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☆手掛かり

 アルがログアウトしていくと、少しイカ下足君と『家』の事について話し合った。

イカ下足君は、なんだかゲーム慣れしてるみたいに見えたからってのが、その理由だ。


「でさ、真面目な話。

 ハウジング系はあると思う?」

「最近のゲームで無いのを探す方が難しかったし、僕はあると思うんだわなぁ。」

「だよねぇ……。」


 わたしもそうは思うんだけど、ここまでNPCに『家』は無いって言われちゃうと、少し自信が無くなって来るんだよね。

かといって、存在するんだとしたら是非とも欲しいし!

主に素材倉庫として。

ついでに、お店もやれると嬉しいけど、出来なかったら屋台で我慢すれば良いかな。


「ハウジング系がこの時点でないのは導入されてないのが理由なのか、もしくは……。」

「もしくは?」

「最初の町があるのが小さめな島っていう設定だから、かもしれんわなぁ……。」


 イカ下足君の言葉に、ぼんやりと公式に乗ってたような気がする世界地図が思い浮かんで、「ああ」と半ばうめき声のような声が漏れた。

地図に興味がないからとチラッと見ただけだったけど、最初の町が存在するのは確かに小さな島だったような気がする。


「うーん……。

 そうなるとやっぱ、島の外にでないと埒が明かないかね?」

「そんな気がするわぁ。」

「むぅ~……。」


 腕を組んで、ひとしきり悩む。

とは言え、出てくる結論は変わる訳じゃないんだけど。


「あんまり駆け足で進む気は無かったんだけど、仕方ないかねぇ……。」

「お、この島は早々に抜ける事にするん?」

「そうしてみるかなぁ……と、思わざるを得ない。」

「アル君が、家を欲しがってるから?」

「ソレも有る。」


 わたしの結論に、ニヤつきながらからかってくるのに真面目に返すと、なんだか残念そうな顔で文句を言われてしまった。


「りりんちゃん、ノリが悪いわぁ。」

「だって、そういうのにどう返せばいいか分からないんだもん。」

「ま、いいわ。

 もし他の大陸行くんだったら、僕にも声掛けて欲しいんだわ。」

「ん?

 イカ下足君も一緒に行くかい?」

「僕も基本はソロだから、混ぜて貰えると助かるわー。」

「オッケー。

 アルにもそう伝えとく。」


 イカ下足君の希望を了承すると、軽く手を振ってその場を後にする。

この後は、もうちょっとだけレベル上げをする為に生産施設に向かう。

あと、1時間くらいなら明日の仕事にも障りは無いだろうと言うハラだ。

とりあえず、『家』システムがあってもなくても、お金があって困る事はないからね。

納品クエに使える物を作って、納品したら寝る事にしよう。




「りりん様、ここだけの話なのでございますが……。」


 その情報は、思わぬ瞬間にもたらされた。

納品クエを請けてアイテムを渡した時、ギルドの担当者が声をひそめながらそう口にする。

今までにない、妙な人間臭い仕草でそう告げる彼に違和感を感じながら耳を傾けると、こんな事を言い出した。


「実は、船で南西に向かった先にあるサンブリアで、家を建てるための土地の整備をしてくれる人間を探してるらしいのです。」

「へ??

 土地の整備?」

「はい。

 具体的には、『宅地造成』スキルをお教えするので、そのスキルを使って住宅を増やす手伝いをしてくれる人を募集しているそうです。」



――おお?

  それってもしかして、クエストの発注?



 無言でコクコクと頷いたわたしの目の前に、クエストウィンドウが現れる。



◆特殊クエスト 宅地造成のお手伝い

 報酬 商売人経験値1000

    スキル『宅地造成』獲得


クエストを受注しますか?



 わたしは勿論、『はい』を選択した。

2018/6/21 加筆・修正を行いました

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