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最強クラフトで異次元無双  作者: 御自賛
13/22

その12

結婚報告から一週間が経った。


教練場に、マニの魔法実験の見物をする為、大勢の人間が押しかけている。こんなに大事になるとは思いもしなかった。ちょっと家族だけでとか思っていたのに、蓋を開けてみたら何とやら。


うちの家族とサヴィネ、指導教官や職員と若い教練生達、村人多数。少ない観光客も。後から聞いた話で、親父さんが俺たちの結婚祝いの報告を皆にしたくて、それも兼で魔法実験を見世物にするという計画だったみたいだ。


「マサ、マニ、結婚おめでとう。これで私も気兼ねなく。(笑)」


サヴィネがこっそり皮肉込みでお祝いをくれた。そうかあ、マニに気を遣っていたんだなあ。...ま、一回きりの人生なんだから、後悔しない生き方をしなよサヴィ子。


お祝いは箱に入った何かで、後でのお楽しみらしい。...ああ、こっちにそんなゴムは無いよな。(笑)何か邪悪な気を察して、マニが背中に平手打ちを。


いやそんなに痛くないんですが、スパーン!と音がでかいので注目の的になる。マニ子ったら、自分で叩いて赤面してるのがメッチャ可愛い。グフッ!(肘打ち)


教練場の職員が金属の長い柱を敷地の周囲に立てている。避雷針かな。こちらに来てから今まで雨とかが降ったことないので、恐らくマニとかの魔法使い専用用具かな。


「あら、そんなことないわ。雨季もちゃんとあるわよ。短くて洪水になるけど。」


最近のマニとのやり取りは、質問する前に回答が返ってくる。おまけに音声会話なのかメッセージなのかフィジカルコンタクトなのか、咄嗟に区別がつかない。


余談だが、彼女が並々ならぬ直感の持ち主であることは間違いない。それは、今まで根拠のない確信めいた発言をして、一度も外したことがないからだ。


だから、たまに突拍子もないメッセージとかがあるとちょっと混乱する。「今、女とお茶してない?」とか急に。ええ、サヴィネとお茶してましたがそれが何か?とか。(笑)


「マサだって、私からすれば意外性の連続ね。何でいつも未来が予測できるわけ?しかもあなたはそれなりの理論つきでの話でしょう?そっちの方が余計わからないわよ。」


これは、メッセージだな。思考を読まれたね。彼女とは情報共有しているので、前の世界やこちらに来てからの行動の記録をライブラリーから読み出して、時々観ているようだ。


もっとも、前次元分はサットと出会ってから暫く経ったときからなので、数年分しか無いはずなのだが。何をチェックしてるのかな。(笑)


「真理の実践をすれば、読めるようになるよ。その内君にも分かってくるよ。」


「何かヒントとか頂戴。」


「うーん、じゃあこれを。「この世はそのまんま返し(因果応報)」この真理をよく考えれば、分かるよ。」


「なんだっけ、マサの元いた世界の話だっけ?」


「こちらでも、どこでも同じ。故に真理なんだよ。宇宙普遍の法則さ。」


「そんなもの存在するのかしら?」


「ほーお、君はあれだけの体験をして、まだ解ってないのかい? 霊的無知は反真理(アサット)になるのだよ?」


「...そうだったわね、私達を差し置いて、そんなものとか言える立場では無かったわね。」


「だあねえ。俺達を否定はできないよなあ。(笑)この世は神秘と驚きに満ちているのだよ、マニ君。」


そうこうしている内に、避雷針が設置完了した。早速実験に入る。


攻撃魔法とは発動&詠唱速度、マナチャンネルの太さ、コントロールできる規模で分類されるらしい。これは発動速度、威力、効果範囲ということになる。


各々が優れていれば魔法の等級は上がっていく。そしてその三項にそれぞれのレベルがABC三段階ある。Aは3ポイント、Bは2ポイント、Cは1ポイントの評価点だ。


例えばオールAなら合計9ポイントでA+級とか特A、二つがAで一つBなら8ポイントでA級、二つBでA一つなら7ポイントでA-級となる。


上級の魔法使いほど、畏怖と尊敬の対象になり討伐の要になるというわけだ。A級が付くと都から手当てが出るので、暮らしも豊かになる。


以前マニが使っていた稲妻の魔法は、彼女の最大級魔法らしい。しかし、あれを評価すると速度B、マナ量B、範囲Bの合計6ポイントということで、今までの総合はB+級になるらしい。


今回の実験の目的は、マニの等級の評価&手当ての見直しと、実際の試技がどの程度なのかを目利きするという事だ。評価項目以外でのメリットとかあれば、評価も変わる。


「マニ、無理しないでねー。君は加減するくらいで良いんだよー。」


穏やかに言っているが、それが一番の問題だ。マニは真面目すぎるので、そこまで消耗しない魔法でも全力でやっちゃうんだよね。雷は制御が難しいらしいしね。おまけに彼女の体質変更が確実に威力を増強しているだろうし、威力(被害?(笑))がどの程度なのか想像がつかない。


「皆さん、広場の外へ出て、遮蔽物の影に隠れてくださーい!金属の鉄柱とかには、近づかないで!」


と、注意喚起する。わらわらとギャラリーが避難していく。それを見たマニがイラついているのがわかるので面白い。


「もう、皆大丈夫なのに。」


「念のためだよ、気にしない気にしない。」


「マサのそういう所、好きよ。」


「さあ、行ってみようじゃないか!」


マニが空中浮遊しながら、両手を上げて呪文を唱え始めた。


「雷神よ、青き光の奔流を示せ!全てを貫く稲妻は今ここに召喚された!!」


腕をあげたマニの指先から、直径10m位の巨大な青光の塊が「ヴーン」といううなりと共に膨らんで行く。広範囲殲滅魔法「雷槍の青撃」が完成した...のだが。


「えっ?ちょまってえ!」


「あっヤバイ!」


マニの心の叫びと共に、目を眩ませる青光の奔流が、周囲へ雷槍の雨を降らせようとする!俺はとっさに周囲の人全員指定で防御壁を展開した。


「霊波バリアー!」


周囲の人全員の体表が、瞬時に淡く光った。それと同時に、


パン!パパン!バシイッ!ドオオオオオオーン!!


耳をつんざく轟音と共に無数の稲妻が複数の避雷針に集まり、それでも押さえきれずに広範囲の人や建築物に降り注いだ。


静かになって人々が物陰から顔を出したとき、その凄まじい破壊の爪痕が戦慄と恐怖となってギャラリーに襲いかかる。


周囲の丈の高い樹木や柱は黒焦げ、長い避雷針は一部溶けていた。地面にも落雷したのか、避雷針の結界内でも地面が黒焦げになっている部分もあった。


人的被害は幸いにも無かった。霊波バリアーとは、エネルギーの最上位である霊波を操作する足掛かり的な技能で、霊波>マナ>気>物理という優位性がある。


つまり霊的エネルギーのコントロールは、それ以外の全てを事象改変させる可能性を有しているという事になる。それより上は、人知の及ばない神の御力のみだ。


稲妻は、バリアーに当たるかなり手前で、あらん方向に偏向して地面に落ちている。これは物理法則を事象改変して、無効化や変化させる神秘的な力が作用している。


神以外のどんなエネルギーも、この制御に抗う事はできない。正に絶対真理の体現なのだ。


村長が険しい顔で歩いてきた。メッセージを入れて、なだめることにする。


「親父様、人間に関しては防壁を張りましたので安心して。」


「...そうか、マサよ感謝する。お前が居なかったら大惨事だったな。」


村長も今になって自分が淡く光っていることに気付いたらしい。表情が緩み、安心したようだ。


「皆、怪我はないかね?周囲とかを注視して、人的被害が無いか確かめてほしい。」


空中で呆然としていたマニが我に帰り、急いで降りてきた。


「皆、ごめんなさい!大丈夫だった?」


各ギャラリーから、大丈夫とかウェーイとかの声や、親指を立てる返事が返ってきた。こっちでも親指立てとかあるんだなあ。(笑)


しばらく確認したが、やはり人的被害はなさそうだった。あれだけのエネルギーだった割には、という結果に。まあバリアー効いてたんだけどさ。


マニが横に立って俺の腕を組んで来て、フィジカルコンタクトしてきた。


「何よあれ、得Aなんてレベルじゃないわよ!」


「あーうん、魔法のレベルが想定外だったという他は、まあこんなものだね。常に安全性は確保しなければだけど、リスクが無い訳ではない故の実験なのさ。」


「一応この試験は全力でやるのが基本なのよ。今回の件で、これからは滅多に全力は出せない事が判ったわ。」


「まあ俺もそうだけど、加減を確かめる作業をしなければね。二人で進化したんだから、楽しまないと。」


「あなた、そういう所は前向きね。」


「何か問題でも?」


「いいえ。マサ、愛してる。」


「俺もだよ、可愛いマニ。」


マニと俺が一緒に並んで寄り添っているところを村人が指差しながら、何か囁いている。まあこんな雰囲気を醸し出していれば、普通わかるよなあ。(笑)


村長がギャラリー全員に集まってもらうように指示を出したらしい。教練場の中央に移動している。俺達もそこへ急ぐ。


「えー、皆ご苦労様。アクシデントはあったが、無事で何よりだった。これで実験はおしまいだが、一度家に帰ってから村人全員で広場に集まってほしい。昼過ぎに公式発表があるから、大人は出来るだけ集まってくれ。では、解散。」


わらわらと散っていくギャラリーを見送りながら、家族で集まる。サヴィネもいる。教練場の職員が片付けをしている。職員室まで行き、今回の等級判定を任された認定員に結果を聞かなくては。


教練場は、都の公共施設だ。生徒は主に若い村民だが、教員や職員は都から派遣されてきた精鋭だ。


全員が何らかのエキスパートであり、教員資格を有している。いざとなれば防衛戦に加わるし、村の行事があれば手伝いもする。


そして村の監視や徴税員も兼ねていて、大規模な災害や襲撃、疫病の情報とか、そういったものを中央に報告する。


また、税の納品や輸送も、ここで受け持っている。時間の取引は村への就労時間が元なので、都管轄の教練場では不可能らしい。


今回の実験も、判定は職員なのだ。因みにマニは戦闘と魔法使いの教員資格を持っている。都に行けば、それなりの待遇になるらしい。村が人員不足だし、そんなことは多分ないだろうが。


「そちらに座って下さい。少々お待ちを。」


応接室でお茶を出され座って待っていると、10分位で所長がやって来た。あれ?認定員は所長さんだったの?隣のマニが「何かあったみたいね」と言っている。


「マニさん、ご苦労様。今回の実験と認定ですが、予想外の結果で認定員が頭を抱えてましてな。」


「と、言いますと?」


「今までに、あそこまでのエネルギーが放出されたのは、前代未聞なんですよ。特Aであることは恐らく間違いないのですが、魔法を測定する魔道具が全て測定不能でね。」


明らかに困惑した顔だ。マニも、悟ったような残念そうな顔をした。


「余談だが認定員の話では、大昔の記録で神帝ネスカドルスが神魔戦争の時代に使った大雷砲撃という魔法があるそうなんですが、マニさんのレベルはそれに匹敵するかもとか。まあ神代の伝説と比較するのはナンセンスですからな。我々としては、あの魔法がどの様な規模や威力なのかを測定、把握することで、認定という事になるのです。」


ん?神魔戦争?大雷砲撃?なんか知らないカテゴリーが出てきたぞ?というか、マニったらその神帝並みと言うわけ?神なのアナタ。(笑)


「分かりました。では、どの様にすれば良いのでしょうか?」


「ここの設備では認定は無理です。さっき都に確認したら、都の魔法学園か魔導研究所で同じ実験をやってもらうことになるそうです。」


「今は時期が悪いわね...」


「全くです。今期の虫ときたら、大きい上に数が異常ですからな。」


「そうだね、そこまでして戦力を削がれるのはまずい。自重するしかないと私は思う。」


村長が、決断した。認定は後回しにされてしまった。マニはちょっとがっかりしたが、すぐに気を取り直した。


「マサもいるし、私もこの通りだし、次の殲滅戦で勝利すれば大丈夫。」


フィジカルコンタクトで、マニはそう言ってきた。


分子クラフトのレベルは、もはや大軍並みと言っていいだろう。俺とマニだけで、恐らくこの周辺の敵は、容易に掃討できるだろう。


大規模殲滅作戦が間近に迫った事を、俺とマニは予感した。


昼過ぎになって、広場に集まった村人ほぼ全員に対して、村長は俺とマニが結婚する事を発表した。そして三日後に広場でささやかな祝宴を村人全員で行うとも。


俺が治療した村人は、家族共々大喜びしてくれた。やがてそれに釣られるように全員がお祝いを口々に述べていった。


ライエもわざわざ俺達の前で「お兄ちゃんマニ姉様に取られちゃったの...でも、ライエ嬉しい!」と認めてくれた。マニはライエを優しく抱きしめた。やっぱりこの二人は未来の繋がりを感じるなあ。


それから宴までは、準備で忙しかった。村長一家やサヴィネ総出で、手配や料理作りが300人分だったので大変...のはずが、俺のクラフトに任せてもらって超余裕だった。


あそうか、俺ここでファミレスやったらチートレベルだろう?(笑) 因みに渡された材料では足りなかったのだが、虫素材の食材が美味しかったのでそれを。


大丈夫、知らぬことは最高の調味料なり。(笑)



祝宴の日、村長が宴会の司会を務め、事実上の披露宴のようになった。俺とマニは広場の壇上に上がり、挨拶と馴れ初めを言わされた。


村長、マニ、サヴィネと格闘で撃破した話は巷の噂になっていたらしく、色々な憶測がひやかし込みで飛び交っていた。


誰かが、「サヴィネと寝技をしていたってのは本当ですかあ?」とかヤジを飛ばしたので、「お、おお、腕間接技を...」とか答えてる最中に「オパイ揉みしだいたゲフッ」とか言って顔真っ赤なサヴィネに撃沈されてたのには全員が笑った。


「サヴィネは達人ですからね。そんな余裕ないです。」とフォローしたら、ヤジ男にヘッドロックかけながら私・達・人とか息巻いていた。


続いて二次宴会へ。並べられたテーブルにオードブルと酒が振る舞われた。この前集会にいた宿屋の主人と大柄な人が隣で、三人で意気投合してしまった。大柄な人は正門で守衛をやってるハンコック氏で、宿屋はヴォルグ氏。


お互い酒豪らしく、パーティー用の酒では足らないからと、わざわざ酒樽を二つも無償提供してくれた。そっちはミードの様な味だった。


村長が出した酒は十数年前にもらった古酒系らしく、それが何故か瓶数十本が地下倉庫に眠っていたらしい。


この次元に来て、初めて酒に出会った。舌にねっとりと絡み付く程濃厚なのに、後を引かないあっさりした後味でいくらでも飲める感じだ。


「いかん、これヤバイやつだ。マニ、ほどほどに...あああああああああ(泣)」


既に赤い顔でラッパ飲みしていた件。(笑)取り上げたけど既に遅く、この前と同じで俺の膝上にまたがり、激しくチュウを...これには流石にライエがドン引きしていた。


んで、周りから「恒例の公衆面前でキスタイムの前にしちゃった花嫁」という伝説を。(笑)


赤面した母親に引きずられて退場するマニが「酒ウマーイモッテコーイ」とか言ってた気がする。だが断る。


ヴォルグとハンコックがガッハッハと笑いながら、そっちの古酒ばかり飲んでいたのですぐに底をついてしまった。あいつら喋らないでひたすら笑って飲むだけなのな。


仕方なく、飲みそびれた面子はミードで我慢してた。いや、そっちも相当美味しいと俺は思うんだがな。


村の連中は気の良い奴ばかりだった。他を知らないから言えるのかもしれないけど、こいつらの為に村長が頑張る理由がなんか分かった。


その中に加われた俺は、とても幸せ者ではないかと思えた。真剣に、村の為に何が出来るか考えなければなと、改めて思った。祝宴は、和やかな雰囲気の内に終了した。

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