今なお都にて語り継がれております。
あぁ、無知で蒙昧な彼女。
自身の欲に素直すぎた彼女。
ショタハーレムを作ってしまったばっかりに夫とデットレースを繰り広げた彼女の話は、また今度




