☆がぶ!
それからは、納品クエを請けてはせっせと出たレシピを試しまくる。
難点は裁縫のレシピが被りまくる事。
結局、道具についてくるレシピで希望に合うモノを探すのは止めにして、服のレシピを5冊購入した。
もうね、帽子とか手袋とか靴のレシピが大量に出るんだもん。
諦めるしかない。
ちなみに購入したレシピブック。
コレは、『~~コーディネイト集』っていうタイトルで、帽子から靴までのコーディネイト集。
載っている物をそのままセットで着てもいいし、バラバラにして自分コーデを楽しんでもいいやつ。
残念な事に、材料の関係で作れないものが3冊あったんだけど……。
まぁ、残りの2冊で作れたのは初期の服よりずっと良い。
出来上がった物にも、それなりに満足したからいい事にしておこう。
納品クエと並行してやったから、懐も暖かいので言う事なしだ♪
ちなみに、アルの為に作ったのはこんなもの。
毛織のベストセット(男性用)
防具ランク:F 耐久度:40
評価価格:1200G
男性用は、生成りのシャツとベストと長ズボンの3点セット。
このシャツやベスト。
地味に色んなアレンジがあって、めちゃくちゃ悩んだ挙句にアレコレ作った。
アルに着せるのにどれが良いかと散々悩んだよ!
最終的には、ゴテゴテとあれこれついたものじゃなく、極々シンプルなものに落ち着いた。
素のままだと全部生成り色だったから、ベストと長ズボンをチャコールグレーに染めて、少し刺繍もしておいた。
気に入ってくれると良いな♪
ちなみに、作ったものの一部は納品クエよりも高く売れそうなバザーに出すことにした。
だから、今は行商広場でお店を広げてるところだ。
アルがログアウトしてから既にゲーム内で5日。
リアル時間だと早朝の5時過ぎだ。
流石にこんな時間になるとプレイヤーの人数も減って来るかと思いきや、意外と人が沢山いたりする。
みんな元気だよね。
わたしはそろそろ眠いから、今、お店に出してる服が売切れたらねんこの予定。
早く売切れないかなぁ……。
ちなみに、わたしが初期から来ていた服は……なんと、裁縫部屋でアレコレ試作している内にお亡くなりになった。
危惧していた、突然真っ裸になるって感じではなかったけどね?
突然ツギハギだらけになって、あちこちに穴が空いちゃってびっくりしたよ!
どうやら、ゲーム内での1日で1づつ耐久が減るらしいと、その事件で分かりましたとさ。
アルの服も同じ様になるのかなーと思ってたんだけど……。
どうも、男女でお亡くなりになった服の表現が違うらしいことが、なんと今、この瞬間に判明した。
それはなんだか随分と挙動不審な男性だった。
こんな服着てる人は見なかったなーと、思いながらその人に視線を向ける。
一見、パリッとしたスーツを着ているように見えたんだよね。
でもそれにしては、男性が目の前を通り過ぎる時の他の人の態度がおかしい。
その原因は、その人が私の前を通り過ぎた時に判明した。
その男性が着ていたのは、全面はパリッとしたスーツなんだけど、背中側の肌色率がちょっとヤバい。
いや、背中もお尻も丸出しなんだよ??
あ、お尻はぎりぎり越中っぽいふんどし穿いてるか。
その人は涼しすぎる背中がきになるのか、ひどくオドオドしながら周りのバザーに視線を走らせている。
わたしの前もその調子で通り過ぎて、ハッとした様に戻って来た。
それから、大慌てで並べてあったベストセットを購入。
早速身に纏うとそれまでの落ちつか無げな様子はどこへやら、「助かった」と言って悠然と手を振りながら去っていった。
行商してる人から買ったものは、自動的にバックパックに入る。
そこからなら、装備するのは一瞬だから目の前で着替えても支障は無いんだけど、よっぽど恥ずかしかったんだなぁ……。
購入してから着替えるまで、ほぼ一瞬だったし。
「まいどぉ……。」
呆気にとられてつつ声を上げたものの、なかなか衝撃的なその格好に、頭の中でツッコミを入れる。
――びんXっちゃま?!
びんぼxXゃまになっちゃうの!?
アルがインしてきたら、どうなるのか観察する予定だったんだけど、
それは取りやめだ。
彼のあの姿は見たくない……。
ちょっと衝撃的すぎるものを見ちゃったし、行商は止めてもう寝よう……。
翌日、改めて行商広場にお店を広げなおす。
意外と衣類を売ってる人は少ないのか、並べていた商品は結構な早さで無くなった。
満員御礼、いやちがうな。
完売御礼というやつだ。
売るものもないし、どうしようかと視線を彷徨わせると、ピョコピョコ耳を揺らして歩くアルの姿が目に入る。
こっちには……まだ気付いてない!
こっそりと彼の後ろに回り込むと、まだ気付く様子の無い彼の背中にピョンと飛び付く。
「りりん?!」
「やっときたー!!!
待ってたよ~!!!」
肩からぶら下がってスリスリすると、なんとなく嬉しげな雰囲気が伝わって来る。
――ああ、もう!
可愛いなぁ、アルってば!
「りりん?」
「な~に~?」
「私も、同じ事をしたいのだが?」
「足が浮いちゃう……!」
必死にわたしの方に首を捻りながらの言葉に、思わず感極まって肩に噛みついてしまう。
がぶ!!!!!
「?!」
「ううう~!!!!
アルが可愛すぎるのがいけない!」
「……こういう場合、『痛くしてごめんなさい』ではないのかね?」
VRで、痛覚も鈍いからと思いきり齧ったせいか、ちょっぴり涙目になった彼に、流石になじられてしまった。
でも、涙目になってるのがやたらと可愛いから、口元が緩んでしまう。
「だって、アルが可愛すぎるからいけないんだもん。」
「ふむ……。」
わたしに齧られた首の付け根を擦っているアルの前に回り込み、上目遣いに見上げると、冷静な視線が返って来る。
――あ、やりすぎちゃったかな?
ピクピクと動く左耳に視線を奪われていると、彼に両腕を取られて引き寄せられる。
「ひゃ?!」
「反省しない子にはお仕置きが必要だな。」
「にゃ?!」
彼はなんだかやたらと嬉しそうに目を細めると、右のお耳をピョコピョコと上下させた。
思わず逃げようとしたものの、一瞬遅く、わたしのネコミミに彼の唇の感触を感じる。
「にゃぁあああぁぁあああ?!」
それから暫くの間、アルはわたしのネコミミを甘噛みしたり息を吹きかけたりと言うセクハラ行為を行いやがりましたのです。
本人が満足するまで。
絶対、セクハラする良い理由が出来たって喜んでたよアレ!
わたし?
驚きすぎて腰抜けたさ。
そう言えば、今いる場所って人の多い行商広場だったなって気が付いた時は、顔から火が出るかと思ったさぁ~!
セクハラ反対!!!!!
注)先に手を出したのはりりんの方です。
2018/5/29 加筆・修正を行いました。




