雷家族(お題:雷、裏取引、感謝/著者:黒鏡スキ)
「いいから今日は出かけてこいってんだ!」
ドカーン! と親父は雷を落とした。本物の雷を。
それを俺はかわして言葉を返す。
「うっせー! てかなんで今日に限ってそんなにしつこいんだよ!」
「いいから出てけ! 今出てけ! すぐ出ていけ!」
朝から雷落とすとか近所迷惑だと思わないのか、クソ親父は。
ほら見てみろ。お隣さん家の幼女が庭で体をまるめて泣いてるじゃ無いか。
よし、慰めにいこう。
ちなみにだけど、俺はロリコンじゃないぞ。親父が出ていけっていうから出て行くついでに幼女の所にいくだけだ。
決して幼女可愛いなでなでしたいとかではない。
YES! ロリータ。 NO。タッチだから!
「わかったよ親父。そこまでいうなら出て行ってやるよ」
「よく言った! それでこそ俺の息子だ! さぁ出ていくんだ!」
意味が分からない。……とは言わない。なんでこんなにも親父が俺を家から追い出そうとしているのか、俺は昨日の夜に知ってしまった。
見てしまったんだ。親父が母さんと何かこそこそと裏取引をしているところを。
察するに、今日一日中は雲を作って新しい雷でも落とすんだろ。
分かっている。妹希望な。親父。
でも、よりによって今日それをしなくてもいいのに。
玄関で靴を履いた所で後ろを振り向くと親父がまだこちらを見ていた。
丁度いいから一言いってやる。
「親父」
「おう。なんだ」
「遮光カーテンはしっかりしておけよ」
「ばっ! なにかんち「じゃぁ行ってくるわ」」
俺は親父が何かを言う前に玄関を出て、隣の幼女の元へ向かう。
お隣さん家のインターフォンを押し、入れてもらい、庭に足を踏み入れると幼女がタックルしてきた。
「にぃにー! 怖かったよー!」
「よーしよーし! 怖かったよな。親父がごめんな」
俺は幼女の頭を撫でながら謝った。
え? NO。タッチじゃなかったのかって?
ち、違うから! このこは……そう! 幼馴染みだから! お隣さん家の女の子は幼馴染みっていうのが相場!
きっとそう! だから俺はロリコンじゃない。
この娘が可愛いから仕方ないだけだ。
「じゃぁ。にぃにっ。いつものやって……」
涙浮かばせながらの幼女の上目遣い。
可愛い……じゃなかった!
期待に応えなくちゃな!
「仕方ないなぁ」
と言いつつも俺は片手を頭の上に乗せてごしごしと擦る。
そして、その手を上の方に伸ばすと……。
「ほら! スーパーヤサイ人だぞ!」
「すごーい! にぃには髪を立たせるのが得意なお兄さんなんだね!」
「今日はそれだけじゃないぞ~」
「えぇ! なになに! なにをするのー!」
幼女は目を輝かせてぴょんぴょんと跳ねている。さっきまで泣いていたのが嘘のようだ。
控えめに言って可愛い……じゃなかった!
今日の俺は一味ちがうぜぇ!
「んぐぐー!」
頭に力をいれ。
「はっ!」
一気に解放する。
すると――。
ピカーン。
逆立っていた俺の髪が光り出した。
「ほーら。スーパーヤサイ人2だぞ!」
「にぃに眩しい! やめて!」
ですよねー!
そんなこんなで夕方まで幼女と遊び、家に帰って玄関の扉を開けた瞬間、強烈な光が俺を襲う。
ドカーン!
またか親父。
当てるつもりは無かったようで直撃こそはしなかったけども、一体何のつもりなんだ。
うっすらと目を開けると――。
「ハッピーバースデー! 炉里太! 誕生日おめでとうだ!」
出迎えに来た親父と母さん。
そして、眩しい位にいろんなもので飾られた通路や部屋。いや、本当に眩しいんだけど。
まぁ、でも新しい雷を落とすため(妹希望)じゃなくて、サプライズをしたかっただけなんだな。
なんていうか、素直に嬉しい。
だから俺は感謝の気持ちを込めて言った。
「ありがとう。親父。母さん」
「おうよ!」
「ふふふ」
照れくさそうに頬をかく親父と、口元を隠して微笑む母さんを見ながら食卓に着く。
すると――。
「炉里太! 誕生日プレゼントなんだがな」
「ふふふ。妹ができるわよ」
衝撃的な告白をされた。
やった……。じゃなかった。
いぇえええあ……。でもなくて。
「ありがとう! 嬉しいよ!」
素直にそのプレゼントを受け入れることにして、感謝をした。




