2話 再び誘惑されるヤコブ
隣国の王から依頼された女性誘拐事件を解決すべく情報収集を始めた2人。
「アセナ姫を攫おうとした賊共は『金さえもらえればいい』と言っていました。彼らに報酬を払う組織があるはずです」
ダビデはそうヤコブに報告する。すると彼は頷いた後こう続けた。
「なるほど、確かに金銭目当てで動いている輩がいる可能性は高いだろうな。もっと情報を集めよう」
2人は手分けして情報を集めることに決め行動を開始したーー
夕方頃になると再び集合することになった。お互いの成果を報告し合うためである。
「旅をしている者を襲い、女だけが攫われていることから犯人は複数犯だと思われます。しかしまだ拠点などは特定できていません。引き続き調査を続ける必要がありそうですね」
情報は集まったが明日も引き続き調査をすることになった。
「さあ、今日は帰ろうか。腹が減っただろう?」
「ご先祖さまが作った料理が食べたい……」
ダビデは独り言のように、ぽつんと漏らすよう言った。
それを聞いて嬉しくなったヤコブは思わず彼女の頭を撫でたくなり手を伸ばすのだがハッと我に返ったように引っ込めてしまった。
そんな様子に気づいた様子もなく無邪気に笑う彼女に胸が高鳴るのを感じた。
鼓動が激しくなるのを感じると同時に顔が熱くなるのを感じ急いで目を逸らすのであった。
***
翌日も二手に分かれ調査を行う2人。
だが、思わぬ人物がヤコブの前に現れるのだったーー
「お兄さん。この前はどうも♡また会ったわね♡」
そう言って話しかけてきた女性は露出度の高い服を身に着けており胸元は大きく開いているため谷間が見えてしまっている上にスカート丈もかなり短く太ももまで露わになっていた。
(この女、あの時の……!)
部屋に押しかけ、関係を迫って来た女性とまさかの再会をしてしまった。
見覚えのある姿に警戒していると彼女は微笑みながら近付いてきたかと思うといきなり腕を絡めてきたではないか!?!??
(な、何を考えてるのだこの女はっ!?)
動揺しながらもなんとか振り払おうとするもののなかなか離れてくれない。
男の性でつい胸に目が行ってしまう。
その女性も豊満な方だがダビデの方が大きいなと思った瞬間ハッとした。
(馬鹿なことを…!)
慌てて邪念を振り払いつつどうにか逃れようとする。
「ねえお兄さん。例の誘拐事件を調査してるみたいね?私、組織の情報を知ってるわよ。教えてあげましょうか?」
(なに!?)
驚きのあまり言葉を失う。
そんな様子を見て女は妖しく微笑むと耳元に唇を寄せ囁いてくるではないか!
(うっ……まずいなこれは……)
「ただし…貴方が体で払ってくれるなら♡あ、結婚とかなしね」
そう言いながら妖艶な笑みを浮かべ舌なめずりをする姿は獲物を狙う肉食獣のようだった……!!!




