美しき死神(お題:指輪/著者:小鳥遊賢斗)
この世にはある指輪がある。その美しさに、誰もがため息をつくという。
その指輪は、その美しさにも関わらず、人から人へと渡り歩いていくことで有名だった。
そんな美しい指輪を、何故多くの人は手放すのだろう、そう疑問を持つのも仕方がない。
そこには、科学的根拠のない理由がある。
その指輪を初めて手にしたのは、一国の女王だった。
彼女は国を治めることよりも、豪華な宝物を手に入れることに関心があったらしい。
何よりもその指輪を気に入っていた女王は、肌身離さずその指輪をつけていた。
しかし、そんな女王に愛想が尽きた宰相は、やがて彼女を暗殺してしまった。
そして女王が持っていた指輪を、君主の証として受け継ぐことに決めた。
だがその後、君主となった元宰相は、毎日酷い悪夢を見るようになった。
それは誰かが、「返せ、返せ」と言いながら元宰相の首を絞める夢だった。
元宰相はそれが誰なのか察しがついていたので、その人物を供養することに決めた。
けれども、何の成果も得られぬまま、毎日悪夢を見る元宰相は日に日に病んでいき、ついに衰弱死してしまった。
それから、その指輪は呪われたものとして、地方の豪族に売却された。
王族以外の手に渡ったその指輪は、その後多くの悲劇を生んだ。
その指輪を手に入れた者は、それをどうしても手に入れたい他の誰かによって暗殺されてしまうのだ。
そこまで人を駆り立てるような、悪魔的魅力をその指輪は持っていたらしい。
そして多くの亡者をその中に引き込んで、次の持ち主に不幸をもたらす。
それは、あまりに惨たらしい負の連鎖だった。
その指輪は今どうなったかというと、誰の手にも渡らないように、とある美術館に厳重に保管されている。
そしてそれは、通称「美しき死神の指輪」と呼ばれている。




